俺の家の話ネタバレ原作あらすじ1話~最終回!さくらの後妻業の真相は?

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長瀬智也(ながせともや)さんが主演を務める金曜ドラマ「俺の家の話(おれのいえのはなし)」が2020年1月22日から放送となります。

長瀬智也さんが演じるのは「能楽」保持者で人間国宝の父を持つプロレスラーの観山寿一(みやまじゅいち)です。

17歳で家出しプロレスラーとなった寿一ですが、父親の介護の為に引退して実家に戻ることになります。

寿一が家に戻り離れ離れになっていた家族が集まり巻き起こっていく、介護と遺産相続のバトルをコミカルに描いた作品です。

なかなか斬新なストーリーですよね(^^;

金曜ドラマは「キワドい2人-K2-池袋署刑事課 神崎・黒木」「恋する母たち」と、原作があるドラマが続いていましたが、今回「俺の家の話」にも原作があるのでしょうか。

ドラマのあらすじネタバレや脚本家も気になるところですよね。

この記事はTBSの金曜ドラマ「俺の家の話」の原作ネタバレ、あらすじそしてキャストなどドラマの情報をご紹介していきます。

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長瀬智也さんとクドカンタッグの作品

◆池袋ウエストゲートパーク

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その他にも以下の人気作品など

◆ドラゴン桜シーズン1【新垣結衣、山下智久出演】

◆アノニマス~警視庁”指殺人”対策室~

◆日曜劇場 天国と地獄

◆オー!マイ・ボス!恋は別冊で

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◆逃げ恥新春スペシャル

◆キワドい2人

◆私の家政夫ナギサさん

◆大恋愛

◆SPECシリーズ

◆この恋あたためますか

◆義母と娘のブルース

◆逃げる恥だが役に立つ

◆アンナチュラル

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◆危険なビーナス

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◆凪のお暇

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目次

俺の家の話の原作ネタバレや脚本家は?

書けないッ!?ネタバレ!原作あらすじ脚本家キャスト【吉丸圭佑の筋書きのない生活】

俺の家の話は原作のない脚本家のオリジナルストーリー

金曜ドラマ「俺の家の話」は原作のないオリジナルストーリーです。

オリジナルのストーリーで介護問題と相続問題に切り込んだ作品となっています。

今回脚本を務めるのは主演の長瀬智也さんとはこれまで何度もタッグを組んできた人気脚本家です。

その脚本家とは誰なのでしょうか?

俺の家の話の脚本家はクドカン!長瀬智也とのヒット作多数!

「俺の家の話」の脚本家はクドカンこと宮藤官九郎(くどうかんくろう)さんです。

宮藤官九郎さんは大学中退後に劇団「大人計画」で演出助手として所属しながら、バラエティ番組の構成作家としても活動をしていきます。

1999年から脚本家として活動を始めるようになり、2000年に脚本を務めた長瀬智也(ながせともや)さん主演の「池袋ウエストゲートパーク」が大ヒットします。

このドラマにより宮藤官九郎さんは脚本家として人気となり、長瀬智也さんも俳優として注目されるようになります。

その他にも

「木更津キャッツアイ」

「流星の絆」

「あまちゃん」

「ゆとりですがなにか」

「いだてん〜東京オリムピック噺〜」

などの数々の名作を世に送り出してきました。

長瀬智也さんとはドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「タイガー&ドラゴン」「うぬぼれ刑事」映画「真夜中の弥次さん喜多さん」「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」でタッグを組んでいます。

本当にすごい数ですね。

今回長瀬智也さん主演のドラマの脚本を担当するのは11年ぶりですが、これまで数々のヒットを飛ばしてきた2人がまた一緒にドラマをするということで、視聴者はかなり楽しみにしていると思います。

毎回魅力的な主人公を描く宮藤官九郎さんが、「俺の家の話」では寿一をどのようなキャラクターにしていくのかとても楽しみです。

 

 

俺の家の話ネタバレあらすじ1話~最終回まで

にじいろカルテネタバレ!原作あらすじと元ネタや脚本家は?

以下は第1話のあらすじです。

俺の家の話1話ネタバレあらすじ!さくらはまさかの後妻業!?

プロレスリングでマットに叩きつけられ、ロープへ投げ飛ばされながらも、ブリザード寿こと観山寿一(長瀬智也)は、自分の家族について思いを馳せていた。
寿一は幼少時代、重要無形文化財「能楽」の保持者である父の観山寿三郎(西田敏行)から一度も怒られたことがなかった。一緒に悪さをしても、怒られるのは弟子で芸養子となった寿限無(桐谷健太)のみ。しかし寿三郎は、初舞台以降「神童」と讃えられた寿一を褒めることもなく、それが幼い彼の心を傷つけていた。やがて反抗期を拗らせた寿一は、母の死後、家を出てプロレスラーの道へ進む。そこには、寿一が憧れていた家族の形があった。

さらに時は流れて現在。ピークを過ぎたレスラーとなった寿一の元に寿三郎危篤の知らせが飛び込んできた。急いで病院に駆け込んだ寿一は、久しぶりに会った弟の踊介(永山絢斗)と妹の舞(江口のりこ)から、一昨年に寿三郎が脳梗塞で倒れたことを聞かされる。別れの挨拶は2年前に済ませたと遺産や相続の話を始める弟妹に激昂する寿一。そして寿一は二十八世観山流宗家を継承すべく、プロレスラーを引退することを決めるのだった。

引退試合を終えた寿一を待っていたのは、寿三郎が退院したという知らせだった。一門の幹部、そして家族を前に、これまでの威厳はどこへやら、デイケアサービスで寿三郎の担当ヘルパーだった志田さくら(戸田恵梨香)と結婚すると言い出した寿三郎。呆気にとられる寿一ら家族を余所に、自身の余命とすべての遺産をさくらに相続すると告げ・・・!?

引用元:公式サイト

長瀬智也さんが演じるのは主人公観山寿一です。

寿一は西田敏行(にしだとしゆき)さん演じる重要無形文化財「能楽」の保持者観山寿三郎(みやまじゅさぶろう)の長男として生まれました。

4歳で初舞台を踏みますが、17歳の時に家出しプロレスラーになります。

かつては人気プロレスラーだった寿一ですが、全盛期を過ぎ、「さんたまプロレス」でレスラーとして活動していました。

そんな寿一に寿三郎の危篤の連絡が入り、25年ぶりに家に戻ります。

父が病を患っていたことを知った寿一はプロレスラーをやめて、父の介護と後を継ぐことを決意します。

そんな中奇跡的に回復し退院した寿三郎は戸田恵梨香(とだえりか)さん演じる介護ヘルパーの志田さくら(しださくら)と結婚し遺産を全て相続すると家族たちの前で言います。

こうして家族やさくらを巻き込み、介護と遺産をめぐるバトルが勃発します。

様々な問題の中で見つかる家族愛を描いたヒューマンドラマです

俺の昔の話

さんたまプロレスのブリザード寿こと観山寿一(長瀬智也)とスーパー多摩自マン(勝村周一郎)の試合会場。

やられていたブリザード寿がスーパー多摩自マンに技を決め、決めポーズで「ブリザート
!」と叫びます。

が、直ぐに反撃にあうブリザード寿。

寿一の声:ロープに飛ばされてる最中だが、今から俺の家の話をする。俺の家には舞台があった。

回想シーン。

子供の寿一と寿限無が舞台でプロレスごっこをしていると、寿一の父・寿三郎(西田敏行)が見ていました。

寿一の声:親父は日本を代表する能楽師。人間国宝だ。観山寿三郎。27世観山流宗家にして重要無形文化財カッコ認定、全日本能楽協会理事長、全国に1万人以上の門弟を持つ。

寿三郎の門下の男が「こら、寿限無」と箒を振りかざして寿限無に走り寄り、寿限無を箒で叩きます。

寿一の声:親父は決して俺を叱らなかった。一緒に悪さしても、叱られるは決まって弟子の寿限無だけ。

子供の寿一、寿限無、妹の舞が寿三郎から稽古を受けています。

寿一の声:兄弟は年子の妹・舞と7つ下の弟・踊介。母さんは優しくて控えめな人だった。控えめすぎて、顔も思い出せない。

台所で料理をしていた寿一の母親が振り返るとその顔には能面がつけられています。

リングの上でスーパー多摩自マンに技をかけられるブリザード寿に「足を使え」と声を掛けるプリティ原(井之脇海)。

寿一の声:親父は長男の俺を跡継ぎにしようと考えた。4歳で初舞台を踏むと、俺は才能を開花させ、神童と呼ばれた。

子供の寿一が笠を被り、舞台に正座し、寿一の頭の笠を棒で叩き「動くな」と叱咤する寿三郎。

寿一の声:だが、親父は決して俺を褒めなかった。親父に褒められたい一心で、俺は稽古に励んだ。

リングの上でスーパー多摩自マンに殴られても動かないブリザード寿に「動いて!」と声を掛けるプリティ原。

子供の寿一が寿三郎に笠を叩かれ、「動くな」と叱責されています。

寿一の声:あのまま稽古を続けていれば、今頃、俺は・・・

プリティ原が「寿一さん、集中!」と声を掛けます。

寿一の声:分かってる。

と、ブリザード寿は反撃に出て、スーパー多摩自マンに決め技を決めます。

そうそう、集中して。

技を決めながら、ブリザード寿(寿一)は「俺はもっと親父と喋りたかった~!」と言います。

子供の寿一が大人の弟子たちと一緒に寿三郎と茶の席に着いていますが、寿一と寿限無は末席です。

寿一の声:だが、親父の周りにはいつも大勢の大人がいた。袴姿で「よぉ」とか「えぇい」とか「さて」とか奇声を発する何考えてるか分からない無表情の大人たち。

子供の寿一が寿限無にちょっかいを出してじゃれ合っていると、それに気付いた寿三郎が門下に何か囁きます。

寿一の声:いつしか親子の会話は消滅した。

門下は寿限無の頭を叩き、寿一に和菓子を渡しながら「ぼっちゃん、宗家が足を崩すなと」と小声で囁き、寿一は寿三郎を見ますが、寿三郎は大人たちと談笑しています。

寿一の声:俺は親父の顔色を窺いながら成長し、やがて・・・

リングのブリザード寿がロープに手を伸ばし、「反抗期・・・反抗期が来た~!」と叫び、ロープを掴みます。

回想シーンでは成長した寿一が家の廊下でスケボーをしている処に寿三郎がやって来て「何やってんだ、寿一!」と言います。

スケボーが出来る廊下って・・・どんだけ広いんでしょう?

寿一の声:流石にこれは怒られた。

寿三郎は「お前は俺の跡を継ぐんだぞ。28世宗家の自覚を持て、自覚を!」「なんで俺なんだよ。寿限無の方が巧いじゃん。なんで俺なんだよ?!」「・・・そういうもんなんだよ」と去ろうとする寿三郎の背中に「そういうもんじゃわかんねぇし。わかんなきゃ継げないよ!」と言う寿一を残して去る寿三郎。

寿一の声:16の時、母さんが死んだ。46歳の若さだった。親父はその年の演劇賞を総なめにして、17歳で俺は能を捨て、プロレス界の門を開いた。

プロレスラーになってバツイチになった俺

必死に筋トレをする17歳の寿一。

寿一の声:そこでの俺は大勢いる門下生の一人に過ぎなかった。誰も俺を特別扱いしない。

リングで鍛錬を受ける17歳の寿一。

寿一の声:怠ければ檄が飛び、努力は正当に評価される。

門下生で囲む食卓で、楽しそうな17歳の寿一。

寿一の声:会長を頂点にした完全な家族。俺の求める家族の姿がそこにあった。

自分の部屋で「おう、おう」とブルーザー・ブローディの掛け声の練習をする17歳の寿一。

寿一の声:超獣ブルーザー・ブローディに憧れていた俺は“ブルーザー寿一”というリングネームでデビューすると決めていた。だが・・・

大人になった寿一(長瀬智也)のデビュー戦。

「青コーナー!」と寿一を呼び込む司会の男が英語で書かれた「Bruiser」を読めずに「ブリ、ブリ、ブリザード・ことぶき~!」と呼び込み、不満そうな顔で司会者を見る寿一。

カタカナで書けば良かったですね・・・。。

寿一の声:デビュー当時のブリザード寿はアイドルレスラーだった。得意技は「寿固め」と「ブリザード・チョップ」。初めて長州さんと対戦した年に結婚。武藤さんと対戦した年にマンションを買い、蝶野さんと対戦した年に男の子が生まれた。

リングでスーパー多摩自マンの猛撃を受けるブリザード寿。

プリティ原が「タマさん、やばいですって。死んじゃいます!」と声をあげ、客席にいる寿一の息子・秀生(羽村仁成)が漢字ノートに「四ぬ四ぬ」と書きます。

寿一の声:その後、アメリカへ武者修行の旅に出て、プエルトリコ地区チャンピオンを獲得したが、防衛戦で大けがを負った。

左足を抑えながら担架で運ばれるブリザード寿の回想シーン。

寿一の声:これでもう能の舞台には立てない。何故かそんな考えが頭をよぎった。帰国すると、妻から離婚を切り出された。ピークはとうに過ぎていたが、養育費とマンションのローンが2000万も残っていた。堀会長(三宅弘城)に誘われ、さんたまプロレスに拾って貰って、現在に至る。

リングでブリザード・チョップを決めるブリザード寿。

勝利したブリザードはマイクを取り、久々の勝利を喜び、「心の中でご唱和ください。おひさしブリザード!」と叫びました。

これだけ他のことを考えていて勝てたのは奇跡ですね。

父親の危篤と兄弟との久々の再会と家族との温度差

さんたまプロレスの楽屋。

スーパー多摩自マンが寿一に「蹴り、やばいところ入っちゃいました?」と聞き、寿一は「全然。お前そんなつまんないこと気にしないで、もっと思いっ切り来いよ。ファンに失礼だろ」と言い、肩を冷やしながら「いたっ!」と腰も押さえます。

「え?膝も腰もですか?全身じゃないっすか」とスーパー多摩自マンは言い、「全身痛いってことは全身痛くないってことだし」と言う寿一。

堀が楽屋に飛び込んで来て、「寿、大変だ。親父さんが危篤だって」と告げます。

大学病院の病室。

ベットで眠っている寿三郎と傍らに並んで座る舞(江口のり子)と踊介(永山絢斗)。

寿一と秀生が病室に着き、寿一は寿三郎のベッドに歩み寄り「親父」と言います。

舞が「ちょっと(舌打ち)知らせたの?」と踊介に言い、踊介は「まさか。寿限無だろう」と言いました。

舞は寿一に「座れば?来ちゃったんだから」と言い「はい」と寿一。

秀生が「この人、おじいちゃん、何で寝てるの?」と聞き、「ああ、息子の秀生。ごめん、今日たまたま週一回の面会日で」と言う寿一に舞が「一昨年、脳梗塞で倒れたのよ。聞いてる?兄貴に話してんだけど」と言うと、寿一は「ああ。あ!舞か」「舞です!妹の!ご無沙汰してます!」と舞。

25年も会わなかったら分かりませんよね。

舞は続けて「幸い軽傷だったんだけど、下半身に麻痺が残って、身の回りの世話は寿限無がやってくれて、私と踊介が交代で様子見に通って」と言い、踊介が「最近は俺たちも忙しくて、週に2回リハビリも兼ねてデイケアに預けてたんです」と言うと、寿一の横に立っていた介護ヘルパーの志田さくら(戸田恵梨香)が「あつまれ安らぎの森スタッフのさくらです」と寿一に言い、お辞儀をします。

「体操の時間、ちょっと目を離したら、寿三郎さん、倒れてて」とさくら。

「最悪、意識が戻らないままってこともあるらしい」と踊介。

「あ、いくつだっけ?」と聞く寿一に舞が「まだ72。でも糖尿だし、心臓の手術もしてるしね」「いつ?」と聞く寿一に踊介は「なんにも知らないね、あんた。長男のくせに」と言い放ちました。

さくらが「今日はもう遅いですし、何かありましたら連絡差し上げますので」と言い、舞は「そうね。帰りましょう」と言い、寿一に「ほら、行くよ。これからの話もしなくちゃなんないんだから」と言うのでした。

どうやら観山家の主導権は舞が握っているようです。

弟子の寿限無との再会

観山家。

寿限無(桐谷健太)が玄関先で待っていて「寿一ちゃん!おかえり!」と迎えます。

「え?寿限無?おーっ、久しぶり!」と寿限無に抱きつく寿一。

母親の仏前に手を合わせる寿一。

舞は息子の大州(道枝駿佑)に秀生を連れて稽古場に行くように言いつけ、大州は秀生を連れて出て行きます。

「お前にあんな大きな子がいるとはなぁ」と舞に言う寿一に「反抗期で大変よ。ビール飲んでいいよね?」と言いながら冷蔵庫にビールを取りに行く舞。

「始めるよ」と言う踊介に「大きくなったなぁ、踊介。仕事は?まだ独り身か?」と寿一。

「寅さんか?フウテンの。フラッと帰ってきて、自分のペースでしみじみしやがって」とお茶を飲む踊介。

「金のバッジが目に入らぬか。弁護士先生よ。ちなみに私は進学塾の講師です」と舞。

「へぇ~、ていうか、お前ら能は?やめたのか?」と寿一が聞くと、踊介が「あんたが奔放すぎて堅実に生きるしかなかったんだよ」と言い、寿限無が「稽古は続けてますよね。舞さんも大州くんも中々筋が良いんだ」と言うと舞は「本当?あの子、宗家継げそう?」と聞き、「いや、それは」と寿一を見る寿限無。

舞が「兄貴はパスだよね?」と寿一に聞くと寿一は「え?ああ」と言い、踊介がこの先何があるか分からないからグループラインを作って情報を共有しようと言い、スマホを出します。

舞もスマホを出し「ほら、兄貴も。招待するから」と言い、寿一はガラケーを出しました。

それを見た舞は「スマホ、買ってからね!」と言うのでした。

寿一さん、ガラケーでラインやる気満々でしたけど・・・。

「で、財産分与の件だけど」と言う舞に「おい」と言う寿一に「誰も言わないから私が言うけど、遺産て全部でいくらあるの?」と聞く舞。

踊介に言われて帳簿を持ってきた寿限無が財産の状況を説明し、「ざっとこんなもんかな」と踊介がスマホで計算した数字を舞に見せ、舞は「マジで?!流石、人間国宝」と言います。

