シミュレーション昭和16年夏の敗戦 原作ネタバレ結末!なぜ戦争に突入した?

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太平洋戦争は、始まる前から“敗戦”が予測されていた——もしあなたがそう聞いたら、信じられるでしょうか?

8月16日、17日放送の池松壮亮さん主演のNHKスペシャル終戦80年ドラマ『シミュレーション 昭和16年夏の敗戦』は、実在した研究所と若きエリートたちが出した「開戦すれば日本は負ける」という結論を、猪瀬直樹の原作をもとに描き出します。本記事では、『シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~』の原作のあらすじネタバレや歴史的背景、ドラマの魅力、登場人物の役割まで丁寧に解説します。歴史の“もしも”に触れたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

「シミュレーション昭和16年夏の敗戦」原作は実在の研究所の実話だった?

原作

「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦」原作は猪瀬直樹さんのロングセラーで、1983年に出版されたノンフィクション小説です。

最初は『昭和16年夏の敗戦 総力戦研究所”模擬内閣”の日米戦必敗の予測』というタイトルでしたが、1986年に改題されました。

ドラマの公式サイトには原作ではなく原案とあります。

日米開戦前夜の1941年夏、首相直属の総力戦研究所で日本とアメリカが戦った場合のあらゆる可能性がシミュレートされた。

官僚・軍人・民間から選抜された若きエリートたちが導き出した結論は日本の“圧倒的な敗北”だった―。

「日本必敗」という結論が導き出されていたにもかかわらず、戦争へ突入していった史実を描いた作品です。

原作者は、日本維新の会参議院幹事長の猪瀬直樹さん。

政治家でもあり作家でもあります。東京都知事に就任されたこともありました。

主な著書に『こころの王国 菊池寛と文藝春秋の誕生』『太陽の男 石原慎太郎伝』などがあります。

1987年に『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されました。

総力戦研究所は実在で実話だった?

原案となっている著書「昭和16年夏の敗戦」に登場する「総力戦研究所」は、内閣総理大臣直轄の研究所で、1940年9月30日に開設された、実在の研究所です。

原作では「総力戦研究所」に着目しています。

各官庁・陸海軍・民間などから選抜された若手エリートの研究生たちに対し、総力戦体制に向けた教育と訓練を目的としたもの。

朝ドラ「虎に翼」で、伊藤沙莉さんが演じたヒロイン虎子の再婚相手となった三淵乾太郎をモデルにした星航一(岡田将生)。

裁判官だった三淵乾太郎さんも、この研究所に集められました。

敗戦後にトラウマとして悩む姿が、ドラマで描かれています。

本来の目的は、国防について一般文官と軍人が一緒に議論を行い、国防の方針と経済活動の指針を考慮し、国力の増強を図ることでした。

1941年に日米戦争を想定した、第1回総力戦机上演習の計画を発表。

当時、総力戦研究所の所長だった飯村穣陸軍中将は、ドラマの所長とは異なる人物です。

飯村所長は研究所の設立と運営に尽力し、アメリカと戦争した場合の先行きを予測する机上演習(シミュレーション)の実施を決め、メンバーに組織の壁を越えた自由闊達な議論を奨励しました。

導き出された“日本必敗”の結論は、近衛文麿首相、東條英機陸相らに報告されました。

この結果は真珠湾攻撃の3か月前に出されています。

ですが国家戦略に反映されることはなく、日本は開戦へと踏み切る事になりました。

脚本家

「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦」脚本は映画監督の石井裕也さん。

今回は脚本のほか、編集と演出も手がけました。

石井裕也さんは現在42歳。前妻が満島ひかりさんで、現在の奥様は女優の相楽樹さんです。

2013年9月、松田龍平さん主演の映画『舟を編む』が史上最年少(30歳)で第86回アカデミー賞外国語映画部門日本代表作品に選出(≧∇≦)

