NHK連続テレビ小説・朝ドラ「らんまん(ランマン)」は主演の神木隆之介(かみきりゅうのすけ)さん演じる植物学者・槙野万太郎(まきのまんたろう)の波乱の人生を描くストーリーです。
主人公のモデルは実在の日本の植物学者である牧野富太郎(まきのとみたろう)さんです。
東京大学の出入りを田邊教授によって禁じられてしまった万太郎はある出会いによって希望を取り戻すことに。それは、寺田心(てらだこころ)さん演じる山元虎鉄(やまもとこてつ)という高知の遍路宿「角屋」の息子。
山元虎鉄によって、新種「ヤッコソウ」を発見し「山元(やまもと」)の名前を入れて、学名を発表した万太郎。そして虎鉄は次に「キレンゲショウマ」という新属・新種を発見することになります!
この虎鉄が「キレンゲショウマ」を発見したのは、実話で、モデルとなった吉永虎馬さんが発見したんです。ところが・・・学名は田邊教授のモデルとなった矢田部良吉(やたべりょうきち)の名前で発表した横取り!?
今回は朝ドラ「らんまん」に登場するキレンゲショウマの発見者の吉永虎馬(よしなが とらま)さんの実話・史実をご紹介。矢田部良吉さんが学名を付けた経緯についてもまとめていきます。
ドラマ「らんまん」のキレンゲショウマの発見・学名発表のネタバレもご紹介するので、知りたくない人は閲覧注意です。
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キレンゲショウマの発見者は山元虎鉄と田邊教授!?のネタバレは?
まずは、朝ドラ「らんまん」で「キレンゲショウマ」を発見したネタバレをご紹介です。
20週のタイトルも「キレンゲショウマ」ということで重要なキーワードであることがわかりますね。
失意の底にいた田邊(要潤)は、妻・聡子(中田青渚)に背中を押され、植物の研究に本腰を入れるようになる。夏、田邊は学生たちと植物採集旅行へ出かけ、新種かもしれない花と出会う。生き生きと研究する田邊の姿に、大窪(今野浩喜)、波多野(前原滉)、野宮(亀田佳明)も熱を感じて…。同じ頃、虎鉄(寺田心)から万太郎(神木隆之介)の元に植物標本が届く。それはなんと、田邊が巡り合ったのと同じ花だった。
引用元:https://tv.yahoo.co.jp/program/115957619
第20週「#キレンゲショウマ」
🌸────────🌸次週予告をチェック!
らんまんはNHKプラスでも視聴できます!https://t.co/1Z2BnUMf4C#朝ドラらんまん#神木隆之介 #浜辺美波 #中田青渚 #要潤 ほか pic.twitter.com/7x3HERbyCL
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) August 11, 2023
物語は突如3年後になる20週は、千歳ちゃんは4歳になり、次に生まれた百喜(ももき)が2歳、そしてもう一人の子供を寿恵子が妊娠中です。
20週では、寿恵子が借金取りの対応をしたり、久々に佑一郎がアメリカから帰国して訪ねてきたり、田邊教授を高く評価していた森文部大臣が暗殺されるなど、様々な出来事が起こります。
そんな中、ヤッコソウを発見した山元虎鉄から美しい黄色の標本が届いた万太郎。
万太郎から、手紙をもらった虎鉄。
そんな虎鉄は、先生に見てもらいたいという標本を送りました。
うれしさで顔がほころぶ万太郎。「わしは一人じゃない。――ひたすら野に行ったら、きっと…誰かと歩けるき」#朝ドラらんまん#神木隆之介 #浜辺美波 #寺田心 pic.twitter.com/45DVmlWWeG
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) August 11, 2023
伊予の石鎚山で発見したと言います。虎鉄くん、ヤッコソウに続いて良い仕事します♪
一方、同じころ、田邊教授も石鎚山で黄色い花の植物に出会っていました。自分で採取して大学に持ち帰った田邊教授。
なんと田邊教授と山元虎鉄が発見した黄色い花は同じものだったんです。
そうとは知らず、田邊教授と万太郎はそれぞれ調査をスタートします。
万太郎と田邊教授はそれぞ、その黄色い花が「レンゲショウマ」に似た黄色い花を咲かせることから仮に「キレンゲショウマ」と呼ぶことにしていました。
新種かどうか確認するのには果実の標本が必要でした。万太郎はなかなか家から出ることができず、採集に行けませんでした。
そんな中、田邊教授は案内人に連絡を取り、果実の標本を手にいれて、「キレンゲショウマは世界でもまれにみる特異な植物である。この一種のみで1つの属を構成する新属新種である」という結論に辿り着きます。
そして田邊教授は自分の名前をつけた新種の植物の学名を書きつけることに。
後に、万太郎は、植物学雑誌で「キレンゲショウマ」の田邊教授による発表の論文を読んで「教授・おめでとうございます」とつぶやく・・・という展開です。
田邊教授と山元虎鉄が同じ新種を発見したものの、田邊教授の方が研究が早く進んで学名発表することができた平和な顛末でしたが・・・実は史実とドラマでは「キレンゲショウマ」の発見と学名発表の経緯などが違っているんです。
以降では、「キレンゲショウマ」の発見者と学名発表の実話についてご紹介していきます。
キレンゲショウマの発見者は吉永虎馬と矢田部良吉?
らんまん田邊教授の小説の作者は須藤南翠の「濁世」で丈之助じゃない?
キレンゲショウマとは?