相続税の話をする踊介と舞に「お前ら心配じゃないのか?」と寿一。

親父が今、病院でいっぱいの管付けられて死にかけてるのに残酷だよ、と言う寿一。

ライン交換よりも親父を囲んで励ましたり、感謝の想いを伝えたり・・・と言う寿一に踊介が「そんなの二年前に終わってんだよ!」と言い「もう次のフェーズに入ってんだわ、うちら」と言う舞。

「フェーズ?」と言う寿一に、色んな意味で覚悟が出来てしまっていると言う踊介。

「フェーズ?」と言う寿一に、皆、寿三郎が倒れる瞬間を見ていたと舞台で寿三郎が倒れた時の様子を伝える寿限無。

そのまま3週間意識が戻らず、その時に散々泣いて、お別れの言葉もいっちゃったからと言う舞。

「フェーズ?」とまだ言う寿一に「段階だよ!!段階、段階!悪かったよ!使ってみたかったんだよ!」と舞はキレました。

「なんで知らせなかったんだ?」と言う寿一に寿限無が「電話したら、プエルトリコで武者修行してるって」と答えます。

「綺麗ごとじゃねぇんだよ。分かる?残酷にならなきゃやってらんない日々だよ。週2回のデイケアだってな。楽しやがってって思ってるかも知んないけど、朝、足元おぼつかない親父をバンに乗せて、俺らがどういう気持ちでいるか分かってるか?」と踊介。

「重たいのよ、ほんと。親だと思うと、倍重たいのよ」「もう人間国宝じゃない。ただの重たいじじいなんだ。27世宗家観山寿三郎はあの日、舞台で死んだんだ」と舞と踊介は言うのでした。

寿一は「生きてるよ!親父はまだ生きてるよ、馬鹿野郎」と席を立ち、出ていきます。

「今更、長男面しようったって、そうはいかねぇよ」と踊介。

介護は、特に身内の介護は大変ですよね。

寿限無が「待ってよ、寿一ちゃん」と玄関に飛び出してくると、玄関で寿一が蹲っていました。

泣きながら「リングシューズなんか履いてくるんじゃなかった」と言う寿一に「クロックス貸そうか?」と寿限無。

「今更、どの面下げて」と言う寿一に「そっか」と手に持ったスマホを見ながら「病院行くならこれ、持って行って貰おうと思ったんだけど」と充電した寿三郎のスマホを渡します。

ひでぇ長男だよな、25年もほったらかしてと言う寿一に、それでも寿一に継いで欲しい、寿三郎もきっとそう思っていると言う寿限無。

自分には資格がないという寿一に寿限無は自分は資格が欲しくて寿三郎の世話をしているのではない、寿一が帰ってくるのをずっと待っていたと言いました。

寿三郎のスマホを見て表情が変わる寿一に、寿限無は「今、決めなくてもいいけど、いつかは昔みたいに二人で舞おうよ」と言い、寿一はスマホをポケットにしまい「わかった」と言います。

「本当?!」と喜ぶ寿限無に寿一は「そんなでっけぇ目で言われたら、考えねぇわけにはいかねぇよ」と言い、バイクで病院へ向かいました。

学習障害の息子との関係と俺と父親の関係

観山家の稽古場。

ゲーム機で漢字の書き取りをしている秀生を見ている大州の処へ舞が来ます。

小学校5年生で「松」という漢字が書けない秀生。

寿一の声:秀生は学習障害と診断された。

医師に診断を受ける寿一と妻・ユカ(平岩紙)の回想シーン。

医師は学習障害の別に多動症の兆候も見られると告げました。

寿一の声:せめて週一回、一緒に勉強して苦手意識を克服させようとした。

逃げる秀生を抱えて部屋に連れ戻し、漢字の勉強をさせる寿一の回想シーン。

そうだったんですね、秀生くん。

寿一の声:親父は勉強を教えてくれたことなんか一度もなかった。運動会も、父親参観も、卒業式すら来てくれなかった。ただ一つ、俺と親父の共通言語、それがプロレスだった。

子供の寿一とテレビで楽しそうにプロレスを見て盛り上がる寿三郎の回想シーン。

寿一の声:寡黙で厳格な父がプロレスを見ている間だけ、子供みたいにはしゃいで饒舌になる。

大学病院の寿三郎の病室に着く寿一。

寿三郎のベッドに寿三郎のスマホを投げると待ち受けのブリザード寿の姿が映し出されます。

寿三郎さん、寿一さんを想っていたんですね。

「親父」と呼び掛ける寿一に「席、外しましょうか?」とさくら。

「25年間、ずっと考えてた。なんで俺なのか。長男だから、勘がいいから、性格が素直だから、顔が濃いから」とさくらを見て「まだいたのか?」と言う寿一。

「あ、すみません、出ます」とさくら。

「そんなもんじゃねぇ。親父の跡を継ぐ理由が、そんなどっかから借りてきたような言葉でいい訳がねぇ。もっとオリジナルの、世界中で俺しか持ってないような、世界タイトルチャンピオンベルトみたいな、そんな何かじゃねぇと納得できねぇ」と言う寿一に「そうかな」とさくらが言います。

「そうだよ」と言う寿一に「親の跡を継ぐって、一番楽っていうか、安易なコースじゃないんですか?親の敷いたレールの上を何も考えずに歩くだけですよね?難しく考えすぎなんじゃないですか?・・・すいません。出ます」と言うさくら。

寿一は寿三郎に向かい「そういうもんだって、あんた言ったよな。だったら言わせてくれ。子供は親に褒めてもらいたい。そういうもんなんだよ。褒めてもらいたかった。褒めて欲しくてレスラーになった。世界タイトルのチャンピオンベルト持って帰ったら、流石に褒めてくれるだろうって。我武者羅になってやったけど、プエルトリコ王座止まりだった」と言い「あれ?親父の携帯」と寿三郎のスマホが無くなっていることに気付く寿一。

しかし、「まぁ、いいや」と言い、「親父。今更だけど、継ぐよ、俺。あんたの跡、継ぐよ、継いでやるよ。28世。だから褒めてくれよ、親父。今度こそ褒めてくれよ、なぁ、親父」と寿一が語りかけていると寿三郎の計器のアラームが鳴り始め、さくらがナースコールを押し、先生を呼びに行きました。

アラームがなり続ける部屋で「喋りたかったぜ、親父。俺の話、あんたの話、家族の話。今度こそ褒めて欲しかったぜ」と泣く寿一。

ふらふらと商店街を歩く寿一にブリザード寿を知るサラリーマンが握手を求めますが、反応しない寿一に「無視すんなよ~」とサラリーマンが言いました。

俺の引退試合

さんたまプロレスの試合会場。

ブリザード寿の引退試合が始まります。

引退しちゃうんですか、ブリザード寿?!

5日前。

さんたまプロレスの事務所で長州(長州力)に「辞めてどうすんだ?」と聞かれる寿一。

「家業を継ぎます。一応、長男なんで。息のあるうちに親孝行したくて」と言う寿一に「貯金は?ローンもあるんだろ?」と堀が聞き、「それは親父の遺産でなんとか」と寿一。

「まぁ、潮時じゃないか、42だし」と言う長州。

寿一に「いや、まだやれますって、ブリザードさん」と言うプリティ原に長州は「プリティ!俺たちが勇気をふり絞るのはなぁ、リングシューズを履くときじゃねぇんだよ!脱ぐときなんだよ!察してやんな!」と言います。

プリティはぼそっと「何言ってっか分かんねぇよ」と言い、寿一に「だったら、ブリさん、引退試合、自分とタッグ組んでください。ブリザート寿の最後の花道、俺がきっちり盛り上げますんで」と言いました。

そして、ブリザード寿の引退試合当日。

「ブリさんを踏み台にさんたまプロレスをしょって立つレスラーになります」と言葉通りに自分でスーパー多摩自マンを倒してしまうプリティ原。

ダメじゃん、プリティ原くん。

楽屋で長州に「お前が決めてどうすんだ?」と叱られ、「すみません。なんかゾーン入っちゃって」と言い、堀に「なんのゾーンだよ、バカ!!見ろ、今日の主役を!汗一つ掻いてねぇよ!」と言われ、寿一を見るプリティ原に「お疲れ」と言う寿一。

堀は前代未聞だと怒り、長州は怒って楽屋を出ていき、堀は慌てて長州の後を追います。

スーパー多摩自マンはプリティ原が先輩をパクったマイクパフォーマンスでマイクを壊し、寿一がマイクを使えなかったことを責めました。

マイクが使えなかったブリザード寿(寿一)はマイクを投げ捨て、「みなさん、親は大切に。家族を大切に!ブリザード!ありがとう!」と言ったのです。

「ブリさんの花道、思いっきり汚しちゃって」と泣くプリティ原に「いや、あれはあれで俺らしい最後だったよ」と言い、自ら髪に鋏を入れる寿一。

すると、そこへ堀が駆け込んできて、寿三郎が退院したと告げるのでした。

いきなり退院ですか?!

俺の父親の突然の衝撃すぎる告白

能の舞台に電動車椅子に乗り満面の笑みで登場する寿三郎。

それを客席で見守る家族と門下たち。

兄弟の話も耳に入らず、寿一は舞台上の寿三郎に歩み寄ります。

寿三郎はブリザード寿のグダグダの引退試合を見たと言い、「生きていて良かった」と言いながら寿一は舞台の端まで来た寿三郎により、舞台から落とされました。

寿三郎は良い知らせと悪い知らせがあると言い、良い知らせとして自分が余命半年から1年であることを告げます。

そして、もっと良い知らせとして、さくらを舞台上に呼び、さくらと結婚すると告げました。

舞たちにさくらを「お母さん」と呼びなさいと言い、さくらを膝に乗せ、ラブラブぶりを見せつける寿三郎。

「72年間、我慢して生きてきたから最後の1年は好き勝手やる」とさくらを膝に乗せたまま、去ろうとする寿三郎に寿一が「悪い知らせは?」と聞きます。

「言ってなかったっけ?」と寿三郎は振り返り、「私の資産は全てこのさくらちゃんに譲渡します。お前たちにはびた一文あげまセンチュリーハイアット」と言い切り、さくらと「言っちゃった~」と笑い合いながら去る寿三郎。

いや、寿三郎さん、気持ちは分かりますが、弾けすぎでは?

さくらとの馴れ初めは

観山家。

家族会議の席で、動画を見て盛り上がる寿三郎とさくら。

寿限無が「お二人に代わって」と寿三郎とさくらの馴れ初めを説明します。

デイケア・あつまれやすらぎの森に馴染めずに逃亡を繰り返していた寿三郎が担当がさくらに変わった途端に立ち上がって喜び、ある日、さくらに倍の給料を出すので在宅で介護してくれとプロポーズし、週に5日在宅で介護をするようになった、とさくらの話も交えて伝えられます。

反対する舞と踊介に、自分も寿三郎を愛していると言うさくら。

騙されていると言う舞と踊介とさくらの「愛してる」に浮かれる寿三郎では、埒が明かないので、舞の主導で話は跡取りの件に移りました。

「一人、立候補した奴がいるんだよ。ねぇ、さくらちゃん」と寿三郎が言い、さくらがスマホの動画を再生します。

動画は寿一が病室で寿三郎に自分が跡を継ぐと言っているもの。

「大事なお話でしたので、失礼とは知りつつ、録画させていただきました」とさくら。

「マジかよ」と踊介。

寿三郎は「一銭にもならないのになぁ」と笑い、寿一が「いや、あの時は、親父も意識なくて」と言い、「死にかけてるから、ノリで言っちゃった?ナメれれたもんだなぁ。寿限無、私とお前とで一年365日、欠かさず稽古で積み上げた芸を、この図体ばかりの放蕩息子が、ただ長男だからっていう理由でかっさらってくんだぞ」と言うと

「そんなんじゃねぇよ」と言う寿一に「金目当てはお前だろう。俺の意識のないのをいいことに」「違う!」「だったら!継いでやるじゃねぇだろ?謹んで、継がせていただきますだろ?!・・・話はそれからだよ。言ってみろ」と寿三郎。

寿三郎を睨みつけながら「継がせていただきます」と言う寿一。

寿三郎が「羽衣」を謡い出すと、寿一以外の皆が居住まいを正します。

「どうした?忘れたか?」と寿一に聞く寿三郎に後を続けて謡う寿一。

しかし、寿三郎は寿一の声には艶が無いと止め、寿限無に謡わせます。

居住まいを正し、再び謡う寿一。踊介と舞も謡います。

全員で声を合わせて謡う迫力にさくらが怯え、それに気付いた寿三郎が皆を止めました。

確かにちょっと怖いよね、さくらちゃん。

「ま、誰が継ぐかは私が決める。遺言状もちゃんと書く。遺産目当てなら精々嫌われないように介護しなっせ」と言う寿三郎を睨む寿一。

さんたまプロレスの寮。

荷物を纏めている寿一。

寿一の声:これで良かったんだろうか?無論、遺産目当てじゃない。けど、一銭にもならないとは。少なからず期待していた自分にも腹がたった。

写真立ての裏の古い家族写真の寿三郎の笑顔を見て「いいんだこれで」と呟く寿一。

写真立てを大切に荷物に収め、寿一は髪に鋏を入れるのでした。

断髪式・・・なんでしょうか?

街。

携帯ショップから出てくる短髪になった寿一。

寿一の声:売れるものは全て売り払い、携帯を買い替え、俺は25年ぶりに実家に戻った。
親父の介護をするために。

親父の介護計画

観山家。

老眼で見づらいスマホと向き合っている寿一。

めちゃくちゃ分かります、寿一さん(笑)

そこへ「お兄さん、老眼すか?」とO.S.D(秋山竜次)が来て、寿一の正面に座ります。

「誰?」と聞く寿一に「旦那。元ラッパー」と言う舞に「元じゃねぇし、今、ちょっと自粛してるだけだよ」とO.S.D。

自分をO.S.Dと自己紹介するO.S.Dの横から「長田さん」と言い、寿限無が来ながら「都内でラーメン屋4店舗経営してるんだって」と言い、「週6で厨房立ってます」とO.S.D。

「もうラーメン屋じゃんて思うよね。でもラッパー。そこが好き」と舞。

古典芸能マジ、リスペクトと語るO.S.Dに押され気味の寿一に舞はよく聞いていると普通のことしか言ってないから大丈夫と言い、また「そこが好き」と言う舞。

寿一の背後のふすまが開き、寿三郎とさくらが現れました。

さくらが「始めちゃって宜しいですか?」と聞き、踊介がまだだけと良いと舞が答え、さくらは「じゅじゅの介護計画」と書かれた数冊のノートをテーブルに置きます。

そしてさくらは、自分が極力付きっきりで寿三郎の世話をするが、自分は介護職員初任者研修を受けている最中なので、寿三郎の入浴など身体に直接触れる介護は親族以外出来ないので、皆さんに交代でお手伝いをお願いしたいと言うのです。

O. S.Dは「水臭いなぁ、さくらちゃん。もっと甘えてほしいなぁ」と調子の良いことを言いますが、現実的な曜日割り当ての話になると、予定が埋まっていて、舞が月曜日は大州と泊まると言い、火曜日を寿一に振ろうとすると、さくらは寿一には別でお願いしたいことがあると言い、到着した踊介が自分は土日以外は基本パスと言いました。

毎曜日の予定を読み上げるO.S.Dに「もう良いよ、ラーメン・ボーイ」と寿三郎。

「お前たちもお前たちだよ。もういいよ。いやいやするんだったら、介護なんかせんでいい、もう。ほっといてくれ、もう」と寿三郎が言うと「俺がやるよ。その為に帰ってきたんだから」と寿一。

さくらが「寿一さんにはお風呂とOMTを専門でやってもらいます」と言います。

「OMT?」と聞く踊介に「おむつ交換ですね」とさくら。

おむつをOMTって言うんですね~。

寿三郎がおむつをしていることに衝撃を受ける寿一に「寿三郎たっての希望なんです
」とさくらは言い、担当曜日については追ってラインで知らせると告げて寿三郎の奥の部屋へと去るさくら。

「なんで俺なんだよ」と頭を抱える寿一。

 

どうして俺なんだ

観山家の脱衣所。

裸で腰にタオルを巻いて座る寿三郎の前に裸で腰にバスタオルを巻き、仁王立ちで立ち尽くす寿一。

さくらに「じゃあ、お父さんを浴室に運んであげてください」と言われ、寿一は大変な苦労をして寿三郎を浴室まで運びます。

「じゃあ、足からゆっくりお湯をかけてください」と言われ、温度の確認もせずに、いきなり寿三郎の足元にシャワーを出す寿一。

熱がる寿三郎と慌てるさくら。

「温度確かめてから!」とさくらに叱られる寿一。

洗面器とスポンジを持ち「それでは、足、洗ってあげてください」と言うさくらを一瞬見つめ、洗面器とスポンジを受け取り、寿一は寿三郎の前にしゃがみます。

寿三郎の足を見つめ固まる寿一に「何してるの?湯冷めしちゃう」とさくらが言い、「なんで、なんで俺なんだよ」と呟く寿一。

「言ったじゃないないですか。身体に触れる介護はまだ出来ないんです」と言うさくらに「そうじゃなくて!25年も離れてたのに、なんでまだ俺なんだよ」と泣く寿一に

「泣いてんの?介護に特別な感情持ち込まない方が良いですよ」とさくらが言い、「泣いてない。泣いてないですよ。くそっ。風呂ぐらい一人で入れねぇのかよ。だらしねぇ」と寿一。

「早くしてくれよ~。風邪ひいちゃうよ~」と寿三郎が言い、さくらは「もう、貸して!どいて、もう!情けない!なんで他人の私に出来て、息子のあんたに出来ないのよ!」と寿一から洗面器とスポンジを取り上げ、寿三郎の股間までゴシゴシ洗います。

「手伝わないなら出てってくれないかな、狭いんだから」と言うさくらに「息子だから!息子だから出来ねぇんだよ。ちくしょう」と風呂場を出る寿一。

母親と娘ならまだしも、父親と息子って難しいですよね~。

親父が認知症!?