国内外で多くの賞を受賞しました。

その後も妻夫木聡さん主演『ぼくたちの家族』『バンクーバーの朝日』などと話題作が続きます。

さまざまな賞を受賞した『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』や、韓国のスタッフとチームを組んだ『アジアの天使』など。

最近では「月」「愛にイナズマ」「本心」などの映画を監督されました。

ドラマは「乱反射」「おかしの家」などの作品があります。

この「本心」のほか、石井裕也さんと池松壮亮さんは「ぼくたちの家族」や「アジアの天使」など多くの作品でタッグを組んでいます。

石井裕也さんのコメント

これまで作られてきた日本の戦争ドラマ・映画は、終戦間際に一般市民が不幸な目に遭う、いわゆる戦争被害者の視点に立つものが多かったと思います。私が知る限り、その大元となった「なぜこの国は無謀な日米開戦に踏み切ったか」にフォーカスしたものはほとんどありません。あまりにも事態が複雑でドラマ化が困難だったのも一因でしょうが、ここまで手出しできなかった理由は、正直に言ってしまえばほとんどタブーに近かったからだと思います。

開戦前夜の人間たちの様々な葛藤は、今の私たちにとって決して無関係ではありません。当時の日本社会に漂っていた不気味な「空気」は、確実に引き継がれて今の社会にも存在するからです。日本を代表するキャスト、スタッフと共に今この作品が作れたことの大きな意義を感じています。

引用元 クランクイン

撮影中の事故とは?

「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦」撮影中の2025年4月。

出演者のひとりが、鼓膜の一部を損傷するという事故が起こりました。

2日午後7時40分ころ、京都での戦場シーン撮影中、準備していた火薬を使った装置が、撮影前に謝って作動してしまったのです。

その装置は音と煙を出す装置。

この事故でアクション専門の出演者、5名が耳鳴りなどの症状を訴え、うちひとりが鼓膜の一部を損傷してしまいました。

ドラマ化は2度目

『昭和16年夏の敗戦』は1991年にも『開戦五十年特別企画 昭和16年の敗戦』としてドラマ化されました。

フジテレビジョン・東宝制作による単発ドラマで、「金曜ドラマシアター」枠で放送されています。

主演は中村雅俊さん。ほかに神田正輝さん、田村高廣さん、中田喜子さん、石橋蓮司さんなどが登場。

今回ご出演されている、別所哲也さんもご出演されていました。

シミュレーション昭和16年夏の敗戦 原作ネタバレ解説!なぜ戦争に突入した?

構成

以降では、原作のネタバレをご紹介していきます。

原作はこのように構成されています。

◆プロローグ
◆第一章 三月の旅
◆第二章 イカロスたちの夏
◆第三章 暮色の空
◆エピローグ
◆あとがき

第1章では「総力戦研究所」に若手エリートたちが集められてきた様子を主に描いています。

第2章ではシミュレーションを中心とした内容に。

第3章で終戦前後が描かれました。

敗戦がわかっているのになぜ日本は戦争に?

「総力戦研究所」が出した結果は「日本必敗」なのに、なぜ日本は戦争へと突き進んだのかー?

それを事実と照らし合わせ、さまざまなキーポイントとともに検証していく、という内容です。

1941年10月、東条英機が首相になり、昭和天皇は「開戦やむなし」という流れを打ち消そうと組閣させました。

東条英機はもともと開戦派でしたが、軍部を抑えられるのは東条英機しかいない、と昭和天皇が任命したのです。

ですが、そのときは開戦に向かう流れや空気ができていて、それを覆すことができなかったのです。

企画院は日本の経済力と軍事力において、原油を確保すれば戦争が続けられる、という結論を出しました。

その結論で出された数字はあいまいなものです。

そんななか日本が戦争に進んだのは、戦争を始めたわけではなく、開戦の空気を消すことができず、不決断で戦争が始まっていったのでした。

天皇を崇拝していた東条英機。なんとか軍部を抑えようとしましたが、12月1日に開戦が決まり、ひとり号泣したといいます。

このように日本は、データより空気を優先したことで、戦争に突入していった、という検証した結果が描かれています。

「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦」あらすじネタバレは?