まずは、キレンゲショウマについてご紹介です。
黄色い花を咲かせる「キレンゲショウマ」は日本原産で、アジサイ科キレンゲショウマ属の多年草です。
久々に六甲高山植物園へ
ほんとに涼しい#キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)
学名 Kirengeshoma palmata Yatabe
紀伊半島、四国山地、九州山地にブナ林などに自生するHave a lovely day(#^^#)
2023.8.6#六甲高山植物園#RokkoAlpineBotanicalGarden#TLを花でいっぱいしよう#朝ドラらんまん pic.twitter.com/E2i3Z4iPCV
— ひろ♪ (@3061hiro) August 6, 2023
おはようございます。野草園ではキレンゲショウマ、レンゲショウマ、スズムシバナなど夏の野草が咲いています。 #高尾山 #野草園 pic.twitter.com/cYSw1w6xep
— 高尾山さる園・野草園【公式】 (@Takaosan_Saruen) August 12, 2023
近畿~九州の山地の林内に生息し、草丈は120㎝ほどとのこと。
キレンゲショウマの発見者は吉永虎馬と矢田部良吉?
そんなキレンゲショウマの発見者について、ご紹介していきます。
キレンゲショウマは、田邊教授のモデルとなった東京大学の初代植物学教授・矢田部良吉さんが1890年(明治23年)に日本人として最初に発表した属で和名をそのまま学名「Kirengeshoma palmata Yatabe」にしました。
おはようございます、暑い日、気をつけてお出かけを🌤️
レンゲショウマに似ていますが科が違ってアジサイ科の花で蕾などそっくりです。朝ドラの「らんまん」に登場する田辺教授(モデルは矢田部良吉)が名前をつけたそうです、学名がKirengeshoma palmata Yatabeとなっています🌱#キレンゲショウマ pic.twitter.com/Oi0pOmwloP— 花鳥風月 四季 (@JKHb7300H5YfzP3) July 24, 2023
1888年(明治21年)8月9日に石鎚山で矢田部教授自身が採取したと記録されています。
しかし・・・矢田部教授がキレンゲショウマを発表する7日前に、吉永虎馬さんによって発見されたいことが判明しています。
吉永虎馬さんは、ドラマでの山元虎鉄のモデルと思われる人物です。
山元虎鉄【やまもとこてつ】モデルは山本一と吉永虎馬でヤッコソウとキレンゲショウマを発見!
吉永虎馬さんは1871年生まれ。幼少のころから牧野富太郎さんと野山を歩いていて、交流がある方で、コケ類の研究者としても知られています。
菌類やコケ類の研究も行い、明治26年高知で採集したコケ類の標本をコケ類研究の世界的権威であるドイツのステファニーに提供し、日本におけるコケ類研究の端緒を開いた。サカワヤスデゴケ・ミカンゴケの発見者としても知られる。
引用元:https://kotobank.jp/word/%E5%90%89%E6%B0%B8%20%E8%99%8E%E9%A6%AC-1658478
そんな吉永虎馬さんは18歳だった1888年(明治21年)8月3日、海南学校に通っていて先生や生徒たちと一緒に石鎚山を登山していました。
そこで黄色い花を発見(後のキレンゲショウマ)。一方、同じ日に石鎚山に植物採集に来ていた矢田部教授一行は、豪雨のために、足止めをくっていました。
この情報を知った吉永虎馬さんは、矢田部教授に、黄色い花の鑑定を依頼します。その花を見て矢田部教授は驚き「レンゲショウマ」と似ていたことから「レンゲショウマの一種でキレンゲショウマと言ったらよいのでは?」と言いました。
その後、矢田部教授一行は、吉永虎馬さんに同行して石鎚山に向かいましたが、石鎚山の北側へは難所だったため、行くことができず、手前の筒上山から沢に分け入った場所で同じ植物を発見し、これが矢田部教授が採取した標本となります。
ここまでの経緯を見てみると、最初のキレンゲショウマの発見者は吉永虎馬さんなのでは?と思います。
キレンゲショウマの発見者は吉永虎馬なのに矢田部良吉が学名を横取り?
らんまん田邊教授の妻のモデルは実在の18歳年下の柳田順でスキャンダルに!?
その2年後には吉永虎馬さんが秋に石鎚山に登り、果実期を採取しました。
矢田部教授は吉永虎馬さんが採取した果実期と2つのタイプの標本を示して論文を記載、学名を「Kirengeshoma palmata Yatabe」と付けました。
ちなみに、牧野富太郎さんは、ヤッコソウを発見した中学生の教師の山本一さんから鑑定を依頼されて学名をつける時に、標本の採取とやり取りをしてくれた山本さんの名前を学名にいれて「Mitrastemon yamamotoi」と入れています。
中学生の名前を入れてほしかったと個人的に思うところはありますが(^^;矢田部教授と牧野富太郎さんとの違いに違和感を感じるのは私だけではないはずですね。
吉永虎馬さんが初めてキレンゲショウマを発見した石鎚山の地点には矢田部教授一行は行っていません。
しかし、学会には矢田部教授自らが石鎚山の標高5000フィート以上の疎林にてこの植物を初めて発見したと報告したと言います。
これって、嘘ですよね(^^;
なのでキレンゲショウマについては、発見者が間違っていると記載されている資料が多いです。
矢田部教授が学名に吉永虎馬さんの名前を入れたり、発見時の状況をそのまま説明していれば、このようなモヤモヤとした結果にはなっていなかったかもしれないですね。
引用元:https://www.yokogurayama-museum.jp/wp-content/uploads/2022/03/vol_35.pdf
ドラマでは、このあたりの微妙な横取り問題はスルーして、「キレンゲショウマ」の発見者を田邊教授として描いている史実とは違うストーリーになっているようです。