別の日の観山家。

居間に元気よく秀生が来て、続いて寿一も来ます。

居間にいたケア・マネージャーの末広(荒川良々)が名刺を出して寿一に挨拶をしました。

さくらが自宅で介護するなら一応受けておいたほうが良いと病院で勧められたと言います。

「認知症のテストだって」と踊介が言い、舞は頭はハッキリしてると言ったと言いますが、それでも分からないからとテストの準備をする末広。

要支援、要介護の説明を始める末広に家族でやると決めたから結構ですと寿一は言い、更に勧める末広に閉口し、「親父知ってるの?」と聞くと、「知ってるよ」とふすまを開けて寿三郎が現れました。

「私は構わないよ」と席に着く寿三郎に「おじいちゃん」と声を掛ける秀生。

「それでは簡単なテストをします」と末広が言うと、「僕もやる!」と秀生が言い、寿一がダメだと言います。

「なんで、テストでしょ?一緒にやりたい」「遊びじゃないんだから」

寿限無が宿題をみてやると秀生を連れ出そうとしますが、秀生は宿題はないと言い、「やる!おじいちゃんと一緒にやる!」と言い張りました。

なんだか嫌な予感がします。

寿三郎が「ああ、いいよ、いいよ、おじいちゃんは構わないよ。その代わり、おじいちゃん、手加減しないぞ」と言い、一緒にテストを受けることになります。

テストが始まると、問題の野菜の名前を答えられずに戸惑う寿三郎をよそにどんどん一人で秀生が答えてしまい、寿三郎のテストにはなりません。

まったく答えられない寿三郎に唖然とする皆に「後日、正式なテストをしましょうね」と末広が言いました。

さくらが笑ったと、「旦那がボケて可笑しいか」と食ってかかる踊介にさくらは「秀生君が・・・」と言います。

無邪気におじいちゃんに勝ったと喜ぶ秀生と深刻に考え込む寿三郎。

日が落ちる稽古場で一人、物思いに耽る寿三郎。

居間で踊介が見ている寿三郎の介護認定は要介護1でした。

寿一は稽古場で謡う寿三郎を見つけ、背後から見つめています。

「どうだい?能の謡やセリフならこうやってスラスラ出てくんだけどなぁ。なんで野菜のきゅうりやナスが出て・・・」と言う寿三郎に「別にいいだろ。あんた、八百屋じゃねぇんだから」と寿一は言い、「風呂入るぞ」と言い、寿三郎に近づきました。

寿三郎を脱衣所に連れていき、服を脱がせて汚れたおむつを捨てる寿一。

寿三郎の髪を洗う寿一に「ざまねぇなぁ。あのまんま、稽古続けてりゃあ、すんなり家元継げたのになぁ。借金まみれで、もう。40過ぎて親の介護とはな」と言う寿三郎に「ちょっと黙っててくんねぇかな。・・・照れ臭いのはお互い様だよ。・・・痒いとこねぇか?」「ないです」「流すぞ」と寿一。

その様子を風呂の外で聞いているさくら。

寿三郎の足を洗いながら寿一は「あんた、俺がガキの頃、一度も風呂に入れてくれなかったのにな。お袋が言ってたよ、一回もおむつ交換してくれなかったって」「お能というのはな、神様に奉納する神聖なる芸能なんだよ。おむつ替えた手で舞えるか?」と言う寿三郎。

「俺がやるよ。あんたが俺にやってくれなかった事を全部やってやるよ。なんでか分かるか?」と寿一は寿三郎の顔を見て「そういうもんだからだよ」と言うのでした。

優しくて素敵な息子です、寿一さん。

「もっと足開け、チンチン洗ってやるよ」と寿一が言い、「いいよ」と言う寿三郎に「いきなり遠慮してんじゃねぇよ」と寿一。

風呂場の外で聞いているさくら。

さくらは後妻業!?

公園でサンドイッチを齧りながら踊介は「やすらぎ ヘルパー さくら」とスマホの検索サイトで検索します。

弁護士さんも忙しくて、大変そうですね。

観山家で皆が揃って食事の時間、寿一が「いただきます!」と元気に言い、皆も続きました。

寿一を見つめていた寿限無が一人遅れて「いただきます」と言い、「久しぶり、寿一ちゃんのいただきます聞いたの」と言います。

舞が「いいよね。長男感あって」と言い、「長男だし」と寿一。

「美味いんだよな、飯が。美味く感じる」と寿限無が言い、「他はともかく、“いただきます”は兄貴が一番だね、お父さん」と舞が言い、「そうだね。寿一、お前、ずっと“いただきます”だけ言っとけ」と寿三郎。

「褒められたね、お父さん」と言う秀生に「そうかなぁ」と寿一は言いました。

褒められたんですよ、寿一さん。

公園でさくらのことを検索していた踊介のスマホには「ヘルパー 自称“さくら”詐欺」の記事がヒットし、その他にも「多額の保険金」「不審死」「後妻業の女」などの#が!

年配の男性と仲睦まじく映る沢山の写真もヒットします。

「あの女」と呟く踊介。

ヒットし過ぎです、さくらさん。

観山家では寿三郎が笑顔のさくらに甘えているのでした。

早くも大波乱の予感です。

さくらは寿三郎にもお金目的で近づいたのでしょうか?

寿三郎は特別ということはないのでしょうか?

そして、寿一は無事に寿三郎の後を継ぐことが出来るのでしょうか?

笑いあり、涙ありの素晴らしいドラマが始まりましたね~。

 

さくらは後妻業じゃない?

1話のラストは後妻業じゃないか??と誰もが思う展開です。

しかし、いかにも怪しいさくらは、実は後妻業ではなく、寿三郎(西田敏行)に頼まれて、違う目的で一緒に過ごしているのかな?と思います。

たとえば、家族の絆を取り戻すなど。

寿一が寿三郎をお風呂に入れているときに、それを見守っていた、さくらの表情がなんか温かく感じるし、ヘルパーとしての仕事はきっちりちゃんとこなしていて、ただの打算的な後妻業の雰囲気を感じませんでした。

まだまだスタートしたばかりなので、わかりませんが、まずは、さくらは、後妻業ではないのでは??と予想します。

また2話以降も更新していきます。

 

 

俺の家の話2話ネタバレあらすじ!さくらはやっぱり後妻業の女?

始まった寿一の介護と継承問題

父・観山寿三郎(西田敏行)の介護の為にプロレスを引退し、25年ぶりに実家に戻った寿一(長瀬智也)。

寿一の声:能の舞台では、主人公をシテと呼ぶ。シテを演じるシテ方の流派は日本に5つしかない。その1つが観山家、すなわち俺の家だ。能の舞台には、脇方、狂言方、囃子方、そして裏方。彼らへの報酬はシテ方が支払うのが通例だ。真ん中で優雅に舞ってる人間が実は一番貧乏なのだ。

コンビニのATMを操作する寿一の残高は3,654円。

観山家。

観山流一門が集められ、舞台には寿一一家が並んでいます。

寿限無(桐谷健太)が宗家から重要な報告があると伝えられ、寿三郎は話の前にとさくら(戸田恵梨香)の着物姿を一門に披露します。

「宗家、そろそろ」と寿限無に促され、寿三郎は自分が要介護1に認定されたことを告げ、速やかに後継者を決めると言います。

そして、寿三郎は寿一を傍らに呼び、寿一が28世宗家を継承すると宣言しました。

寿一はとっくに破門になった筈だと騒ぐ門下は「代が替わっても稽古は寿限無がやるべきだ」「寿一は稽古をしていたのか?免状を持っているのか?」など口々に申し立てます。

「え?ああ、プエルトリコ・チャンピオンベルトを」と寿一が小声で言い、寿限無が「そもそも彼は家元の息子ですよ」と進言しました。

「だったら、高砂の一つくらい舞ってくださいよ!」と言う門下。

「じゃかあしいわ、こら!」と寿三郎が立ち上がり、自分は羽衣でもムーンウォークでもやってやるが、野菜の名前が2,3出てこないと言い、寿一を示し「こいつだって、そうだよ。この家に生まれたからには、三つ子の魂百まで。25年のブランクなんて1週間でね、取り戻してみせるよ。嘘だと思うんだったらな。1週間後、もう1回集まろうか、ここに。「これぞ観山流の高砂」ってやつをとくと御覧いれますよ」と寿三郎は言います。

寿一の声:これぞ観山流。俺の家の話だ。

1週間?!果たして、寿一は舞えるのでしょうか?

観山法律事務所。

踊介(永山絢斗)が笑顔のさくらと一緒に映っている男性の息子と話をしています。

男性は父親は認知症の独居老人で最後の1年程、さくらと付き合っていたようだと言いました。

フジロックやケバブ、ボルダリングをさくらと老紳士が楽しんでいる写真を見る踊介に男性は、父親は無理が祟って3年前に他界したと言います。

その通夜にさくらが現れて、遺言状を示し、生前に父親から財産分与の覚書を受け取ったと告げた、男性は語るのでした。

さくらは男性の通夜で男性の娘らしき女性に「この人殺し!帰りなさいよ!」と罵られていました。

さくらさんは悪い人なのでしょうか?

河原。

さくらと仲睦まじく弁当を食べる寿一。

間に寿一が入り、「親父、そろそろトイレ行かなくて大丈夫か?」と聞きます。

ショッピングモールに来た寿一はさくらにパンケーキが食べたいと言い、寿一は寿三郎に「トイレ、大丈夫か?」と聞きます。

パンケーキ♪とはしゃぐ寿三郎に「オムツ大丈夫か?なぁ、親父!」と寿一。

パンケーキ屋に着き、スムージーを注文しようとする寿三郎に、トイレが近くなるからダメだと言う寿一を寿三郎はトイレの方へ呼び出し、「お前さぁ、少しは気を遣えよ」と言います。

「ああ、ごめんごめん。気ぃ遣って。先回り先回りにトイレ情報」と言いながらトイレの扉を開ける寿一に、トイレに行きたいわけじゃないと言う寿三郎。

トイレを気にせずにデートを楽しむためにオムツを履いてきたという寿三郎に「デートだったの?リハビリかと思ったよ」と寿一。

大変な勘違いですよ、寿一さん(笑)。

寿三郎はトイレに行きたくなったら耳を引っ張る、万が一、間に合わなかった時は両手を挙げると合図を決めました。

寿三郎が戻ろうと車椅子を操作するとバッテリー切れで動きません。

慌てて、寿一がバッテリーを探している時に、オーダーが出来たことを知らせるアラームが鳴り、寿一は寿三郎の元を離れます。

すると、寿三郎は下腹部を押えて寿一を呼び、呻きながら両手を挙げ、寿一は離れた処で寿三郎に両手を合わせるのでした。

そういうものですよね~。

観山家。

ケアマネ・末広(荒川良々)が風呂介助を勧めますが、寿一は頑として「俺がやる」と聞き入れませんでした。

末広は寿三郎に再び、認知症のテストをします。

野菜の名前を予習して余裕しゃくしゃくだった寿一に出された問題は“動物の名前”でした。

風呂場。

「ちくしょー!さくらちゃんの前で恥かかせやがって、バカヤロー!」とおもちゃのひよこを投げつける寿三郎。

背中を洗っていた寿一は、親父はムツゴロウじゃないんだから、びしっとしてろ人間国宝!と言い、おもちゃのひよこを拾って、寿三郎に手渡します。

もう二度と人前で舞うことはないんだろうなぁと弱音を吐く寿三郎。

寿一の声:この頃、親父は俺の前で弱音を吐くようになった。更に複雑なのは・・・。

寿三郎が「あれ、今度の薪能は9月だったよな?演目は何にしようかな?」と言いました。

寿一の声:弱音を吐いたことすら、すっかり忘れてしまう。そういう時は現実に戻る前にサッと話題を変えるに限る。

寿一は寿三郎にプロレスの技について質問をし、寿三郎は生き生きと答えます

寿一の声:古い記憶は克明に残っているのに、5分前のことをすっかり忘れてしまう。認知症が進行しているのだろうか?

衰えていく父親を見るのは辛いですよね。

フリースクール。

金がない!

考え事をしていて、元妻・ユカ(平岩紙)に「ねぇ!」と声を掛けられる寿一。

フリースクールの先生が「うちは大歓迎ですよ」と言い、秀生(羽村仁成)の様な障害の子もたくさんいると言いました。

「公立で劣等感に苦しむよりフリースクールの方が秀生にとって良いと思う」とユカは言います。

フリースクールの月謝は月5万円、寿一は「今はとにかく金がない」と頭を抱えました。

フリースクールを出て、引退するなら一言言って欲しかった、好きな人を旦那にしたら幸せになれると思ったけど違うと分かったと言うユカ。

そろそろ行くと寿一を見るユカに、「それなんだけど、今月、ちょっと待ってくれないか?」と寿一は言います。

「収入ないんだ、今。ゼロなんだ」と寿三郎の介護が始まって、能の稽古もやっているけど食べていけるか分からない状況を話し、「来月中には」と寿一は手を合わせますが、ユカは「それ困る!ない!ありえへん!そんなのそっちの都合やん!」と。

自分に酔っているだけで甘い!離婚前なら許したかもしらないけどない!!とユカは言い、面会を中止にして、秀生を連れて帰ってしまいました。

地獄の沙汰も金次第です。

観山家。

舞台で稽古をする寿一。

一方、寝室の寿三郎は寿限無から秀生が来ないことを聞き、残念がっています。

寿限無は寿三郎に呼び鈴を渡し、“何かあったら”押してくださいと言い、部屋を後にし、舞台の寿一の元へ向かいます。

寿限無が舞台に着くと、寿一の姿は無く、寿限無が見回すと寿一が畳の上で土下座をしていました。

寿一は「寿限無、頼む、金、貸してくれ」と言い、「この通りだ」と頭を下げます。

そこへさくらが「先、帰りますね。ご飯、温めて食べてください」と言いに来て帰りました。

「いくら?」と寿限無が聞き、「10万、いや、15万、うん、20万でいい」と寿一。

「普通は下げていくもんだけどね」と寿限無が言うと、寿三郎に渡した呼び鈴が鳴ります。

慌てて駆け付ける寿一と寿限無。

「親父!」と勢い込んで襖を開けると、「なんだよ、なんだよ、入ってくるんだったらノックぐらいしろよ」と寿三郎。

「ブザーなったんで」と言う寿限無に、押していないと言う寿三郎。

ブザーは寿三郎の腕の下に入り込んでいました。

これも介護あるあるですね~。

別の部屋。

寿限無が「寿一ちゃんには言いたくなかったんだけど、この家にはもう現金はないんだ」と通帳を見せ、観山家の逼迫した金銭状況を説明しました。

宗家が倒れてからの代打の自分の出演料は5万か10万で,脇方、囃子方、スタッフのギャラを払うと赤字で舞えば舞うほど赤字になるが、観山流の信用問題に関わるから断れないと寿限無は言います。

「リハビリの効果が出て、奇跡的に舞台に立てるまでは、俺が凌ぐしか」と寿限無が言った時、またブザーが鳴り、駆け付ける寿限無と寿一。

寿三郎がスマホに“海外の違法サイトから請求の警告”が来たと騒いでいます。

寿一が寿三郎のスマホを見ると「ヘルパー 夜這い むちむち」で検索していた寿三郎。

「もう、元気なのか元気じゃないのかハッキリしろよ!」と怒る寿一に寿三郎は「多少、元気なんだよ~」と言うのでした。

困ったものです、寿三郎さん(笑)。

寿一、アルバイトをする

観山家の廊下。

寿一が寿限無に全国に1万人いる弟子の月謝は?と聞くと寿限無は実際の弟子の数は100人もいないと言い、さくらとの婚約や後継者問題で更に減ったと言います。

「いよいよ装束や面をオークションに出さないと破産だよ」と言いながら、寿限無はデリバリーのリュックを背負いました。

「寿限無」と驚く寿一に、デリバリーのバイトを始めたと言い、寿三郎には内緒だと念を押します。

「ごめん、寿限無。何も知らなくって」と詫びる寿一に「寿一ちゃんもやんない?今、紹介すると5000円貰えるんだよね」と寿限無。

寿限無の無邪気な笑顔が涙を誘います。

プリティ原(井之脇海)の部屋。

プリティが筋トレをし、「おせぇな、出前」とスマホをチェックします。

デリバリーサイトの配達員をクリックすると、寿一の写真とブルーザーという名前が出てきました。

「ブリさん?え?なんで?」とプリティ。

「ヤバい、ブリさん、来ちゃう」とソファーでポテチを食べていた女性(3時のヒロイン・かなで)に聞くと、続々とメニューを答える女性。

「食いすぎだよ、馬鹿!」とプリティは怒鳴り、通り過ぎる寿一の地図画像に向かい、「ブリさん、そっちじゃないっす!」と叫びました。

息を切らしてプリティの家に辿り着き、呼び鈴を押す寿一。

「はーい!置いといてください!」と言って切れるドアフォン。

寿一が届けた商品はどれもぐちゃぐちゃになっていました。

「なに、これ。クレームもんじゃない、これ!」と言う女性にプリティは「うるせぇ!黙って食えよ!」と涙ながらに言うのでした。

かなでちゃんはプリティの彼女?なのでしょうか?

さんたま道場 事務所。

配達姿の寿一が長州たちと向かい合って座っています。

堀(三宅弘城)は「戻ってきていいんだぞ」と言いますが、寿一は「これでも不退転の決意で実家帰ったんで」と丁重に断りました。

寿一は長州に最後の頼みだとロープに飛ばしてくれるように頼みます。

長州は「好きなことを仕事にしなくていい、お前は幸せだ」と言い、寿一をロープに飛ばしました。

「ありがとうございました」と頭を下げた寿一の前に長州の姿はなく、ロープに飛んだ長州が寿一に技をかけ、寿一はマットに沈んだのです。

観山家。

舞台で舞う寿一。

寿一の声:リキライアットで何かが覚醒したのか、俺は徐々に勘を取り戻した。無論、親父は決して褒めてはくれなかった。何も変わってない、あの頃と。ちょっとは褒めろよ。

「止め~っ!」と寿三郎が言い、「もっと、腰、腰、吊り上げろ!馬鹿たれ」と言いました。

貸しましょうか?お金

観山家の庭。

掃き掃除をする寿一を洗濯物を取り込みながら見ていたさくらが「貸しましょうか、お金?」と話し掛け、寿一は驚いて振り向きます。

「私、こう見えて持ってるんです、お金。秀生くんと会うためにバイトしてるんでしょ?貸しますよ」とさくらは言いました。

「いやいやいやいや、え、何で?」と聞く寿一に「見てらんないから。お金ないとね。もう、言葉、態度、目つき、顔つき、匂い、全部変わるの。もう貸してくれオーラがキツくて、気になっちゃって。はい、10万円」とさくらは寿一に封筒を渡します。

もう準備してくれていたのですね、さくらさん。

封筒の中を改める寿一に「消えたね、オーラ」とさくらは言い、重ねて「いつでもいいです。逃げるような人じゃないって知ってるから。介護と一緒で家族には頼みづらいですもんね」と言いました。

部屋に入ろうとするさくらに「あ、何でって聞いたのは、その・・・俺の何を見て信用してくれたのかなって」と聞く寿一に「高島屋?」「高砂や?」「素人だからよくわかんないけど、なんか最近様になってきたから、秀生くんと見て貰いたいなと思って」とさくら。

寿一の声:褒められた。親父にも褒められたことないのに。

さくらは洗濯物を持ち、柔軟剤を変えたかと寿一に聞き、「気持ちいい」と洗濯物に頬を寄せ、晩御飯は何にするかと寿一に聞きます。

さくらに見とれ、「はい、すき・・・」と寿一。

あら、寿一さん、恋の予感でしょうか?