昭和16年4月。平均年齢33才の、多くの若きトップエリートたちが緊急招集された。軍人・官僚・民間企業から選抜された彼らは、将来の日本のリーダーとなるべき人材を養成する目的で新設された総理大臣の直轄機関「総力戦研究所」に参加することになったのだ。その目的は、軍事・外交・経済などの各種データを基に、日米が開戦した場合の戦局を正確に予測し、そのシミュレーション結果を近衛文麿首相、東條英機陸相をはじめとする《本物の内閣》の面々を前に報告することだった。
当初、国や軍部の真意が分からず戸惑う宇治田らエリートたち。もしシミュレーションの結果が上層部の意に沿わないものだった場合、自分たちの身にも害が及ぶのではないか…。洋一や仲間たちはそれぞれが家族を抱える中、緊張にさらされ続ける。それでも、通常は国家機密である日本の国力を測るためのさまざまなデータにアクセスを許されるなど、宇治田たちはある種の興奮の中で、日米戦開戦後の戦局を占っていく。かんかんがくがくの議論の末に《模擬内閣》の若き閣僚たちが導き出した最終結論は、「もしアメリカと戦えば、日本は必ず負ける」というあまりにも厳しい未来予測だった。エリートたちの理性は告げる。「この戦争は止めなければならない」とー。
シミュレーション結果を《本物の内閣》に報告する日が来た。《模擬内閣》の若者たちは、勇気を振り絞ってシミュレーションが導き出した〝現実〟を国の指導者たちに伝えようとする。果たして、東條英機らの反応はー。そしてその後、宇治田たちが目の当たりにする“残酷な結末”とはー。

引用元 公式サイト

若きエリートたちが集められた理由

ドラマの舞台は1941年4月。太平洋戦争開戦の8か月前、政府は「戦争に勝てるかどうか」を見極めるため、総力戦研究所に精鋭を集めました。

彼らが選ばれた理由は明確です:

  • 各分野のトップクラスの若手だったこと

  • 官民軍の枠を超えた協働が求められたこと

  • 日本の未来を担うと期待されていたこと

平均年齢は33歳。若さゆえの柔軟性と、責任感の間で揺れる葛藤もリアルに描かれています。

模擬内閣による“日米開戦”シナリオの全貌

研究所内では、参加者が「模擬内閣」として実際の政治のように役割分担を行い、シミュレーションを進行しました。

役職名 担当者
内閣総理大臣 宇治田洋一(池松壮亮)
書記官長・情報局総裁 樺島茂雄(仲野太賀)
陸軍大臣 高城源一(中村蒼)

彼らは自らの立場からデータ分析と議論を繰り返し、「アメリカと戦った場合の最悪の未来」を描き出していきました。

出された結論「日本は必ず負ける」とは?

最終的に模擬内閣が導き出したシナリオは、厳しい現実に基づくものでした。

「日本が戦争を始めれば、必ず敗北する」

この結論に至った背景には、以下の冷静な分析があります:

  • アメリカの生産力と資源供給力

  • 国内の経済基盤の脆弱さ

  • 海上輸送の封鎖による物資不足

このような論理的結論に対し、参加者たちは自身のキャリアや命に関わるリスクを背負いながらも、「伝える義務」があると判断しました。

最終報告と“残酷な結末”の意味

模擬内閣がまとめた報告書は、当時の近衛文麿首相や東條英機陸軍大臣といった実在の権力者に対して提出されました。しかし、その反応は冷ややかでした。

結果として、報告は握り潰され、戦争への道は止められませんでした。

この“残酷な結末”が意味するのは、以下のような現実です:

