2019年の新大河ドラマ「いだてん」がいよいよ始まりました。
主演は中村勘九郎(なかむらかんくろう)さんと阿部サダヲ(あべさだお)さんが一年間をリレー形式で演じることが話題です。
そんな中村勘九郎さん演じる金栗四三の盟友と言われた生田斗真さん演じる三島弥彦が所属する天狗倶楽部(てんぐくらぶ)が話題です。
満島真之介さん演じる吉岡信敬も所属している、すごい濃い団体です(笑)
なんと、脚本のクドカンの作りものではなく、実在する団体だったんです!
今回はドラマ「いだてん」に登場する謎の集団「天狗倶楽部」についてその史実をまとめていきます!
いだてんで天狗倶楽部は実在!その実態とは?
天狗倶楽部はいつももって成立とするのかは諸説あるようですが、明治の終わりころに野球をこよなく愛する冒険SF小説家の押川春浪がスポーツを楽しむために結成した「私的」な団体でした。
春浪を慕い集まったメンバーがほとんどで、最盛期には100人を超えたそうです。
ただ、入会手続きや会員名簿はなく、部員と非部員の境界があいまいな、まさに私的な集まりにすぎなかったそうです。
春浪たちは、最初は「天軍チーム」と名乗り、さまざまな野球チームと試合を行いました。
1日に4試合をこなす豪快さから、やがて「天狗」とよばれるようになり、メンバーの多くが酒豪だったこともあり「天狗」「酒」と言う古来のイメージと結びついたようです。
野球がきかっけで結成された天狗倶楽部ですが、相撲、テニス、柔道などその活動は幅広いものでした。
部員もスポーツ選手だけでなく、小説家に画家、新聞記者に政治家、飛行家などバラエティに富んでいて、名を残した人物も多かったそうです。
春浪も次々と作家として作品を残して人気を博していきます。
そんな中、教育家の新渡戸稲造らの野球に対する批判(野球害毒論)が新聞に連載されます。
人気が高まる学生野球への苦言でしたが、春浪は真っ向から反論。
新渡戸らを痛烈に批判して、精神的に疲弊しながらも論争に勝利しました。
すごい勢いのある団体であることがわかります。
潔癖で剛直な春浪をはじめとする天狗倶楽部のメンバーはその後もさまざまな豪快なエピソードを残しますが、春浪ら主要メンバーが亡くなると、自然な流れで消滅しました。
しかし、のちに複数が野球殿堂入りするなど、天狗倶楽部が日本のアマチュアスポーツ振興に果たした役割りは大きいものでした。
天狗倶楽部は元祖イケメン男子を輩出?
明治43年(1910年)押川春浪主筆の雑誌「冒険背世界」で今でいうイケメンを決める読者投票が行われたそうです。
すごい!!!
そのタイトルは「痛快男子十傑」。
政治家で教育者の大隈重信や軍人の乃木希典などそうそうたる顔ぶれが並ぶ中、天狗くらぶからは、一般学生部門で満島真之介さん演じる吉岡信敬、運動家部門で三島弥彦がそれぞれ1位を獲得!!!
「冒険世界」は青少年に爆発的な人気を誇る雑誌だったので、投票したのも若い男子が多かったそうです。
さしずめ「痛快男子十傑」は今風の男子で言えば、男子が憧れるイケメン男子だったようですね。
天狗倶楽部はやらかした話も豪快!
酒好きの多い天狗クラブには数々の失敗談がありますが、中でも春浪と中沢臨川の2人のエピソードがすごいです。
ある晩、浴びるほど飲んで臨川宅にとまった春浪は夜中に尿意をもよおします。
なんと近くにあった、ビール瓶へ放尿。って、ここで何か嫌な予感がしませんか(笑)
翌朝、目を覚ますと「味が変だ」と言いながら臨川がそのビールを飲んでしまったそうです。
このエピソードはドラマ化できないですね(笑)
これには春浪も大慌てしてその正体を白状。臨川は「腹の中を素通しにしてきたんだ。いくらも真物と変わらない」と平然と答えたとのこと。
もう、破天荒と言うか、変人ばかりですね(笑)
ドラマでも異様な雰囲気を醸し出していた天狗倶楽部。しかし、ドラマよりも実際の方がすごいことになっているようですね。