寿一の声:すきやきにしてしまった~。

さくらの後妻業問題と借金

すきやきを囲む観山一家。

舞(江口のり子)、寿限無、寿一のスマホにさくらが複数の男性と笑顔で寄り添う写真が踊介から届きました。

その写真に衝撃を受けた寿一は生の牛肉をそのまま食べてしまうのでした。

観山家の一部屋。

炬燵に寿限無、寿一、舞が並び、向かいに踊介が座っています。

寿一にどう思うか?と舞が聞き、踊介はさくらは3人の老人から遺産を奪った詐欺師だと訴えます。

寿一は「私、持ってるんです、こう見えて、お金」と言ったさくらを思い返しました。

舞は寿限無に“寿一が遺言状を書かない様に”しっかり見張っておけと命じ、踊介は最悪遺言状を書かれたとしても“遺言執行人”である弁護士か遺族の誰かを味方に付ければ勝てると言います。

よっぽどの事がない限り、弁護士で遺族である踊介が“盾”になると言い、頼もしい~!と喜ぶ舞。

寿限無が「よっぽどのこと?」と聞き、踊介は「立場が対等じゃない場合。例えば、あの女に金借りてるとか」と答え、寿一は衝撃を受けました。

寿一の声:か・・・借りてしまった・・・。

皆が跡継ぎ問題で議論する中、盛大に項垂れている寿一。

「寿一ちゃん?」と声を掛ける寿限無と生肉食べたからお腹痛いのか?と言う妹弟。

「薬持って・・・」と寿一の肩に掛けた寿限無の手を「触んな!」と跳ね除け

「何かの間違いだよ!そんな悪い人じゃなよ、彼女は。でなきゃ、あんなめんどくさい、欲の塊みたいなじじいの介護なんて、いくら金積まれたってやるわけねぇよ」と言い、寿一は部屋を出ました。

確かに、悪い人とは思えませんよね、さくらさん。

元妻の彼氏とさくらの真実

ユカのマンションの前。

寿一がユカにさくらから借りた10万円を渡しています。

中を改めながら、秀生が昨日また学校で問題を起こしたと報告するユカ。

相手の親が煩いらしいので一緒に謝りに行って欲しいとユカが言っている処へ、秀生が出てきます。

街路。

秀生と並んで歩く寿一。

寿一が秀生に学校は楽しいか?と聞くと「楽しいわけないじゃん」と秀生は答えます。

「ママ、仕事は?」と聞くと、辞めたみたいだと秀生が答え、寿一はユカに恋人がいるかどうかを遠回しに秀生に尋ね、秀生は「いるわけないじゃん」と答えました。

観山家の居間。

寿三郎と二人、お絵描きをする秀生が本当はユカに素敵な恋人がいて、結婚すんじゃないかと打ち明けます。

寿一郎に、秀生もその男性が好きかと聞かれ、秀生は好きだと答えますが、「お父さんには内緒だよ。絶対に言わないでね」と寿三郎に念を押すのでした。

子供ながらに気遣いの出来る優しい子ですね、秀生くん。

観山家。

一門の前で舞う寿一。

寿一が舞い終わり、さくらは立ち上がって拍手をしますが、一門の皆は無言で席を立って帰っていきます。

「え?なんで、なんで、なんで帰るの?ダメだったんですか?」と聞くさくらに「合格したのよ。さっ、お見送り」と席を立つ舞。

寿一の声:ようやく俺は、観山流の門弟として認められた。

「おかえり、寿一ちゃん」と寿限無が声を掛け、寿一は涙ぐみます。

暫くして、寿三郎と並んで、おとなしく座っている秀生に、戻ってきた寿一が「薬、飲んだのか?」と聞きました。

飲んでいないと言う秀生が、おとなしく寿一の能を観ていられた事に驚く寿一に、以前から“能の稽古中は好きだから動かない”と言う秀生。

「なぁ、親父」と話し掛ける寿一をかわして、寿三郎はさくらと部屋を出て、廊下を進みます。

すると、その先には舞と踊介が「さくらに話がある」と待ち構えていました。

観山家の居間。

寿三郎が“さくらが笑顔で3人の違う男性と親しげに映っている写真”と“それぞれの男性の遺言書”をプリントアウトしたものを見ています。

プリントアウトしたものをテーブルに置き「この写真が何だって?」と寿三郎。

さくらを遺産目当ての詐欺師だと言う舞と踊介に寿三郎はさくらは自分の介護士をしただけだ、さくらの過去など気にしない、と言い張りました。

自分たちだってこんなことはしたくないが「お家の危機」だと舞は言い、寿限無も「これ以上借金が増えれば観山家は破産です」と言い、寿三郎が早く良くなって舞台に立って貰わなくてはと言います。

寿三郎は、自分が舞台に復帰するためには、さくらが必要だと、さくらがいるから頑張れると、ただたださくらに傍にいて欲しいと訴えました。

一番初めの男性Aさん(踊介曰く)もそう言っていたとさくらは話し始めます。

Aさんは自分にとって初めて介護を担当した男性で献身的に尽くし、エンディングノートを作り、やり残したことを一緒にやっていったと、さくらは言いました。

さくらは、Aさんはみるみる生気を取り戻し、半年だった余命が1年に延び、遺言状を書き換えると言い出し、介護を嫌がり遺産争いをする家族を嫌がり、反対するさくらを押し切って、全財産をさくらに遺したのだと話し、

「踊介さんのおっしゃる通りです。私は寂しい老人を慰めて、それに見合った対価を頂くだけの女です。だますつもりはない。遺産目当てじゃ決してない。けど、貰えるものは貰う。いけませんか?それによって得たお金は自分の為に遣いました。洋服を買ったり、食事をしたり、自分にご褒美。そして、今、ここ、Dさんに辿り着きました。追い出されも構いません。今なら、まだ何も受け取ってないし。また何処かの施設で働いて、Dさんに巡り会うのを待つだけだから」と言うさくら。

「今、出てかれちゃ困る。まだあんたには教わらなきゃならないこと沢山あるし、親父にもまだ生きててもらわなきゃ困るし、それに・・・借金もあるし」と寿一。

「借金?なにそれ?」と舞。

「10万も借りてる俺に、あんたを責める資格はない」と寿一は言い、さくらに向き直ります。

そして寿一は「ただ、一つだけ訂正させてくれ。親父は寂しい老人なんかじゃない。俺がいる。踊介がいる。舞がいる。寿限無もいる。寂しくなんかない。それでも良ければ、明日も来てくれ」と言いました。

微笑み俯くさくら。

完璧です、寿一さん。

寿一は寿三郎に風呂に行くと言って立ち上がりますが、寿三郎はさくらに「一つだけ。一つだけ教えて頂けないかね?」と言い、自分との婚約に恋愛感情はなかったのかと聞きます。

さくらは居住まいを正して、寿三郎に頭を下げ、「ごめんなさい」と言うのでした。

ショックを受ける寿三郎を寿一は風呂へ連れて行きました。

寿三郎さん、聞かなければ良かったのに~!

風呂場。

「ちくしょー!ちくしょー!」と叫びながら泣く寿三郎に「泣くな!人間国宝」と寿一。

寿一の声:親父はさくらに振られた。そして10分後・・・

お風呂を出て頭にバスタオルを巻いた寿三郎が「さくらちゃん、頭乾かしてね」と甘えています。

寿一の声:振られたことを忘れた。

寿三郎はこの間行ったパンケーキ屋にさくらを誘い、仲睦まじく会話を交わし、兄弟たちは顔を見合わせるのでした。

ある意味、幸せなことですよね。

観山家の舞台。

寿三郎の声を聞きつけて寿一がやって来ると、舞台で袴姿の秀生が舞っています。

「何やってんだ、親父?」と聞く寿一に寿三郎は「稽古に決まってるじゃないか」と言い「なんで?」と聞く寿一に「秀生がやりたいと言ったから」と答えました。

「秀生、中々、筋が良いな、お前」と言う寿三郎。

寿一の声:秀生が能に興味を持ち始めた。教室では5分とじっとしていられない息子が、姿勢を正して地謡を教わっている。それより驚いたのは、親父の反応だ。

秀生を褒めちぎる寿三郎。

寿一の声:べた褒めじゃないか。孫が可愛いのは分かる。けど、俺なんか一度も、一度も褒められたことないのに!息子に才能があるかもしれない、と知った喜びとそれを上回る嫉妬のような感情。親でありながら、俺は親離れ出来ていない。歪な大人だ。

それだけお父様が好きだということではないでしょうか、寿一さん。

街路。

秀生を家まで送った寿一はユカのマンションからユカが男と出てきて、いちゃつくのを目撃します。

その様子を見た秀生はその場から逃げ出してしまい、「秀生!」と言いながら秀生を追い掛ける寿一の声に気付いたユカも駆け付けました。

「早かったね。なんか変わったことは?」と聞くユカに「あ~、ラインするよ」と寿一。

じゅあね、と秀生の手を引き帰るユカの後ろ姿を見つめる寿一。

寿一さん、夫婦は他人でも、息子は肉親ですよ。

観山家。

居間で洗濯物を畳んでいる寿一。

さくらが寝室で寿三郎に挨拶をして帰り際に寿一に、寿限無が9時に戻ってくるので、それまでお願いします、と言って帰ります。

すると、寿一のスマホにプリティから電話が入りました。

悩んだ後、電話に出た寿一にプリティは「良かった~」と言うと、堀に代わり、堀は「有料配信に出る予定のスーパー多摩自マン(勝村周一郎)が練習でケガをしたので、10万円出すから至急来てほしい」と頼みます。

「10万」に心を動かされた寿一は、寿三郎を家に一人で置いたまま、プロレスの試合に出てしまいました。

その間にトイレに行きたくなった寿三郎は寿一を探して居間に来て、寿一の「ちょっと遅くなる。風呂、やるから待ってて」という伝言を見ます。

寿三郎は、便意に堪えながら、一人でよろよろとトイレに向かい、途中の廊下で躓き、転倒してしまいました。

介護される人が転倒することが一番怖いのに~!

試合を終えた寿一は「親父~っ!」と急いで家に向かいますが、先に帰宅した寿限無が廊下で倒れ、意識を失っている寿三郎を「宗家!宗家!」と呼び掛けながら駆け寄ります。

寿三郎さんは大丈夫でしょうか?

頭は打っていないでしょうか?骨折はしていないでしょうか?

ほんのちょっとの油断が大事故になりかねないのかが介護ですものね。

大したことが無ければ良いのですが・・・。

俺の家の話3話ネタバレあらすじ!能とプロレスのコラボ?スーパー世阿弥マシーン誕生

介護をなめないで

観山家。

廊下に倒れている観山寿三郎(西田敏行)に帰宅した寿限無(桐谷健太)が「宗家!」と呼びながら駆け寄りました。

街中。

覆面姿の寿一(長瀬智也)がプロレス会場から観山家までダッシュで向かっています。

寿一の声:そうは見えないだろうが、俺は親の介護をしながら、伝統芸能の継承に心血を注ぐ40代一般男性だ。

リングでプリティ原(井之脇海)と戦う寿一。

寿一は、覆面のまま、タクシーの後部座席に乗っています。

寿一の声:あそこまでは百点満点の試合運びだった。問題はその後・・・

リングでプリティの攻撃を受ける寿一。

寿一の声:不覚にも受け身を取り損ねた。それで焦って・・・

リングの下からパイプ椅子を取り出し、プリティに殴りかかる寿一。

寿一の声:やり過ぎた。一生の不覚。全盛期ならあと2つ3つ技を受けてから反撃に出る余裕があった。

確かにやり過ぎです、寿一さん。

寿一のスマホに寿限無から「宗家が廊下で転びました」「常東総合病院の救急外来に来て下さい!」とラインが入りました。

寿一は運転手に「運転手さん、行先、変更で。常東総合病院」と言い、運転手は怯えたように「はい」と言い、寿一は「なんすか?」と言うのでした。

常東総合病院 救急外来。

入口の自動ドアに映った自分の姿で覆面をしていることに気付き、慌てて覆面を外す寿一。

寿限無とさくら(戸田恵梨香)が寿一を出迎え、「親父は?」と聞く寿一に寿限無が「意識はある。咄嗟に受け身を取れなかったみたいで」と言い、さくらが「これから先生の説明、聞きにいきます」と言います。

診察室。

寿三郎の脳の画像を見ながら医師が「脳血管性認知症の症状とみて間違いないでしょう。介護認定は?」と聞き、寿限無が「要介護1です」と答え「リハビリは?されてますか?」と聞く医師に「ああ~、家に籠りっきりで・・・」とさくらが言いました。

医師はさくらに「娘さん?」と聞き、「あ、いえ、違います。その~なんというか・・・」と寿一威助けを求めるさくらに代わり、寿一が「婚約者です」と答えます。

寿三郎の病室。

寿一、寿限無、さくらのほかに、舞(江口のり子)と踊介(永山絢斗)が来ています。

「今日、誰?誰の当番だっけ?」と聞く舞に、おずおずと手を挙げる寿一。

どこへ行っていたのかと聞くさくらに、すみませんと詫び、「すいませんじゃなくて、聞いてるんです。何処で何してたんですか?」と聞くさくらに、すみませんと寿一が言い、「言えないところで言えないことをしていたんですか?」とさくらは言いました。

「風俗?」と聞く踊介に「そうは言ってない。違うよね、寿一ち・・・」と言い掛けた寿限無に「すみません」と言う寿一。

「行くんじゃなくて呼ぶ形態のお店もあるじゃない?それはそれで引くけど」と舞が言い、「も~、否定しないから」と言う寿限無に「最近、親父、調子良かったから、まさか」と寿一が言うと、

「介護にまさかはないんです。常に細心の注意で臨んでも、予期せぬことが起こるんです。介護なめないでください」とさくらが言います。

「あんだがそれ言う。ねぇ。遺産目当てのヘルパーがさ。あぁ、そうか、そうか。遺言状書く前に死なれたら困るか、金貰えないもんね」と踊介が言い、「踊介!起きたらどうすんのよ?」と舞が窘めました。

踊介さん、頑なですね、職業柄もあるのでしょうか。

病院の廊下。

一人、、帰ろうとするさくらを寿一が「さくらさん」と呼び止めます。

「はい」と言うさくらに封筒を差し出し、「これ、返します。前に借りた10万」と言い、さくらは封筒を受け取りながら「どうしたんですか?」と聞きました。

「介護にまさかはない。肝に命じます」と言って寿一は病室へと戻ります。

残されたさくらが寿一が渡した封筒を見ると、血の様なものがついていました。

そんな封筒で渡されたら、怖いですよね、さくらさん。

シルバーカー

観山家の茶の間。

舞がパソコンで“シルバーカー”を探しているのを横から寿一が覗き込みます。

横から大州(道枝駿佑)も覗き込み「でも、喜ぶかな?じじいじゃあるまいし、こんなダサいの。いらないとかいいそう」と言いました。

ケアマネの末広(荒川良々)もそういう方が多いと言います。

そこはうまく誘導するから任せて、最悪はさくらさんにも協力してもらうと言う舞。

踊介は、本当にさくらを追い出さなくて良いのかと言いますが、舞は割り切って、生きている間だけ婚約者の振りしてもらえば?と言い、全員の注目を集め、「ごめん、生きてる間は失言」と訂正します。

介護はイベントだと思って楽しんだ方が良いと話す末広に「そうだよね。いずれ終わるんだし、楽しまなきゃ」と舞が笑い、また皆の注目を集め「いずれ終わるは、失言。ごめん」と言いました。

なにかと失言の多い、舞さん(笑)。

3日後。

寿一の声:三日後、親父が退院してきた。

家の前でタクシーから降りる寿三郎を介助する寿一と寿限無。

観山家の茶の間。

寿一が畳に手をつき「親父。改めて済まなかった。許してくれ」と深々と頭を下げます。

「寿一、もういいから。それより色々調べて貰ったのね~」と寿三郎が言い、さくらが「血圧も糖尿の数値も大分いいってお墨付きを頂きました」と言い、寿三郎とお互いの健闘を称え合い、「ねぇ、舞さん」と舞に振り、舞はまた舞台に立てるようにもっともっと足腰を丈夫にしなくちゃねと言いました。

寿三郎も「そうだね」と言い、舞が「そんな父さんに私たちから退院祝いのプレゼントがありま~す!」とシルバーカーを持ってくる舞。

皆、口々にシルバーカーを褒めちぎります。

しかし、寿三郎は「もういいかい?もういいだろう、そんな、通販番組みたいな下りはさ。時間が無いんだよ。お父さんとさくらちゃんには。そのことを今回の入院でつくづく感じた」そこで自分はさくらとのやりたいことを100以上書いたエンディング・ノートを作ったと言い、舞にシルバーカーは要らないと冷たく言いました。

寿一は寿三郎の手からエンディング・ノートを取り上げ、シルバーカーを指し「使えよ。親父の為に買ったんだぞ」と言い、寿三郎は「使わねぇよ。こんな、お前、じじくせぇ」こんなのに掴まって歩いていたら町中の笑いものだと言います。

「娘、泣かすんじゃねぇよ!舞がどんな気持ちでこの手押し車買ったと思ってんだよ」と寿一は皆が気を遣って、さくらにも協力して貰って、それもこれも親父に長生きして貰う為に!と熱く語りました。

そんな寿一を冷たい目で見る一同。

「なんだよ・・・?」と言う寿一に「兄貴、それをいっちゃあ、おしまいだよ。気を遣ってますって言わないのが気遣いじゃん!」と舞が言い、寿一は、気遣いは難しいと言い「だってこの手押し車」と言うと舞は「シルバーカーだよ!」と叫びます。