  • 正しい情報でも、意志決定者が聞く耳を持たなければ意味がない

  • 組織の空気や立場が、合理性を凌駕することがある

  • 若者たちの理性と勇気が報われなかった歴史

このドラマは、現代の組織や社会にも通じるテーマを突きつけてきます。

「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦」キャスト出演者

宇治田洋一(うじた よういち) 役 池松壮亮

産業組合中央金庫(現・農林中金)調査課長。模擬内閣では「内閣総理大臣」に指名される。軍への反感からシミュレーションに消極的だったが、厳しい現実を知り「開戦を避けるべき」と動き出す。

コメント

なぜこれほどまでに平和は遠いのか。
平和だけでなく、なぜこれほどまでに良き未来への道のりは険しいのか。
2025年に今作を撮影する日々の中で、この問いが頭から離れません。
この国に生まれ、戦後80年という年に俳優として今作に出逢えたことは、大きな大きな使命と責任をもたらしてくれるものでした。
言論や精神や命までも戦争のために国家の統制下に置かれた時代に、研究員の彼らは感情論ではなく、精神論ではなく、事実に辿り着き、事実に畏怖し、結論を出しました。この世界に無数にある黙殺の歴史の物語となっています。
世界歴史史上唯一の被爆国の戦後に生まれたことの責任が、私自身にもきっとあるはずだと信じて、石井監督のもと、素晴らしいスタッフ、キャストと共に、毎日祈るように撮影しています。
どうかよろしくお願いいたします。

宇治田洋一は、産業組合中央金庫(現在の農林中央金庫)の調査課長として、模擬内閣で総理大臣役に任命されます。リーダーとしての重責と、冷静な視点を持ちながらも、家族への思いと組織内の圧力の中で葛藤する姿が描かれます。

演じる池松壮亮さんは「この時代にどうしても語らなければいけないドラマ」と語っており、その熱量が演技にしっかりと反映されています。

樺島茂雄(かばしま しげお) 役 仲野太賀

総力戦研究所の研究員
宇治田と同じ民間出身で、同盟通信社政治部記者。
模擬内閣では「内閣書記官長兼情報局総裁」を担当。
はじめは宇治田の消極的態度を批判的に見るが、次第に彼の苦悩を理解し、戦友のような絆を感じていく。

同盟通信社の政治部記者である樺島茂雄は、模擬内閣では書記官長および情報局総裁を担当します。報道の視点から戦局を冷静に見つめ、当初は懐疑的だった宇治田と心を通わせる関係性も見どころです。

仲野さんは、戦後80年という節目にこの役を演じる意義を強く感じながら、誠実に向き合ったと語っています。

村井和正(むらい・かずまさ) 役 岩田剛典

総力戦研究所の研究員
海軍少佐。海軍大学校を首席で卒業。摸擬内閣では「海軍大臣」を担当。アメリカとの国力の差を前に、日本が誇る「無敵の連合艦隊」も燃料の不足から長期戦に耐えられないと冷静に判断。「勝てない」と意を決して訴える。

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高城源一(たかしろ・げんいち) 役 中村蒼

総力戦研究所の研究員
陸軍少佐。摸擬内閣では「陸軍大臣」を担当する。欧米列強に支配されるアジアで、いずれ植民地にされる前に日本は先に動くべきだと開戦を強硬に主張。だが宇治田の分析に驚がくし、現実を見定め始める。

陸軍少佐であり、模擬内閣内では陸軍大臣の役割を担う高城源一は、軍内部の意向と現実的な戦況予測との狭間で揺れ動く人物です。軍国主義に染まることなく、リアリズムを持って役職を全うしようとする姿勢が印象的です。

中村蒼さんは、現代にも通じる「空気で何も言えなくなる」怖さを演技に込めています。

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高城源一(たかしろ・げんいち) 役 三浦貴大

総力戦研究所の研究員
陸軍少佐。摸擬内閣では「陸軍大臣」を担当する。欧米列強に支配されるアジアで、いずれ植民地にされる前に日本は先に動くべきだと開戦を強硬に主張。だが宇治田の分析に驚がくし、現実を見定め始める。