そこへO.S.Dが現れ、観山家の重い空気を破ろうと持ってきた自分のステッカーをシルバーカーにべたべたと貼りました。

それって逆効果では?O.S.Dさん。

家族旅行

土手の遊歩道。

車椅子の寿三郎とさくらが散歩をしています。

寿限無の声:(エンディング・ノートを読み上げ)さくらとプロレス観戦、さくらとスキューバーダイビング、さくらとバンジージャンプ、さくらと桜を見る会・・・

観山家の茶の間。

踊介が「だから!さくらはあんたの遺産にしか興味ないんだっつうの!」と言い、O.S.Dが寿三郎は、わざと忘れたふりをしているか、次の女にスマートに乗り換えようとしているのでは?と言いますが、舞に返品したいからシルバーカーのステッカーを剥がせと叱られます。

寿三郎のエンディング・ノートを見ていた寿一は80番目の家族旅行が二本線で消されているのを見つけました。

寿一の声:親父が家族旅行に行きたがっている。最初で最後の家族旅行はハワイだった。今の俺たちは、あんな風に無邪気に笑えるだろうか?隅っこに小さく書かれ、線で消された家族旅行の文字が瞼に焼き付いて離れない。なんとか叶えてあげたい。だが、ハワイは無理だ。なにしろ親父は要介護1。いや、そもそも金が無い・・。

能の稽古をしていた寿一はいつの間にか寿限無にプロレス技をかけ始めています。

「何してんの?何してんの、寿一ちゃん?」と寿一を振りほどいた寿限無に寿一は「プロレス・・・あ、高砂・・・あ、扇」と言いました。

「高砂に、スリーパーホールド、出てこない」と息を切らして寿限無が言います。

寿一は「あのさ、バカな振りして言うから、バカになって聞いて欲しいんだけど」と言い、寿限無はバカになって「なぁに?」と聞きました。

ノリが良すぎる寿限無さん(笑)。

「俺、能よりプロレスの方が好きかもしんない。勿論、能も続けるよ。観山流28世宗家も継ぐ。プロレスやりながらってのは、お前的には・・・」と言う寿一に寿限無は

「それ、神様の前で言える?能っていうのはね、神様に奉納する芸能なんだよ。それを司るのが宗家。すなわち観山家に生まれし者の宿命なんだよ」と言い、

「神様的になしってことか」と寿一は言い、「大体、怪我でもしたらどうすんの?俺なんかシテ役を任されてからは、転んで怪我したら怖いから、スーパー銭湯も行ってないし」と寿限無が言っていると、寿限無の携帯に配達依頼が来て、

「とにかくプロレスなんて論外だから。あんなのケガする為にやるようなスポーツ、ダメ!絶対!!」と言いながら、寿限無はバイトのデリバリーに出掛けます。

寿一の声:だが、もう遅かった。

能とプロレス

観山家の前に“さんたまプロレス”の車が止まり、長州力(長州力)・武藤・蝶野という有名レスラーたちが降り立ち、門の前で圧倒される寿一。

観山家の茶の間。

名レスラーたちと寿一が向かい合っています。

「どうした?」と聞く蝶野に「圧が・・・全体的な圧が・・・顔面圧が・・・」と寿一が言い、堀(三宅弘城)がちょっと顔を見に寄っただけだと言いますが、寿一は絶対に嘘で、絶対に断れない大事な話をしに来たのだろうと言いました。

堀は、スター選手がいない為に“さんたまプロレス”の経営が窮地に陥っていることを打ち明け、長州が手土産のバームクーヘンを切るための包丁を要求し、寿一はキッチンから包丁を持ってきます。

その時、「帰ってきてくれ、寿!」と全員が一斉に頭を下げ、「ただいま」とさくらが帰宅しました。

包丁を持った寿一に堀が「金ならいくらでも出す。なぁ、助けてくれ~」と泣きながら頭を下げるのを見たさくらは「失礼しました」と逃げるように去るのでした。

諸々が絶妙なタイミングでした。

フリースクール。

能の稽古を始めてから、秀生(羽村仁成)が大人しく座っているようになった、と教師が寿一に話します。

街路。

秀生に「秀生はお能の稽古好きだな」という寿一に、「おじいちゃんの家が好き。大州もいるし、楽しい」と秀生は答えました。

自分とは正反対だなと、お腹を壊すくらいにお能も家も嫌いで、家に帰るのが嫌で自動販売機の陰に暗くなるまで隠れたりしていたことを秀生に話す寿一。

じっとしているだけで褒められるなんて最高だと言う秀生に、自分は一回も褒められなかったと寿一が言うと、秀生は「なんか分かる。じっとしてる父ちゃん、カッコよくないもんね」と笑い、大州を見つけて「大州!」と駆け寄ります。

寿一の声:息子の何気ない一言が、俺の背中を押した。

さんたまプロレスの事務所。

覆面をして、扇を持ち、和柄のTシャツとジーンズを身に着けたレスラーのイラストを皆に見せる寿一。

「素性がバレたくないもんで、特に家族には」と言う寿一に「その割には能の要素多くないか?」と堀が言いました。

口々にリングネームを言う皆に寿一は、もう名前は決まっている「スーパー世阿弥マシーン」だと言います。

「それ、バレないか?」と言う堀。

私もそう思います、堀さん。

観山家の稽古場。

寿一と寿三郎がいます。

「寿一、お前、もっと身体を伸ばさないと腰痛めるぞ」と寿三郎が注意し、寿一は「そんな年じゃないよ」と言い、そろそろ高砂じゃないやつを教えてくれと言います。

「はぁ?!お前、あれで出来たと思ってんのか?!片腹痛ぇわ!」と寿三郎が言い、寿一は「そんな言い方しなくていいじゃねぇかよ」と呟きました。

さんたまプロレスの事務所。

寿一のデビュー戦についての話し合いが行われています。

普通にデビュー戦ではつまらないので「乱入」にしようという話になりました。

観山家の稽古場。

寿三郎と秀生の前で能を舞う寿一。

「体幹が弱いな、父ちゃんは!ふらふらすんな!」と叱咤する寿三郎。

さんたまプロレスの試合会場。

プリティ原とスーパー多摩自マン(勝村周一郎)が試合をしていると突然、会場が暗転し、能の楽曲が流れます。

そして面を付け、装束を身に着けた寿一の姿が照明で浮かび上がりました。

寿三郎の「体幹だよ、体幹。体幹さえ鍛えていれば、いざという時、なんとかなるんだよ」と言う言葉を思い返しながら、寿一はゆっくりとリングへ進み、コーナーロープに華麗に飛び乗ります。

アナウンサーが「たった今、手元に情報が入りました。国籍年齢不明のマスクマン、スーパー世阿弥マシーンであります!」と言い、蝶野が客席で「よっ!寿!」と声を掛けました。

いやいや、蝶野さん、覆面の意味がなくなるでしょう。

勢いよくコーナーロープからリングへ飛び降りる寿一。

寿一の声:や、やばい。腰が・・・やっちまったか・・・腰。いや、まだやってない。けど、怖くて、前にも後ろにも動けない!万事休す。

世阿弥マシーンの得意技が“空中殺法”だと言う武藤に寿一は

寿一の声:武藤さん、さぁせん。ちょっと今日、無理かも・・・

寿一にローキックをかますプリティ。

寿一の声:お前、察してくれよ。

多摩自マンも寿一にローキックをかましますが、びくともしない寿一。

寿一の声:た・・・体幹。そうだ!俺には体幹があった。

寿一は寿三郎の「足の衝撃を、下半身から上半身へ逃がしてやれ」という指導を思い返し、リング上で能の動きをし、プリティに倒された時、

寿一の声:動ける!

寿一はいきなり激しい反撃に出ました。

そして華麗な空中殺法でプリティと多摩自マンをマットに沈めたのでした。

寿一の声:スーパー世阿弥マシーンは鮮烈なデビューを飾り、俺はそのファイトマネーで・・・

観山家の縁側。

“家族旅行貯金”と書かれた通帳をさくらに見せている寿一。

嬉しそうに積み立て貯金を始めたと言う寿一に、「あ、エンディングノート」と桜が言い、バンジージャンプやスキューバダイビングは無理だが家族旅行ぐらいだったらなんとか、と寿一は言います。

さくらは怯えながら寿一に封筒を返し、「もう、止めてください」と言い、寿一は血の様なものの付いた封筒を受け取ります。

さくらは後ずさりながら「怖いんです、あなたが。あんな(と、頭を下げるさんたまプロレスの面々の前に包丁を持って立つ寿一を思い出しながら)反社会的な方法で手に入れたお金・・・」と言い、寿一は「いや、違うんです。あの人たちは、あの~、あれです、あの、職場の先輩。復帰してくれって頼まれたんですけど・・・断りました」と言いました。

「ほんと?」と聞くさくらに「退路を絶って、伝統芸能継承に邁進します」と笑顔で告げる寿一。

嘘つき寿一さんです。

「大変ですね、一銭にもならないのに」とさくらは引き攣って微笑み、寿一を部屋の中に呼び寄せました。

観山家の茶の間。

寿一が「観山家の財産の全てを婚約者さくらに譲渡すること」と書かれた寿三郎の遺言状を読み上げ、「これ何ですか?」とさくらに聞きます。

さくらは何度、婚約者じゃないと言っても忘れてしまい、最近では遺言状を書いたことも忘れてしまい、事あるごとに遺言状を書くと言い、沢山の遺言状を寿一に見せ「もう、どうしていいか、分かんなくて・・・」と言いました。

寿一は「だったら、もう少し、婚約者のふりしていただけませんか?俺たちじゃダメなんですよ」と言います。

観山家の稽古場。

寿三郎が大州と秀生に“鼻濁音”の説明をしています。

寿一の声:親父にはあんたが必要なんだ。

観山家の茶の間。

寿一はさくらに「家族にしか出来ないことがある。でも、家族には出来ないこともある。分かりますよね?だから、もう少し」

「もう少しって、いつまで?」とさくらは聞き、少し考えて何か言おうとする寿一に「いいです!今、多分、同じこと考えてた」と言い「わかりました」と言うとさくらは

その分のお金を月々いただけますか?と提案しました。

その方がお互い割り切った関係でいられるし、気兼ねなく恋人の振りできるしと言い、変なこと言ってます?と聞くさくら。

寿一は「変じゃないです」と言い、さくらは「じゃ、月額3万円から始めましょうか?」と言い、寿一は財布から3万円を出して、「取り敢えず、今月分で」とさくらに渡します。

金額が決まらないと先に進めない質で・・・引いてます?と聞くさくらに「いやいやいやいや、ファイトマネーですよね?非常に分かりやすいと思います。あ、それとこれも」と言い、封筒から10万円を出して渡す寿一。

「みなさんが曖昧過ぎるんですよ、裕福だから」「ああ・・・すみません」「羨ましいけど。なんだかんだ言って温かいし。私んちは違ったから。あ、いいですか?私の家の話」

さくらの家の話

「新作能 私の家の話」と表題が出る能の舞台が始まります。

さくらの声:“さくらは玉の輿に乗りなさい”っていうのが母の口癖。とにかく男運のない人でした。

舞台では舞がさくらの母を演じています。

観山家の茶の間のさくらが「夫を病気で亡くし、残ったのは多額の借金」

さくらの声:母は幼い私と兄を連れ、東京の西の外れの家賃6万の都営住宅に流れ着いた。

舞台ではさくらを秀生が、さくらの兄を大州が演じています。

さくらの声:最初の再婚相手は40代ニートのDV野郎。1年半しか続きませんでした。

観山家の茶の間のさくらが「二人目は売れないバンドマン。三人目はアル中のロシア人。あ、じゃないわ。その前に小太りのホストがいたわ」言って笑いました。

さくらの声:人を見る目がないんだなぁって、子供心に思ってました。反抗期を迎えた兄は、ついに母と私を見捨て家を出ました、盗んだバイクで。

観山家の中を歩きながら、さくらが「それからはいつも独りぼっち」と言い、

さくらの声:家を出る時、母は私の手に500円玉を一つ握らせ、(舞台でさくらの母役の舞が「電車のある時間に帰ってくるからね」と言い)

観山家の部屋のさくらが「嘘。明け方になることもあれば、2,3日帰って来ないこともある」

さくらの声:だから怖くて使えなかった。(舞台のさくや役の秀生が500円玉を空き缶の中に納めます)お金なくなったら終わるから。

観山家の部屋のさくらが「私の金銭感覚は研ぎ澄まされる一方でした。友達の誕生会に呼ばれたんです。小6だったかな。裕福な家の子で、私、貧乏だってバレたくないから」

さくらの声:お菓子の代わりにお小遣いをコツコツ貯めてたの、何か月も前から。

観山家の部屋のさくらが「で、いよいよプレゼント。デパートに行って、チェックのスカートを買おうとして」

さくらの声:缶の蓋を開けたら(舞台のさくらが缶の蓋を開けると中身は空でした)。

観山家の部屋のさくらは「お金じゃ買えないものがあるって言うけど、お金でしか解決できない問題もありますよね」と遠くを見ながら言うのでした。

寿一は「さくらさん、俺、軽々しく分かりやすいなんて言っちゃって、ごめん」と頭を下げました。

本当に純粋で素直な人ですね、寿一さん。

さくらは一瞬の間の後「やだぁ、そんな重く受け取らないでくださいよ」と笑い、「ほら、お金がないってだけで、ずっと不幸だったわけじゃないし、逆にお金持ちの家って、大変そうだなぁって同情したこともあったんですよ」と言います。

大学にも行かなきゃいけないし、それなりの会社に務めて、それなりの相手と付き合わなきゃいけないしと言い、その点、貧乏は言い訳にも使えると言うさくら。

「じゃ、3万円上乗せで」と言うさくらに寿一は苦笑しました。

やっぱりさくらさんは悪い人ではなさそうです。

さいたまプロレスのリング。

プリティに技をかけ、堀に止められる寿一。

寿一は技をかけたまま相手の脛を齧る必殺技「親不孝固め」を編み出しました。

寿三郎の真実

フリースクールの前。

元妻のユカ(平岩紙)が「週一では足りないのか?」と寿一に聞き、秀生が俯いています。

寿一は寿三郎が秀生の筋が良いと期待しているので、面会のついでではなく、ちゃんとした習い事としてと提案し、「ええんちゃう。おじいちゃん、好きなんやろ?学校休みの日は行ったらええ」とユカが言い、秀生は喜びながら登校しました。

ユカは自分も話したいことがあるが今度にすると言って去ります。

寿一の声:(ユカがマンション前で男といちゃついていた場面を思い出しながら)この間のアイツのことか?もう夫婦じゃないんだし、遠慮なく言えばいいのに。

観山家の稽古場。

舞う寿一。

寿一の声:もしかして、まだ多少、俺に未練があるのかな?

寿三郎が「寿一!もっと静かに歩けねぇのか、ボケタン!秘すれば花だよ!世阿弥の言葉を思い出せ。秘すれば花!」と叱咤しました。

寿一の声:そして、奇跡が起こった。

観山家の茶の間。

嬉しそうに介護認定を見せる寿三郎。

寿一の声:親父の希望で受けた介護認定。要介護1から要支援2に下がったのだ。

「頑張った!お父さん、よくやった!」と涙ながらに拍手する舞たち。

「まぁね、本気出したらこんなもんですよ~」と寿三郎は言い、寿限無は寿一に「寿一ちゃんの稽古してるうちに、どんどん覚醒していったもんね」と言い、「ほんとだよ」と寿一が言います。

「つうか、今なら理解できるんじゃない?」とさくらを見ながら踊介が言い出し、「なんだよ?」と聞く寿三郎に「さくらさんから大事な話が・・・」と言う踊介を寿一が「踊介!」と諫め、さくらは寿三郎を散歩に誘いました。

電動車椅子の充電を忘れていたと謝りながら立ち上がる寿一に「じじいカーで行くから良い」と寿三郎は言います。

驚く一同に「じじいカー、返品しちゃった?」と寿三郎が聞き、慌てて「あるよ」と取りに行く舞。

じじいカーって、言い方(笑)。

玄関を出てシルバーカーを押しながら「要支援2っていうのは、こんな感じかな?」と寿三郎は言い、「良いの、お父さん?本当に無理してない?」と舞が聞きました。

寿三郎は「無理しなきゃさ、二度と能舞台に立てないだろ?」と笑い「じゃあ、人間国宝、笑われに行ってきま~す!」と歩き出し、寿一はさくらに「さくらさんの言った通りでしたね。介護にはまさかはない。まさか・・・良くなるなんて。これからも、よろしく」と言い、頭を下げます。

「はい、行ってきます」とさくらは寿三郎に付き添い、踊介は「やれやれ、しんどいなこのイベントは」と言い、「始まったばっかだけどね」と言う舞。

橋の上。

「遠出し過ぎたね、じゅじゅ。ごめんね、タクシー呼ぼうか?」とさくらが言うと「いやいや、ちょっと。お構いなく。大丈夫です。娘がね、せっかく買ってくれたんです。使わないとまた心配されちゃうから」と寿三郎は答えました。

「やぁだぁ、じゅじゅ。なんでそんな他人行儀なの?」と聞くさくらに寿三郎は「さくらさん、子供たちの前では今まで通り、恋人でいて下さいね。お願いします。でないと、カッコつかないから」と言って笑います。

寿三郎は立ち止まり、サングラスを外して空を見上げました。

「なんですか?」と聞くさくらに「死に方がね、分からないんです」と寿三郎は言います。

自分勝手に好き勝手に生きてきて、「ああ、楽しかったなぁ。我が人生悔いなしだなぁ」と布団について眠りにつくのだけれど2,3時間で起きてしまうと、自分で広げた風呂敷の畳み方が分からなくなったと、要するに死にたくないんだと寿三郎はさくらに打ち明けました。

「自分で畳まなくていいんじゃないの?その為に寿一さん、帰ってきてくれたんだから、子供たちが畳んでくれますよ。だから・・・散らかったままで良い」とさくらが言います。

「ありがとう。でもね、やっぱり自分で畳まなきゃいかんですよ。だって、私、あの子たちの父親なんですから」と寿三郎は言い「さぁ、行きましょうか」と歩き出し、「お、おう、三蔵法師様、私の如意棒に尿意が来てます」と言うのでした。

寿三郎さんも子供たちのことを想っているんですね。

元妻の妊娠と親父の念願のプロレス観戦

さんたまプロレス、営業の楽屋。

堀が寿一にタマが持たないので巻きで準備して欲しいと言いに来て、寿一は快諾します。

その時、寿一のスマホにユカから着信があり、ユカが“こういうのは会って直接いうべきなんだけど”と前置きをし、照れながら妊娠していることを告げました。

トイレの洗面台の鏡で自分を見つめる寿一。

寿一の声:俺は何を期待して、何に落ち込んでいるんだ?離婚した妻に恋人がいて、子供を授かる。なんの問題もないじゃないか。何故、こんなに心が寒いんだ。

顔を洗い、マスクを付ける寿一。

寿一の声:まだ俺を好きでいて欲しいという微かな望みが完全に絶たれた。夫婦をグループに例えるなら、活動休止と解散ほどの違い。だか、その差は歴然と・・・。

と先程から独り言を言っている隣の洗面台の男を見ると、それは寿三郎でした。

「あはは、どうも、いやぁ、プロレスラーの方も大変ですよね~、ほんとにまぁ、身体を酷使されるからねぇ・・・。じゃ、頑張ってください。応援してま~す!」と去る寿三郎。

市民会館の外。

待っていたさくらに「おしっこ、ちゃんと出来た」と寿三郎は報告し、プロレスのチラシを見せるさくらに“スーパー世阿弥マシーン”にトイレで会ったと寿三郎は言います。

「すごくない?エンディングノートに書いたじゃん、さくらとプロレス観戦って」とさくらが言い、さくらは寿一に「遅くなる」と言う為に電話をかけました。

トイレでさくらの着信を見た寿一はスクワットをしてから電話に出て、「プロレスを観て帰るから6時過ぎるので、適当に晩御飯の用意をしておいて欲しい」と言うさくらに「おお、おお、はい、ごゆっくり」と言って電話を切り、「ごゆっくりじゃねぇよ、どうすんだよ」と呟きながらトイレを出ます。

スクワットは何だったのでしょうか?

さいたまプロレスの会場。

スーパー世阿弥マシーンが登場しました。

スーパー世阿弥マシーンの動きを見て「体幹しっかりしてるな~」と感心する寿三郎。

プリティにお面を取られまいと抵抗し、寿三郎たちに背を向けてお面を取る寿一。

寿三郎たちに顔を見せない事に気を取られて、プリティに技を決められ、寿一はマットに沈みます。

起き上がれない寿一に寿三郎が「立て~。立て、世阿弥マシーン!」と声を掛けました。

「立て!立て、ほら、立て、世阿弥マシーン!」と立ち上った寿三郎が「立て~!!」と叫びます。

その瞬間、覚醒した寿一は、すごい勢いで技を連発し、プリティが寿一の腕に爪を立て、寿一がふと時計を見ると6時2分前でした。

「6時過ぎるので、晩御飯適当にお願いしていい?」と言ったさくらの言葉を思い出した寿一は、「親不孝固め」でプリティを落として、速攻で家に向かいます。

観山家の台所。

マスク姿の寿一がスマホでレシピを見ながら、餃子を作ります。

息を切らして餃子を包みながら「なんで餃子にしちゃったんだよ~」と呟き、「風呂!!」と風呂場の掃除をしている時に、「ただいまぁ」とさくらの声がして、風呂場の鏡に映った自分の姿を見て、慌ててマスクを外す寿一。

「セーフ!」と心で言いながら、台所に戻った寿一は「良い匂い、餃子かな?」と近寄ってきたさくらに、マスクを鍋つかみ代わりにしてフライパンの蓋を開けて、焼けた餃子をさくらに見せました。

ギリギリセーフですね、寿一さん。

観山家のお茶の間。

寿一の作った餃子で食卓を囲む寿三郎、寿一、さくら。

観山家のお風呂。

寿一が寿三郎の足を洗っています。

寿三郎がプリティがつけた寿一の腕の傷に気付き「喧嘩でもしたのか?」と聞きました。

寿一は「んなわけないだろ」と言い、「流すぞ」と立ち上がります。

今日、久しぶりに自分の足で歩いたらパンパンだと寿三郎は笑い、年なんだら無理すんなよ、と言う寿一。

寿三郎は「エンディングノートにでけぇこと書いちゃったから頑張らねぇとと思って」と言いました。

寿一は寿三郎を湯船に入れ、「出る時に声を掛けてくれ」と言って、脱衣所に出ます。

寿三郎のバッグの中にエンディングノートを見つけた寿一はそっと取り上げ、ページを捲ると、達筆な字で「もう一度 舞台に立つ」と書いてありました。

力強い文字です!

湯船の中から寿三郎が「寿一、今日さぁ、もんのすごいねぇ体幹の強いレスラーがいたんだよ。あいつ、プロレスなんか辞めて、能やれば良いのになぁと思ったなぁ、俺は。世阿弥なんとかっていうんだけどさ。お前、知らねぇか?」と聞き、寿一は「知らねぇ」と答え、涙ぐむのでした。

寿一の声:これが俺の家の話だ。

感動がぎゅっと詰まった3話でしたね~。

なんだが胸がいっぱいになりました。

さくらちゃんと寿一さんが将来的に結ばれるような予感もしてきています。

俺の家の話4話ネタバレあらすじ!寿限無の驚きの真実

寿限無のおとしまえ?

寿一(長瀬智也)の声:こう見えて俺は忙しい。昼は能の稽古。夜は親父の介護。そして、週末は“スーパー世阿弥マシーン”。

さんたまプロレス興行会場。

試合を終えたスーパー世阿弥マシーンがグッズ販売をしているロビーに現れます。

一人の少年が「寿~!だよね?ブリザード寿、本名・観山寿一」と言いました。

寿一は首を横に振りながら「ぜあ~」と言い、堀(三宅弘城)が「坊主、世阿弥マシーンはな、日本語わかんないんだよ」と言い、寿一も頷きながら「ぜあ」を繰り返します。

「世阿弥星からUFOで来た世阿弥星人なんだって」と堀が言い、「ぜあ!」とポーズを決める寿一。

寿一は逃げるように戻った楽屋で、堀に“世阿弥は日本人だから適当なことは言わないでくださいよ”と言います。

設定なんか適当でいい、どうせバレるんだから、と言う堀に「親にバレたら破門なんです!」と寿一は訴えました。

「ぜあ」しか言えない設定もどうかと(笑)。

観山家。

茶の間。

さくら(戸田恵梨香)と並んで、テレビで能を観ている寿三郎(西田敏行)。

寿一の声:週5で来るヘルパーのさくらさんを親父はまだ恋人だと思い込んでいる。

キッチン。

エプロン姿の寿一が茶の間の寿三郎を見ながら、手元にある寿三郎のエンディング・ノートを見ています。

項目127に“寿限無のおとしまえ”を見つける寿一。

寿一は茶の間の寿三郎に歩み寄りながら「なぁ、親父、何これ?」と言うと、寿三郎は「入ってくんなよ、お前」と言い、寿一は「寿限無のおとしまえって書いてあんだけど」とエンディングノートを見せて聞きました。

寿三郎はエンディングノートを見て、「知らねぇよ」と言いますが、“寿三郎の字だ”と言うさくら。

寿限無の部屋。

寿限無が「“寿限無のおとしまえ”」と呟きます。

「あ!」と言う寿限無に「なんだよ?」と寿限無のベッドに座った寿一が聞きました。

寿限無は、“寿三郎が倒れる前に地方巡業で博多のガールズバーに行って女の子とラインを交換し、東京に戻ってからも楽しくやりとりをしていた”と“でも、ある日、寿三郎が夜中に『浮舟』の謡を送ったことで女の子がひっそりと退室した”と言います。

『浮舟』は、二人の男に求愛された女が精神を病んで身投げする女の謡だと説明する寿限無。

「怖ぇよ」と寿一は言いました。

なんで、そんなものを送ったのでしょう、寿三郎さん。

寿限無は“飛騨高山のガールズバーで知り合った女の子とのラインで寿三郎が後日送ったのが『嫉妬に狂った御息所の謡』”だと寿限無は寿三郎が送った動画を寿一に見せます。

「怖ぇよ~」と言う寿一。

最早、意味不明です、寿三郎さん。

「出会いは軽いのにラインは重いんだよ」と寿限無が言うと、二人の会話を部屋の入口で聞いていたさくらが「あとスタンプの使い方が独特ですよね」と言いました。

驚いてさくらを見る二人に「すみません。秀生(羽村仁成)くん、来てますよ」とさくらは言います。

「あの、さくらさん、差し支えなければ、親父のラインを・・・」と言う寿一を「寿一ちゃん、それは流石に・・・」と寿限無が窘めますが、さくらは「どうぞ」とあっさりと寿一に寿三郎とのラインを見せました。

寿一がさくらと寿三郎のラインをみると、長文の寿三郎のラインでいっぱいの画面にさくらの返信は絵文字もない「私も」の一言。

寿一はさくらに「左側が親父ですか?(“はい”と答えるさくら)あの、俺が言うのも変なんだけど、もうちょっと、返してあげられます?」と言い、「すみません。でも、お父さん、全部わかってますよ」と、

寿三郎が先日の散歩の時に、さくらに“子供たちの前では恰好がつかないので、今まで通り、恋人の振りを続けて欲しい”と頼んだことを明かします。

「嘘だろう・・・」と言う寿一にさくらは「死に方が分からないとも仰ってました」「死に方?」「その為のエンディングノートなんですけどね。・・・書いているうちに生きることへの執着が・・・」と言うさくらの言葉に考え込む寿一。

池袋の駅前広場。

制服にマスク姿で大州(道枝駿祐)が仲間とヒップホップを踊っています。

ベンチに置いた大州のスマホには“鬼婆”からの着信が続いていました。

生き生きしています、大州くん。

観山家。

稽古場。

寿限無、寿一、秀生、舞がいます。

舞(江口のり子)が、険しい表情で電話を掛けながら「出ない~!なんで出ないの、大州!!」と言います。

寿限無が「始めましょうか?」と言いますが、「待ってる」と言う秀生。

「秀生は大州、好きだもんな」と寿一が言い、寿限無が「じゃあ、大州と一緒に出てみるか?」と言うと、舞が「これ、去年のだけど」とチラシを出しました。

チラシには『Yes!子供だって能』と書かれています。

「Yes!子供だって能?」と言う寿一に、舞の塾に協力して貰って毎年やっているイベントだと説明する舞。

「Yes!子供だって能?」と繰り返す寿一を無視して、舞は「分かり易さも大事なのよね、寿限無?」と言い、寿限無は定番の演目の他に短い舞と狂言をやって、と説明しますが、寿一は

「Yes!子供だって能?」と舞に繰り返し聞きました。

舞は「能とNoをかけましたよ!スッと流してよ、そこは!」と言います。

「どうする、秀生?」と聞く寿一に秀生は「大州と一緒だったら出る」と答え、寿一は舞に「Yesだって、能(No)じゃないって」と言うのでした。

案外、しつこい性格のようです、寿一さん。

寿一の声:これが俺の家の話だ。

後日。

観山家。

買い物を終え、キッチンに戻ってくる寿一は、茶の間の寿三郎を見ます。

寿一の声:ノートの一件依頼、親父の情緒が変だ。古い写真を眺めて涙ぐんだかと思えば、急に当たり散らしたり・・・。

稽古場で寿限無に厳しく指導し“親の顔が見たいわ!親の顔が!”と怒鳴る寿三郎。

寿一の声:かと思えば、露骨にボケた振りしたり・・・。

ケアマネ・末広(荒川良々)に「ゴリラ!」と言い、「魚ですよ」と言う末広に「ぎょりら。ぎょぎょ」っと言い、末広は「ワザとですよね?おじいちゃん」と言います。

寿一の声:そんな親父に輪をかけて情緒不安定な男がいた。

観山家の茶の間に駆け込んできて、3万円で知人から買ったさくらの高校の卒業アルバムの写真を見せ、整形疑惑を訴える踊介(永山絢斗)。

寿三郎の身になにかあった時の為に、寿三郎の車椅子にGPSもつけたと言う踊介に、舞は「あんたさぁ、好きなんじゃないの?」と聞きました。

踊介は受け止めて、「やめろ」と言い、「え~?!そうなの?!」と驚く寿一。

「好きじゃなかったら3万でこんな写真買う~?」と言う舞に「やめろ、やめろよ!そんなこと言われたら・・・意識しちゃうじゃんか・・・」と踊介が力なく言っているところへ、さくらが来ます。

「どうかしました?」と聞くさくらに踊介はニヤけながら「どうもしねぇよ。こん畜生め」と言うのでした。

踊介さん、さくらさんにメロメロです(笑)。

稽古場。

舞台で舞う踊介を見ているさくらと舞。

さくらが「なんだろう、素人だから能のことはよく分からないけど、すごい下手ですよね?」と言い、舞が「そうなのよ。しかも訴えかけるものが何もないの」といった処へ寿三郎が「はい。そろそろ稽古始めるよ~」と入ってきて、踊介は「はい」と言って舞台を下りて去ります。

「稽古してたのに・・・」と呟くさくら。

寿三郎と寿一と向かい合って座る、大州、秀生、舞。

今日は「小袖曽我」を教えると、大州に秀生を教えるように寿三郎が言うと「はぁ~~?!いいけど、一人で出来んじゃねぇ?」と言う大州。

若者の前では宗家も形無しです。

「大州、やめて、そんなヤンキー口調!」と舞が言います。

寿限無が「宗家。留めは道成寺で宜しいですか?」と寿三郎に聞くと寿三郎は「はぁ~~?!良いんじゃね」と答え、舞が「お父さんもマネしない!」と言いました。

「鐘後見は寿一ちゃんにお願いします」と寿限無が寿一に言い、寿一は謡の稽古をする皆の目を盗み、密かに「かねこうけん」をネットで検索します。

「金子賢」がヒットします。

寿一の声:金子賢・・・日本で活躍するタレント。俳優、元総合格闘家。・・・て、そんな小ボケ。今はいらないぞ。・・・鐘後見。道成寺の鐘に結ばれた綱の先端を天井の滑車へ通した後、綱を引き、鐘を持ち上げるという重要な役目である。

さんたまプロレスのリング。

道具の鐘を持ち込み、天井につけた滑車に綱を通すさいたまプロレスの面々と寿一。

寿一が「会長、すみません。家、天井が低いんで稽古出来ないんですよ」と言い、「かまわねぇ、かまわねぇ」と堀が言います。

道成寺の「鐘に捕らえられた女が坊主の念仏で上がる鐘から大蛇に化けて現れて大暴れする」という内容を寿一が説明すると「それ、超かっこいいっす。やりません?今日のメインで!」とプリティ原(井之脇海)が言いました。

さんたまプロレス 本番。

能の楽曲に合わせ、リング上の鐘が上がり、中から寿一(スーパー世阿弥マシーン)が現れ、

アナウンサーが「来た!鐘の中から大蛇に化けたスーパー世阿弥マシーン、降臨!!」

寿一の声:いつかバレる。こんな事してたら、絶対バレる。住み分けを。能とプロレス。寿一と世阿弥マシーンの線引きを。

寿一さんもノリ易いから~!

観山家。

稽古場 舞台。

センターに寿限無。

鐘に見立てた重石を綱で引いた寿一が舞台の端にいて、舞とO.S.D(秋山竜次)が見ています。

寿一の声:鐘落としは本番での一発勝負。

綱を引きながら目を開けて、イビキをかいている寿一。

寿一の声:稽古では段取りの確認のみ行う。0.1秒のズレも許されない。

寿限無が「寿一ちゃん、ん、で飛ぶからね」と言い、寿限無が「ん」で飛びますが、寿一は反応しません。

「寿一ちゃん、寿一ちゃん!」と言う寿限無の声に「はい!」と起きて、いきなり重りを落とす寿一。

「遅い!タイミング合わなかったら大怪我するんだよ!命預けてんだよ、こっちは」と言う寿限無に「はい、すみません」と寿一は謝りました。

「長田さんもね!」と寿限無が居眠りをしているO.S.Dに声を掛けると、O.S.Dは「はい!いらっしゃいませ!」と言いながら飛び起きます。

 

大州の夢と逃げ道

同じく稽古場 舞台。

秀生と大州が舞っていますが、大州の首が不自然に動いています。

寿三郎が「やめやめやめ!」と声を掛け、「大州、なんかお前の、気持ち悪いなぁ!」と言うと、「え?何が?」と聞く大州。

寿三郎が謡い、大州が真似て謡いますが、リズムがズレていました。

「首カクカクしない!」と言う舞に「カクカクなんかさせてねぇよ」と大州が言い、「してるわよ!K-POPばっか観てるからよ。ヨックモックで」と言う舞。

「ヨックモック?・・・ティック・トックよ!・・・ワザとに決まってんでしょ!!」と舞は言います。

「まぁまぁ・・・大州、リラックスだよ、リラックス。ワン、トゥ、スリー。アァ!」と言うO.S.Dに「その最初のアァがダメなんじゃないの?アァがあるから、ズレちゃうんじゃないの?」と寿一が言うと、“そうやって型にはめるのは正直ダサい”とO.S.Dが言い、「あ、すみません」と言う寿一。

“気にするな、ノリで行かせてもらおう”とO.S.Dは大州に言い、自由に謡い始め、寿三郎は席を離れ、大州はうんざりした顔をするのでした。

極端な父ちゃんと母ちゃんで大変そうです、大州くん。

街路。

秀生と並んで歩く大州。

「新しい学校どう?」と秀生に優しく尋ねる大州。

寿一の声:なんか昔の自分を見てるようで辛いわ。

観山家の稽古場。

寿一が舞台の拭き掃除をしながら「ああいう風に見えてたんだな」と寿限無に言います。

後から習い始めた寿限無がどんどん上達するので立場がなくて、“俺は出来ないんじゃなくて、やらないだけだ”という状態に自分を置かないと不安で仕方なかったと寿一は語りました。

「それでプロレスに逃げたんだ?」と聞く寿限無に寿一は「逃げた・・・って思われても仕方ねぇか」と言うと、寿限無は「だとしたら、逃げるの早すぎ。寿一ちゃん、圧倒的な華があったのに」と言います。

「そんなもん自分じゃ気付けねぇし、所謂、反抗期?まさか25年もかかると思わなかったけどさ」と言う寿一に寿限無は「逃げるのも才能だけどね。俺はその才能も勇気もないから、コツコツやるしかなかった。けど、逃げ道を作ってあげるのも大人の役目だと思う。実際、秀生の方がセンスあるし」と言うのでした。