宇治田小百合(うじた・さゆり) 役 二階堂ふみ

宇治田洋一の妹。夫は日中戦争で戦死した。娘の初子と実家に戻り、兄の洋一、弟の英二と4人で暮らす。両親は赴任した満州で軍と対立し謎の死を遂げた。以来、権力に抗する兄を、心配しつつ敬い支える。

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宇治田英二(うじた・えいじ) 役 杉田雷麟

宇治田洋一と小百合の弟。作家志望で、兄とは異なり楽天的な性格。長らく経済的には兄に支えられてきたが、ようやく出版社への就職が決まった。その矢先、予想だにしなかった展開を迎える。

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井川忠雄(いかわ・ただお) 役 別所哲也

宇治田が勤める産業組合中央金庫の理事。戦争回避のため渡米して、和平交渉の土台作りに尽力する。近衛首相や陸軍首脳にも近く、総力戦研究所設立に伴い、頭脳明せきな宇治田を研究員に推薦した。

近衛文麿(このえ・ふみまろ) 役 北村有起哉

近衛首相の直属機関として設立された総力戦研究所が開戦後をシミュレートする一方、近衛は首脳会談での和平交渉を模索。しかし、統帥部や世論を抑えきれず、昭和16年10月に総辞職し、政権を手放す。

鈴木貞一(すずき・ていいち) 役 嶋田久作

企画院総裁。戦争遂行上の物資動員計画を立てる役目を負う。資源の乏しい日本開戦には消極的。だがつじつま合わせで石油確保量見通しを作り、それが開戦へ踏み切る根拠に使われる。

昭和天皇(しょうわてんのう) 役 松田龍平

日米開戦当時、40歳。日中戦争が泥沼化するなか、欧米列強も敵にまわす主戦論を憂慮し和平交渉による戦争回避を求めた。だが「南方資源獲得で日本有利」との東條新内閣の説得で最終的に開戦を容認する。

木戸幸一(きど・こういち) 役 奥田瑛二

天皇最側近の内大臣として首相指名に影響力をもつ。近衛内閣が総辞職して皇族が首相候補になったとき、「万一最悪の事態になれば皇室が国民の恨みを買う」と反対して、代わりに東條英機を首相に推挙した。

板倉大道(いたくら・だいどう) 役 國村 隼

陸軍少将。総力戦研究所の所長。仮に日米戦争が起こった場合の戦況を予測するため、軍・官僚・民間企業からエリートを集め、研究を開始。日本必敗との結論は政権トップに報告されたが、それが開戦を止めることはできなかった。

瀬古 明(せこ・あきら) 役 佐藤隆太

陸軍中佐。機密情報を駆使し戦況や内外情勢の近未来を予測する特殊研究を考案。上官の板倉や東條に忠誠を示し、模擬内閣に厳しく接する一方、懸命に国の未来を探る若者たちを、誰よりも深く理解して見守る。

武藤 章(むとう・あきら) 役 中野英雄

陸軍少将。軍務局長として陸軍省の軍略・政略の実務責任者だった。国力差から対米戦争は不利と考えて、外交による和平交渉を支援した。しかし、陸軍内で勢いづく開戦強硬派との衝突は避けざるをえず…。

西村良穂(にしむら・よしほ) 役 江口洋介

陸軍中佐。陸軍省軍務局高級課員。総力戦研究所を作ったメンバーの一人であり、宇治田と内密に通ずる。次第に開戦に踏み切らざるをえなくなる東條の孤独に側近として寄り添いながらも、戦争回避を模索する。

東條英機(とうじょう・ひでき) 役 佐藤浩市

陸軍大臣のち総理大臣。開戦強硬派だったが首相就任後は天皇の意向で和平交渉を模索。開戦を求めて激化する世論や軍部と、天皇への忠誠の狭間で苦悩する。誰よりもシミュレーションに関心をもっていたが…。

キャスト引用元 公式サイト

「シミュレーション 昭和16年夏の敗戦」は何がすごいのか?