池袋の公園。

ベンチに腰かけて、大州たちのダンスを見ている秀生。

「大州、僕、先、帰るね」と言い、秀生は公園を後にしました。

観山家。

茶の間。

寿一が洗濯物を畳みながら、寿三郎のベッドの足元に落ちているエンディングノートを気にしています。

寿一はベッドでイビキをかいている寿三郎を見ながらノートの手を伸ばし・・・ますが、止めようとすると、「見たいんなら見ていいよ」と寿三郎が言いました。

「え?」と洗濯物に戻る寿一に「なんだよ、なんだよ、見てほしくない時にはさぁ、見る癖にさぁ」と寿三郎が言い、「見て欲しいのかよ」と寿一が立ち上がり、ノートを手に取ると、「ああ、いいやいいや、返せ返せ」と言う寿三郎。

なんだよ、と寿一がノートを返そうすると、寿三郎ははにかんで受け取りません。

どっちなんだよ、と聞く寿一に「う~ん、どっちかっていうと見てほしい」と寿三郎が言い、「見るよ」と寿一が見ると、“ビューティフルライフのロケ地巡り”と書き足してありました。

寿三郎は、さくらの誕生日にサプライズでさくらの一番好きなドラマ「ビューティフルライフ」のロケ地巡りに連れて行ってあげたいと言います。

“ロケ地巡り”ってめちゃくちゃ感性が若い!寿三郎さん。

寿一は「あのさ、親父・・・」と言い掛けて、“寿三郎が全部分かっている”と言ったさくらの言葉を思い出し、「わかった。調べとくわ」と言いました。

秀生のフリースクール。

掲示板に“Yes!子供だって能”のチラシを貼る教師。

「すごいなぁ、もう舞台に立てるんや」と言うユカ(平岩紙)に「特別だよ。秀生は筋が良いんだ」と言う寿一。

ユカは、“続けるなら親権のこともちゃんとしなきゃ”言い、“苗字も今は観山だけど先々どうなるか分からない”と言います。

寿一の声:考えもしなかった。未来永劫、俺は秀生の父親のつもりだが、法律上はそうも言ってはいられない事態が、じわじわと迫っている。

「あ、前に話したやろ?パートナーのハヤカワくん」と教室の隅にいたハヤカワに手招きをするユカ。

寿一の声:随分前から視界に入ってたぜ。パートナー。ピントこそ合ってなかったけどな。

ハヤカワが「初めまして。ですよね?」と挨拶をします。

寿一の声:こっちは二度目ましてだ。マンションの前でいちゃついてるのを見たぜ。

「ユカさんと1年ほど前からお付き合いさせていただいてます」と言うハヤカワ。

寿一の声:させてやってる覚えはねぇ。

「秀生君とも仲良くさせていただいて」

寿一の声:させてやってる覚えはねぇぜ。

「彼女との間にも新しい命を宿らせさせていただいて」とハヤカワは言います。

寿一の声:日本語、おかしいぜ。

はい、私もそう思いました(笑)。

さんたまプロレス 会場。

スーパー世阿弥マシーンの扮装をした寿一が歩いてきて、

寿一の声:ユカもユカだ。俺と別れた後に、よくあんな薄味の病院食みたいな男と付き合えるな。

リングに上がった寿一は、“マスクつけて練習なんて珍しいですね”と言う後輩たちに次々と攻撃を加えながら、

寿一の声:挙句の果てに、あのぶんむくれの先生まで・・・

フリースクールの教師が、2人の父親!?が揃ってしまい秀生に困った挙句「今日はお父さんが二人。欲張りね~」と言っています。

寿一の声:秀生の父親は、俺だけだ!

と後輩に技をかけてマットに沈めた処で、堀が“電話だぞ”と寿一のスマホをマットに投げ込みました。

「ぜあ!」と寿一が電話に出ると相手は踊介で、踊介は寿三郎の車椅子のGPSが表参道の辺りをぐるぐる回っていると心配しています。

「ビューティフルライフ」と言う寿一。

表参道。

ビューティフルライフ!?

電動車椅子にさくらも乗せて疾走する寿三郎。

そう・・・あの名作ドラマ「ビューティフルライフ」のパロディですね。本家は常盤貴子&キムタクでしたが(^^;

追い越したスノーボーダーを追いかけようと寿三郎がスピードを上げた時、さくらが車椅子から落ちてしまいます。

少し進んで、さくらがいないことに気付き、「さくらちゃん、さくらちゃん、大丈夫?」と後方に寿三郎は呼びかけました。

倒れていたさくらは身体を起こしながら、「大丈夫、大丈夫。ちょっと、めまいが・・・」と言いますが、また倒れ込んでしまいます。

寿三郎は電動車椅子が電池切れで身動きが取れません。

その時、意識が朦朧とするさくらの元へスーパー世阿弥マシーンが現れ、さくらは完全に意識を失いました。

寿一は「さくらさん」と声を掛け、思わず「親父!」と寿三郎に呼びかけてしまいます。

振り返れない寿三郎は「寿一?寿一・・・」と寿一を呼び、寿一は慌てて、さくらを担ぎ上げ、寿三郎の横に立ちました。

寿一は、「世阿弥・・・」と言う寿三郎に黙って頷き、肩にさくらを担ぎながら、寿三郎の車椅子を押し始めます。

寿三郎は「ありがとうございます。世阿弥さんは、あの、外国の方ですか?」などと寿一に話し掛け、さくらは寿一の肩で目を覚まし、“降ります”と言いました。

さくらを担いだまま、「ぜあ!」とタクシーに手を上げる寿一。

観山家。

茶の間。

さくらがスマホで獲物を担ぐ山賊のイラストを見ながら、寿三郎のエンディングノートのノートの“お姫さまだっこ”を“山賊だっこ”に書き変えた上に「できました」の桜の印を押しました。

そこへ寿一が帰宅して、さくらは寿一に“プロレス、詳しかったですよね?”と聞き、“元レスラーだから”と答える寿一に、「じゃ、スーパー・・・」と言い掛けると「知りません!」と言う寿一。

「スーなんてレスラー知りませんよ。おやすみなさい」と言って寿一は去ります。

別の日。

観山家の稽古場。

秀生が項垂れ、寿一がうろうろと歩き回り、舞が「ごめんね、秀生」と言いながら電話を掛けていました。

「もう!なんで真っ直ぐ稽古に来ないのよ」と愚痴る舞。

寿一は秀生に「秀生、お前、大州のいる場所、知ってるか?」と聞きます。

「・・・知らない」と答える秀生に後ろからそっとプロレス技を掛けながら「本当に知らないの?」と寿一が聞くと、秀生は「池袋!」と言いながら、逃げ出しました。

池袋の公園。

ダンスの練習をしている大州たちの処へ、袴姿に首からチェーンを下げた寿一がやって来ます。

「すげぇな、大州」と近付く寿一のチェーンを指し「なにそれ?」と聞く大州。

寿一は「万が一、カラーギャングに囲まれたら、お前のこと、守り切れねぇなと思って」と言い、大州は「何年前の話だよ?」と言いました。

池袋WGPですね(笑)。

寿一が大州の仲間に自己紹介をしている間に帰り支度をする大州に「何処行く、大州?」と聞く寿一。

「稽古だろ?」と答える大州に寿一は「ラーメン食おうぜ」と言うのでした。

ラーメン屋。

カウンターに並んでラーメンを食べる寿一と大州。

大州はスマホでダンスグループの人気投票サイトに10位で大州の所属する「Yellow Angels」が載っているのを寿一に見せ、「人気投票でうちらのチームが10位に入ってさ。日曜日、決勝で生配信なんだ」と言います。

「日曜日?」と寿一が言い「“Yes!子供だって能”、だから不参加。みんなにはまだ言ってないけどね」と言う大州。

じっと大州を見つめる寿一に大州は「行くよ、ちゃんと。秀生、頑張ってるし。能が好きだもんね」と言うと、寿一は「能がっていうより、お前と稽古するのが楽しくて来てんだよ」と言いました。

すると、大州は「そういう奴は負けるんだよ。俺は母ちゃんに言われて仕方なくやってる。“お前がその気なら、能の世界で生きていけるんだから”って。わかんないよ、そんなの。他にどんな世界があるのかも知らないのに」と言います。

寿一が「逃げるのも才能だってよ。俺は逃げた。違う世界が見たくて。結局、プエルトリコまで行って世界の広さに打ちのめされて戻ってきたよ」と言い、カウンターの中のO.S.Dに「長田君はどうしてラーメン屋に・・・」と言うと、

「ごめん!!今、話し掛けないで、メン!」とO.S.Dは言い、「店長、あんた、このスープの為に死ねる?」と聞きました。

店長は「いや、死ねないです」と答え、O.S.Dは「早稲田の店長はさぁ、死ねるっつってんだよ。その差が出てんだろうがよ!食べログの星によぉ!・・・やり直し」と言います。

O.S.Dは“どうしてラーメン屋になったか?”について、自分がラーメンを好きではないからだと言いました。

「無理して食ってる。背脂とか無理。パスタの方が好き」と言い、でも“ラーメン好きな奴はラーメン好きな奴の気持ちしか分からない”“だから俺の意見は結構大事なんじゃないか”とO.S.Dは言い、感慨深げに話を聞いている大州。

今回のO.S.Dは深いことを言いましたね。

すっかり日が暮れた観山家の前。

寿一と大州が戻ってくると、舞が飛び出してきて玄関を閉め、「顔も見たくないわ!!クソじじい!!」と叫びます。

舞は大州と寿一には目もくれずにすごい勢いで歩き去りました。

続いて、踊介が出てきて、「ああ!!」と叫びます。

「どうした、どうした、踊介?」と聞く寿一に踊介は「あの・・・クソじじい~!!」と叫んで去っていきました。

 

寿限無の驚きの真実

観山家。

茶の間。

寿三郎の隣に栄枝が座り、寿三郎の後ろにはさくらが控えています。

寿三郎の正面に座る寿一に、寿三郎は“かつてこの家で女中として働いていたスガワラ 栄枝さん”だと紹介しました。

なんと・・・女優の美保純さん登場。栄枝さんが只者ではないことがわかります。

寿三郎は寿一に“番頭”がいたことを覚えているか?と聞き、寿一が“コイケヤさんだろ?寿限無のお父ちゃんの”と言うと、寿三郎は“栄枝はコイケヤのかみさんで寿限無のお母ちゃんだ”と言います。

寿限無を探し「寿限無は?」と聞く寿一に、さくらが「日曜の打ち合わせで会館に」と答えました。

「で、ご用件は?」と栄枝に聞く寿一に“栄枝は自分が「寿限無の落とし前」をつけるために呼んだ”と寿三郎が言いました。

新作能 寿限無之落前。

能の舞台形式で、“寿一の出産の為に、寿一の母親が里帰りをしている間に、寿三郎が栄枝と不倫関係になり、寿限無を身籠ったこと”“寿一の母親が寿限無の認知を許さなかった為、寿三郎が栄枝に惚れていたコイケヤと栄枝を結婚させたこと”“寿一が家を出た後、寿限無に家を継がせる為に芸養子にしたこと”が語られました。

能の始めに、舞と踊介が戻ってきました。

その場にいた大州を舞は「秀生を送ってきな」と追い出します。

話の途中で寿限無が自分と腹違いの兄弟だと理解した寿一は庭に飛び出し「ふざけんじゃねぇぞ!クソじじい!!」と叫びました。

子供の頃から寿限無と兄弟の様に過ごしてきた寿一は、その事実に衝撃を受けます。

自分と悪さをしても、寿限無ばかりが叱られるのは、自分が家元の子で、寿限無が番頭の子だからだと信じていたのでした。

寿一は“自分がこの家に戻ってきた時に「おかえり」と言ってくれたのは寿限無だけだった”と言います。

確かに、あの時の嬉しそうな寿限無の顔はわすれられません。

話題は寿限無に話すのかになり、舞は“今更、勝手だ”と言いました。

打ち合わせにしては寿限無の帰りが遅いと言う踊介の言葉に、寿一は寿限無が“寿三郎と自分の出演料の穴を埋めるため”に寿三郎に内緒でデリバリーのアルバイトをしていることを明かします。

「そうやって生きてきたんだよ。あいつ。俺みたいに逃げることもなく、ひたすら受け入れてきたんだよ」と言う寿一。

舞が「さくらさん、どう思う?」と聞き、さくらは「・・・私は話すべきだと思います。認知症なんですよ、お父さん。この先進行して、寿限無さんのことすら認識できなくなったら、後悔すら出来ないんです。真実を語れるのは寿三郎さんしかいないし、打ち明けるなら、今しかないと私は思います」と答えた時、寿限無が帰宅しました。

寿三郎はさくらに「さくらちゃん、ありがとう」と言います。

夕飯の買い物をして台所に戻った寿限無は「遅くなりました。打ち合わせ長引いちゃって。鍋で良いですか?すいません。鍋ならすぐ出来ますんで」と言いながら支度をしようとしました。

寿限無を泣きながら見つめていた寿三郎が、「いいから、寿限無、座れ」と言い、寿三郎を見て、隣にいる栄枝に気付いた寿限無に栄枝は「久しぶり。元気そうね」と言います。

「え?」と状況が飲み込めずに立ち尽くす寿限無。

茶の間の向かいの部屋。

寿一、舞、踊介がいます。

「飛び出してこないね」と舞が言い、「人間が出来てるからね、寿限無は。俺たちと違って」と踊介が言いました。

窓から見える寿限無を見つめる寿一。

寿一の声:身じろぎもせず、寿限無は親父の話を聞いていた。自分の出自を知っても、父・寿三郎が不貞を詫びても、受け止め、飲み込んで、全て丹田に落とし込み、終いまで聞いて、たった一言。

寿限無は「承知しました」と言って、席を立ちます。

“承知”出来たのでしょうか、寿限無さん。

別日。

観山家の稽古場。

寿限無が大州と秀生の舞の謡を謡っています。

寿一の声:次の日もその次の日も変わった様子はなく、そして迎えた秀生の初舞台。

会場の稽古場。

秀生と大州が並んで正座をし、寿限無に「宜しくお願いします」と頭を下げ、寿限無も倣います。

入ってきた寿一が秀生に身体を伸ばしておくように言い、大州に「結局、こっち、来たのか?」と声を掛けました。

「母さんと話したか?」と聞く寿一に「この家には能が好きな奴しかいないから。能が好きな奴って、能が好きな奴の気持ちしか分からないでしょう?だから、言ってもしょうがないよ」と言い、寿一に背を向けて歩き出します。

その大州の背中に寿一は「でも貴重だけどな。お前みたいな奴も」と言いました。

そうです。O.S.Dの話のそこが大事だったんですよね~。

稽古場を出た大州を見つけた舞が大州の曲がっていた袴を直します。

“今日はどうせ皆、秀生しか見ていない”と言う大州に「何言ってんの?!母さん、どんな時だって、大州のことしか見ていないんだよ」と言う舞。

観山家。

茶の間。

洗濯物を畳んでいるさくらが寿一のTシャツが混ざっているのを見つけました。

寿一の部屋。

寿一のTシャツを戻しに来たさくらは箪笥から紙切れがはみ出しているのを見て、引き出しを開けます。

すると、その紙には“スーパー世阿弥マシーン”の詳細な図が描かれていました。

そして、さくらは寿一の箪笥の引き出しから“スーパー世阿弥マシーン”の「初心」と描かれたトレードマークのユニフォームを見つけるのでした。

「Yes!子供だって能」会場の楽屋。

舞が大州の名前を呼びながら走り回っています。

舞台裏。

秀生が道明寺の鐘から袴がはみ出しているのを見つけて近寄ると、中から泣き声が聞こえました。

大州くん、でしょうか?

楽屋。

大州が何処にもいない、逃げたと嘆く舞。

開演時間が迫った舞台裏。

舞が開演前アナウンスをしています。

道明寺の鐘の前に仁王立ちになっている秀生に寿三郎と寿一が近付きました。

「どうする?」と右往左往する中、寿一は自分が舞えると言い出します。

寿一が「秀生、父ちゃんと舞ってみるか?」と聞き、「うん」と答える秀生。

寿一は寿三郎に「親父、繋いどいて」と言い残して、着替えに向かいます。

舞台の中央に座った寿三郎は自分の“病状経過”を話し始めました。

舞台裏。

道明寺の鐘を取りに来た弟子に「ダメ!」と秀生が言った処に寿一が来ます。

「よぉし、行くか。宜しくな」と言う寿一と笑顔で、鐘を振り返りながら舞台へ向かう秀生。

寿三郎が「親子で舞う」と紹介して、秀生と寿一が舞台に現れます。

客席で緊張して見守るユカ。

舞が始まるとユカは感動して泣き出しました。

一方、さくらは走って会場に着き、客席に入り、肩で息をしながら舞台を見つめます。

舞いながら寿一は幼い頃、寿限無と舞った事を思い返し、

寿一の声:そうか。あの時、俺たちは、兄弟で舞ってたんだな。

見事な舞が終わり、舞台裏に戻った秀生は鐘に向かって「終わったよ。大州」と声を掛けました。

寿一は大州のラインに「終わったぞ」と送ります。

大州から直ぐに「こっちも終わった。優勝したよ!」と返事が来ました。

秀生に「おい!秀生!大州、優勝したって」とラインを見せる寿一。

寿一が送られてきた大州の踊る動画を見て「すげぇじゃん。あいつ、逃げる才能あったんだね」と言うと「え?じゃあ、誰?」と秀生は鐘からはみ出した袴を指さします。

「誰かいんの?」と寿一が袴をひっぱると袴だけでした。

袴だけ?泣き声は?オカルト系ですか?!

「袴?」と鐘の方を見ていた寿一が何かに気付き、「兄貴、やっぱ寿限無いないわ」と言いながら来た踊介に「しっ!」と言います。

弟子が鐘を動かすと、鐘の陰に装束を纏った寿限無が正座をしていました。

「寿限無、どうした?大丈夫か?」と声を掛ける寿一。

寿限無は静かに立ち上がり「いや~、良かった良かった。道成寺、決めてくれよ!頼むぞ~!」と言う寿三郎の横を通り過ぎるときに、「うるせぇ、クソじじい」と呟きます。

寿一がそっと見守る中、寿限無は面をつけました。

黒・寿限無、登場でしょうか?

寿限無のあの笑顔が見られなくなってしまうのは寂しすぎますよね~。

紆余曲折があっても、またあの笑顔が見られるように祈ります。

大州くんは“二足のわらじ”でも良いのではないでしょうか?

寿一のプロレスと能よりはずっと受け入れられ易いのではと思うのですが・・・。

そして、意外な処からラブが?!