 戦争ドラマの常識を覆すシミュレーション構成

これまでの戦争ドラマと大きく違う点は、「戦場」ではなく「会議室」を主戦場として描いている点です。多くの作品が兵士や民間人の悲劇に焦点を当ててきた中、このドラマは「戦争を始める前の判断ミス」を冷静にシミュレートしています。

本作では、模擬内閣がデータと理性に基づき「日米開戦」の結果を予測するという前例のない構成をとっています。これにより、単なる過去の再現ではなく、「もし正しい選択がされていたら」という視点を視聴者に提示します。

実際に、登場人物たちは戦争を推進するのではなく、「どうすれば戦争を回避できるのか」に知恵を尽くします。このアプローチは、以下のような意味で画期的です。

  • 実在の研究所と人物に基づく再現性の高さ

  • 数字・戦略・論理が重視された脚本構成

  • 感情論に走らない冷静な視点の提供

視聴者は、銃声のない戦争のリアルさに、むしろ背筋が凍るような衝撃を受けることになります。

国家機密を映像化する意義とは

総力戦研究所の存在や、そこから導き出された「日本はアメリカに勝てない」という分析結果は、長らく国家機密とされてきました。それをあえて映像作品として表現したことには、現代的な意義があります。

この機密が80年後にドラマ化された理由は以下のとおりです:

  • 当時の資料が戦後初めて公開されたこと

  • 「戦争を避ける努力をした人々」の存在を再評価する必要性

  • 戦争と情報操作、組織の意思決定の危険性を現代に警鐘として伝える意図

さらに、監督の石井裕也氏は、「これまでの戦争ドラマとはまるで違う」と語っています。国家機密として伏せられてきた歴史を、今だからこそ語るべきだという覚悟と責任感が作品に詰め込まれています。

視聴者に問われる「過去をどう未来に活かすか」

本作が最も訴えかけるメッセージは、「歴史を学ぶ目的は、未来をよりよくするため」という点です。戦争を起こすかどうかの判断を、感情や空気ではなく、事実と論理で行う姿勢は、現代にも深く通じます。

以下のような問いが、視聴者に突きつけられます:

  • 目の前の空気に流されず、事実を直視できるか?

  • 組織の中で、正論を貫く勇気を持てるか?

  • 「過去の判断ミス」から、私たちは何を学ぶべきか?

特に現在のように、国際情勢が緊張している中で、このドラマは単なる過去の物語ではなく、今の選択にも影響を与えるヒントを与えてくれます。

制作陣・演出家・放送情報|ドラマの裏側を深掘り

監督・石井裕也が描く戦争のリアル

本作の演出を手がけたのは、映画『舟を編む』『茜色に焼かれる』などで知られる石井裕也監督です。社会派作品で定評のある石井監督にとって、本作が初の戦争題材ドラマとなります。

石井監督は次のように述べています。

「終戦後、国家機密として伏せられていたこの物語が、ようやく今語られるべきタイミングを迎えた」

その言葉通り、戦闘シーンを一切描かずに「戦争の構造的な恐ろしさ」を伝える手法は、まさにリアリティの極みです。

さらに、キャストとの関係性や現場での空気づくりにも定評があり、リハーサルや即興の演技を積極的に取り入れたことで、硬直した演技にならず、非常に人間味のあるドラマに仕上がっています。

放送日・視聴方法・配信予定まとめ

本作はNHKスペシャルとして、以下のスケジュールで2夜連続放送されます。

タイトル 放送日 時間 放送局
シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~ 前編 2025年8月16日(土) 午後9:00〜9:59 NHK総合
シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~ 後編 2025年8月17日(日) 午後9:00〜9:59 NHK総合

再放送や配信はNHKプラスでの見逃し配信が予定されており、放送後1週間以内であれば無料で視聴可能です。

制作背景にある戦後80年のメッセージ

2025年は、終戦からちょうど80年の節目にあたります。この特別な年に放送される理由には、「世代を超えて伝えたい想い」が込められています。

プロデューサーや出演者たちも、この作品に対して次のような姿勢を持っています:

  • 歴史を他人事にせず、自分の問題として捉えてほしい

  • 現代の若者たちにも届くよう、リアルな人間像を描いた

  • 戦後生まれの我々が、どのように歴史と向き合うべきかを問い直す作品にした

池松壮亮さんは、「この時代に語るべきドラマ」だと語り、仲野太賀さんも「これは遠い昔の話にしてはいけない」と訴えています。

「昭和16年夏の敗戦」をもっと知りたい人へ|おすすめ本・資料

原作小説の見どころと要約

原作である猪瀬直樹氏の『昭和16年夏の敗戦』は、ドキュメンタリー的な手法で実在の会議と資料をもとに構成されています。

見どころは以下の通りです:

  • 実名で登場する模擬内閣の構成員たちの緊張感

  • 綿密に再現された会議記録やデータのリアリティ

  • 政治・軍部・経済の複雑な利害関係の描写

この本を読むことで、ドラマでは描ききれなかった背景や人間関係の深層まで理解が進みます。

関連書籍・資料・映像作品ガイド

ドラマや原作に関心を持った方には、以下の資料や作品もおすすめです。

タイトル 種類 解説内容
『太平洋戦争開戦への道』 書籍 開戦に至る外交的背景を分析
『日本はなぜ戦争へと向かったか』 ドキュメンタリー NHK制作、映像と証言で構成
『NHKスペシャル 昭和史発掘』 映像 戦争と情報統制、判断ミスの歴史を検証

歴史教育やビジネスパーソンにも役立つ視点

このドラマや原作が持つ価値は、歴史の授業や受験勉強だけではありません。特に以下のような層にも大きな学びを与えるはずです。

  • ビジネスリーダー:意思決定とリスクマネジメントの教訓

  • 公務員志望者:組織内の正論と現実のギャップ

  • 教育関係者:若者に「戦争の構造」をどう教えるかのヒント

未来を考える上で、「過去から学ぶ」という姿勢は何よりも重要です。この作品はその思考力を養う格好の教材とも言えるでしょう。

まとめ

池松壮亮さん主演NHK総合で放送される「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」は、衆議院議員で元東京都知事の猪瀬直樹さんのロングセラー『昭和16年夏の敗戦』が原作です。

原案に創作を加えたドラマと、総力戦研究所の史実を伝えるドキュメンタリーを2夜連続で放送。

日米開戦前夜の1941年夏、首相直属の総力戦研究所で日本とアメリカが戦った場合のあらゆる可能性がシミュレートされました。

官僚・軍人・民間から選抜された若きエリートたちが導き出した結論は日本の“圧倒的な敗北”だった―。

それでも開戦へと進んだのはなぜか?

戦後80年の夏に送るこん身のNHKスペシャルです。

原作は中村雅俊さん主演で、1991年にもドラマ化されました。

脚本と演出は「舟を編む」などの映画監督、石井裕也さん。

主演の池松壮亮さんとは、これまでに何度もタッグを組んでいます。

キャスト俳優たちは映画並みに豪華(≧∇≦)

主演の池松壮亮さんのほか、岩田剛典さん、新婚の二階堂ふみさん♪、前回のドラマにもご出演された別所哲也さん。

松田龍平さんや奥田瑛二さん、江口洋介さん、佐藤浩市さんなど主役級がズラリと並びました。

仲野太賀さんは父親の中野英雄さんとの親子出演です!

「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦」放送は2025年8月16日に前編、17日に後編が放送。

どちらもNHK総合にてよる9時から10時までです。

日本映画界の旗手・石井裕也監督が初めて戦争ドラマに挑んだ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦」。どうぞご期待ください!

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