果てしなく希望が薄い気がしますが(笑)、踊介さんの恋の行方にも注目したいと思います。

俺の家の話5話ネタバレあらすじ!寿限無の反抗期と家族旅行

寿限無の遅れてきた反抗期

『Yes!子供だって能』の舞台。

寿限無(桐谷健太)が「道成寺」を舞っています。

寿一(長瀬智也)の声:「道成寺」の見せ場の一つ。 「乱拍子」シテと小鼓が位置使いだけで間を合わせる。溜めて、溜めて、溜めに溜めに溜めて~、(寿限無が足のつま先を少し上げます)これしか動かない。なんと30分もある。朝ドラ2話分だ。今日はノーカットでお送りします。・・・嘘!限界!尺が足りない。(寿限無が上げたつま先を下ろします)。シテ役の寿限無、彼は数日前、プライベートで割と大変なことがあったばかり。

寿一の回想シーン。

寿三郎(西田敏行)が寿限無に「寿限無、お前は正真正銘、私の血をひく・・・息子なんだよ」と打ち明けています。

寿限無は一言「承知しました」と言いました。

『Yes!子供だって能』の舞台。

舞台の端で大道具の鐘を釣った綱を握る寿一。

寿一の声:そして、いよいよ最大の見せ場「鐘入り」。鐘の下に飛び込むシテと呼吸を合わせ、綱を手放す。

寿一の回想シーン。

観山家の舞台。

寿限無が飛んでも居眠りをしていて綱を放さない寿一に寿限無が「寿一ちゃん」と声を掛け、慌てて、寿限無の目の前に重りを落とす寿一。

『Yes!子供だって能』の舞台。

寿一の声:間を外したら、大怪我を負う。この演目の成否は「鐘後見」つまり、この俺が握っている。(寿限無の動きを見つめながら)まだでしょう・・・まだでしょう!・・・(寿限無が飛び)今でしょう!!

寿一が綱を放し、寿限無は見事に鐘に収まりました。

寿一の声:僧侶が現れ、祈祷をして、鐘を引き上げると大蛇と化した娘が(寿一た鐘が引き上げます)暴れまわるという指向。

鐘の中から現れたのは、ヤンキー座りをするチンピラ寿限無。

「よろしくメガロックじゃ、こりゃ~!」と高音で叫ぶ寿限無。

寿一の声:寿限無・・・。

寿限無は「おうおう、こら、南無阿弥陀仏ねぇぞ、こら」と僧侶を追い回します。

寿一が寿限無を止めようとした処で・・・

寿一の部屋。

寿一がガバッと布団から起き上がり、「駄目でしょう」と言いました。

確かに、駄目でしょう(笑)。

寿一の声:昨日の舞台は、大成功を収めた。大蛇と化した娘は己の吐いた炎で身を焼き、川へ飛び込む。悲しい結末を寿限無は見事に演じ切り、喝采を浴びた。

『Yes!子供だって能』の楽屋。

着替えを終えた寿限無の元へ駆け付けた寿一が「やったな、寿限無。タイミングばっちりだったな」と寿限無の肩を叩きます。

すると寿限無は「触んなよ」と言って出ていきました。

出ちゃいましたか、黒寿限無!

観山家。

茶の間で食卓を囲む観山家の面々。

寿一が「いただきます!」と言い、食事が始まります。

寿一は斜に構えて食事をする寿限無を見ながら

寿一の声:齢40歳で寿限無は、遅めの反抗期を迎えた。が、奇しくも甥っ子の大州(道枝駿佑)も反抗期を迎えたので・・・

寿三郎が「大州、寿限無、ちゃんと座って食べなさい」と言い、

寿一の声:一色単にされてしまった。

寿一は、寿一を見ているさくらに気付き「なんですか?」と聞きました。

さくらは「いえ・・・」と答え

さくらの恋心

さくらの声:やっぱり似てる!私、さくらは見てはいけないものを見てしまった。スーパー世阿弥マシーンの正体は、観山寿一。なの?だとしたら、辻褄が合う。あの日、ジュジュとビューティフル・ライフごっこをしていて、突然現れた赤い男はまるで仕留めた鹿か猪の様に私を持ち上げ、肩に担いで、またぎ、山賊?いいえ、彼こそ、スーパー世阿弥マシーン!

さくらは、さくらを見つめる踊介(永山絢斗)に気付き「なんですか?」と聞きます。

踊介は「いえ・・・」と答え

踊介の声:はぁ~、可愛いぜ~、さくら!お前の可愛さ、ゆ・う・ざ・い!ゆ・う・ざ・い!俺の読みは外れた。さくらは後妻業の女、ではなかった。ちょっと金銭感覚が独特で、男に誤解を与えがちだ。訴訟を起こされがちな女、嫌いじゃないぜ。兎に角もうキュンだぜ!

意外とギャルな踊介さん。

と、踊介はO.S.D(秋山竜次)の目玉焼きにマヨネーズをかけてしまいひと悶着。

舞(江口のり子)はおかわりをするO.S.Dに“こいつ、嫁の実家で何回おかわりするんだよ?”と思い、さくらは寿一を見つめて“世阿弥様、もう一度してくれないかな?山賊だっこ”と思い、踊介はさくらを見つめ“あ~、可愛すぎるぜ、さくら。可愛さ過失致死だぜ”と思っていました。

それぞれにバラバラの思考の中で食事をする面々。

寿一の声:俺の家、なんだかすごく嚙み合ってない・・・。

ええ、確かに!!

寿一が「あのさ。家族旅行行かない?」と言い、皆が動きを止める中、寿限無が「ご馳走様」と席を立ちます。

寿一の声:これもまた俺の家の話だ。

その後の観山家の茶の間。

ケアマネ・末広(荒川良々)が寿三郎のエンディングノートを見ながら「家族旅行ですか・・・結論から言うと、100%可能ですね」と言いました。

末広は「トラベルヘルパー」という介護旅行の資格を持っていると言い、パンフレットで説明を始めます。

さくらが“もしかして末広さんもご同行されるイメージでした?”と聞き、「絶妙な距離感で」と言う末広に「観山さんは家族水入らずでのご旅行をイメージされているんです」と言いました。

いきなり邪険に行き先を尋ねる末広に「国内で」と答えつつ、「本当はハワイが良かった」と唯一の家族写真を出し、“この一枚しか家族写真がない”と思い出を語る寿一。

写真を見て「お母さんは?」と聞くさくらに「行ってない。入院してたんじゃないかなぁ。この翌年、死んだんです」と寿一は言います。

「これ、寿限無さん?」と写真を見て聞くさくらに“何故か寿限無も来た。今、考えると親父が連れて来たかったのかも”と寿一は答えました。

「兄弟ですもんね」と言うさくらに「すっごい楽しそうでしょ?」と笑う寿一。

「でも、全然覚えてない。バリバリ反抗期だし、多分、楽しくなかったんだろうけど、25年間、ずっとこの写真しか見てなかったから、俺の中ではこの写真が観山家のピーク」と言う寿一に末広は“だったら行くべきだと思う。リスクはあるから連れて行って後悔するかもしれないが、連れて行かないで後悔するケースも同じ位ある”と言います。

寿一も“後悔するなら思い出が残った方が得”と言い、末広は「行って後悔させない為にトラベルヘルパーがいるんです」と手帳を取り出しました。

よっ、末広さん、商売上手!

寿一の声:末広さんは全面的にサポートしてくれることになった。肝心の当事者は、それどころじゃなかった。

観山家の稽古場。

寿三郎が大州に「大州、どんなことがあろうとな。舞台に穴を空けるなど能役者にとって有るまじき行為だぞ」と言うと、大州は「あ~あ、だったら破門で」と言います。

傍らに控えていた舞が「大州!」と諫めますが、大州は「俺には俺でやりたい事あるし」と言いました。

傍らに控えていたO.S.Dが大州の横まで進み出て“オンライン・ダンス・コンテストで優勝した”と言います。

「彼女、出来たのに、デートする時間もねぇし」と言う大州に「そんなに嫌ならやめれば」と舞が言い、「マジで?」と身を乗り出す大州。

「その代わり、大学行け!公務員になれ!うちらの老後を保障しろ!墓場まで連れてけ!」と言う舞に「ふざけんなよ!俺には俺の人生があんだよ!」と立ち上がる大州に、舞は「親の介護もあんたの人生なんだよ!」と言うと大州は「意味分かんねぇよ」と出ていきます。

O. S.Dが大州の後を追い、玄関で大州に声を掛け“フワちゃんは言い過ぎた、ごめん”と言って、画像検索したおじさんの写真を見せました。

「親父さぁ、なんであんな奴と結婚したんだよ?」と聞く大州にO.S.Dは“なんだったっけなぁ”と言い、大州が「人間国宝かなんだか知らねぇけど、俺からしてみたら老害だよ。老害と鬼婆の館だよ、こんな家」と言うと、O.S.Dは「そう言うなって。俺と母さんが結婚しなかったら、お前、生まれてなかったんだぜ。下ネタ?下ネタじゃねぇか」とおどけるO.S.D。

大州は「親父さぁ、たまにまともなこと言うよね」と言い“いつ、いつ、いつ言った?”と聞くO.S.Dに「自覚ないならいいけど」と言います。

「浮いてるよな、俺、この家で」という大州にO.S.Dは“心配するな。俺の方が浮いてるから”と言い、大州は「そこは自覚あったんだ」と言いました。

極端な両親を持つ大州くんも大変そうです。

 

ハワイの家族旅行と兄弟げんか

夜の観山家の茶の間。

舞が踊介に“「親の介護も人生」とまるで父親の介護で自分たちの人生、今一つみたいな事を言ってしまった”と言っています。

踊介は“実際、介護も人生”と言い、舞はハワイでの家族写真を見て、踊介に「覚えてる?」と聞き、“全然”と答える踊介。

観山家の脱衣所。

寿一が寿三郎の頭にタオルを巻いています。

寿三郎が“寿一の母親もハワイに行った”“体調崩して、ほとんどホテルで休んでいたが”と言いました。

「母さんが映ってないのは、母さんが撮ったから」と言い、最終日に調子が良くなった寿一の母を皆で連れ出しだが、やつれている自分は映るのは嫌だと言ったと語る寿三郎。

寿一は何かを思い出したかの様に茶の間に戻り、舞と踊介の前で家族写真を手に取り、「だから俺たち、こんなに笑ってたんだ」と言います。

「なんだよ?」と聞く踊介に「これ、撮ったの、母さん。母さん、一緒に行ったんだよ、ハワイ」と言う寿一に同時に「うん」と頷く舞と踊介。

舞は「思い出補正」だと言い、寿三郎が“母さんを置いていく訳がない”と言い、何処かへ向かいました。

寿一は写真を見ながら「超えられるかな、この写真。ハードルたけぇなぁ」と呟き、踊介が“旅行は無理だ”と言い、理由“金がない”“体調も心配”あと・・・と2階を指さします。

寿一は舞と踊介の前に「まず金」と“家族旅行貯金”の通帳を出しました。

舞が通帳の中身を見て「どうしたの、このお金?!」と聞くと寿一は「本気出した」と答え、“舞たちも2,3日温泉でゆっくり出来る位は出せるだろう?”と言います。

そこへ寿三郎が戻ってきて、踊介が「そもそも父さんは行きたいのか?」と聞くと、寿三郎は「スパリゾートハワイアンズだったら、行ってもいいよ」と言いました。

「後は寿限無か」と寿一は“稽古は近所から苦情が来るほどの勢いでやり、後は部屋に籠りっきり”の寿限無の部屋を見上げます。

寿限無の部屋。

大音響のデスメタルが響く中、テレビゲームをしている寿限無。

デスメタルにテレビゲームって中二病ですか?

寿一が襖を叩き、“話があるからデスメタルを止めてくれ”と言うとデスメタルが止まりました。

寿一が襖を開け、「デスメタル止めてくれてありがとう」と言います。

無反応でゲームを続ける寿限無に寿一は「家族旅行、計画してるんだ。親父にとっては最後の旅行になるかもしれない」と言い、寿限無はゲームのコントローラーを置き、「俺は家族じゃないからな。留守番だろ?」と言いました。

「寿限無」と言う寿一に「ずっとそうだよ。あんたらが鰻重食う時、俺は鰻丼。あんたらがBlu-ray観るとき、俺はDVD。それが芸養子。この家での俺のスタンス」

「違う!お前も家族の一員なんだよ。卑屈になんな」「卑屈は俺のキャラだよ!今更、変えられるかよ。あんたが出てって25年、ずっと卑屈で」「あんたとか言うなよ・・・」

「あんたらが長袖着るとき、俺は半袖・・・」と言う寿限無に掴みかかる寿一。

寿限無の首根っこを掴んで、何処かへ連れていく寿一の背中に騒ぎを聞きつけて出てきたさくらが「待って、世阿弥さん!」と叫びました。

さんたまプロレスのリング。

「ガタガタいってんじゃねぇぞ!」と言いながら、寿限無の首根っこを掴んで連れてくる寿一。

「どうした?」と聞く堀(三宅弘城)に“ちょっとリング借りますよ”と言い、寿一は寿限無を挑発します。

「まずいよ、寿、相手、素人だろ?」と言う堀に「ただの兄弟げんかですから」と言う寿一。

寿限無は「兄弟じゃねぇよ!」と言って“俺は手を出さないから好きに殴れ”と言う寿一を殴ります。

初めて人を殴った痛みを感じている寿限無に寿一は“後でもっと痛くなるぞ”と言い、更に寿限無を挑発している時に、“世阿弥さん”と言うさくらの声を思い出し、モロに寿限無の顔面パンチを食らいました。

思い出すタイミングが独特です、寿一さん。

寿一の声:誰かに“世阿弥さん”って呼ばれた気が・・・。

追いかけてきたさくらが「世阿弥さん!」と言い、思わず「さくら!」と答える寿一。

寿一の声:思わず呼び捨てにしてしまった。え?・・・いつから?

さくらが「世阿弥さん、後ろ!」と言い、寿限無が後ろから寿一に技をかけます。

寿一の声:何故だ、何故、俺を“世阿弥”と呼ぶ?

プリティ原(井之脇海)がさくらに近付き「あの~、ここ、一応関係者以外は・・・」と言うとさくらはプリティに寿一を指し「あの人、スーパー世阿弥マシーンですよね?」と聞きました。

驚いて否定するプリティと堀。

リング上では寿限無が寿一を締め上げ、“気が済んだだろう”と止めに入った堀を投げ捨て、「こんなんで気が済むかよ。ずっと待ってたんだぞ、寿一ちゃん!長女は親バカのステージママ。次男は致命的にセンスがない。・・・だけど、俺は血縁じゃないから俺じゃダメだってずっとずっと思ってて。俺でも良かったんじゃねぇかよ。早く言えよ!くそじじい!!」と泣きながら寿一を叩きます。

やっと自分の想いを吐き出せた様です、寿限無さん。

長州が“誰か止めろよ”と言い、皆が寿限無を寿一から離し、取り押さえました。

「あんたが家出しなければ、俺は養子になってないし、違う生き方だってあったんだよ!」と寿限無は暴れ、「決めた!俺が継ぐ!28世、・・・俺がなる。寿一ちゃん、親父の跡継ぎたいんなら、プロレスじゃなくて能で俺に勝ってみろよ!」と言って寿限無は帰ります。

寿一は皆に礼と詫びを言い、寿一を見つめるさくらを見ると、さくらは“どうしてやり返さなかったのか?”と聞きました。

「スーパー世阿弥マシーンだから?」と聞くさくらに寿一は「だったら、どうなんですか?違うけど」と言うと、さくらは「好き」と言い、去り際にもう一度「好き」と言って走り去ります。

可愛い~、さくらちゃん♪・・・でも、えっ?好き?

寿一の声:(足のつま先を上げ)え?どういう意味?(つま先を下ろし)待て待て待て待て!なんだ、今の“好き”は?どういう好き?世阿弥マシーンが好き?それとも俺のことが好き?(能の動きをしながら)そもそもいつ、なんでバレた?(色々思い返しながら、プロレス技をしつつ)あの時か、それともあの・・・いや、あの時は意識がなかった。だとしたら・・・我ながら隙だらけだなぁ。

 

さくらの恋心

観山家の茶の間。

思考が続いている寿一の前でさくらが話し掛けています。

寿一の声:遅かれ早かれ・・・

「聞いてました?7人乗りでいいですよね?」とさくらが聞き、「はい?」と言う寿一。

末広が車椅子用のバンの説明をしていました。

部屋は内風呂で良いとか、食事の糖質が多いとかいう話にうんざりした寿三郎は「つまんない」と席を外してしまいます。

寿一が寿三郎を追い掛け、「あんたが行きたいって言うから」と言うと寿三郎は“エンディングノートには書いたが、一度も行きたいとは言っていない。書いたけど線で消した”と言いました。

“寿一が人の気持ちも考えず、勝手に盛り上がっている”と言う寿三郎に“なんで消したのか?”と聞く寿一。

“皆と同じものを食べられないし、大きな風呂にも入れないし、皆が病人扱いして楽しめない”と言う寿三郎に寿一は「分かったよ!病人扱いしねぇよ!飯も風呂も何もかも全部、親父の好きにさせてやるよ。楽しめ!だから、めんどくせぇこと言うなよ」と言います。

寿三郎さんの気持ちも分かります。

ユカ(平岩紙)のマンション。

スパリゾートハワイアンズのパンフレットを見て、はしゃぐ秀生(羽村仁成)。

寿一は部屋のベビーベッドを見つめ、ユカは“秀生の時には友達にあげたので、買い直した”と言いました。

「ああ、ごめん。手ぶらで。次、お祝い持ってくるよ」と言う寿一にユカは「ねぇ、どうすることにした、親権?」と小声で聞きます。

「ああ・・・やっぱり俺が持っとこうかなって」と寿一が言い、「そうか、そやね」と言うユカに「もちろん、本人次第だけど、秀生が能を続けるんだったら」と言いました。

秀生の能を“大したもんだった”と褒めるユカに、寿一は“あの親父がべた褒めする位に筋がいいから、本格的に能役者を目指すなら、観山家で”と言う寿一。

「その方がええって、うちも思っとったんやけど、ハヤカワくんが能で火、点いたみたいやの。再婚相手の連れ子も自分の子も分け隔てなく、叱ったり可愛がったりする父親。っていう設定がエモい、言うとったわ」と言うユカ。

“エモいかどうかで決めること?”と聞く寿一の前に突如、ハヤカワが現れ、「だって、血の繋がった子だけ育てるって、なんか、エゴイストみたいじゃないですか?」と言い、寿一はユカに「居たの?!」と聞き、「すみません」とユカの隣に座るハヤカワと入れ替わりに「居ないとはいってないか。お邪魔してます」と寿一は席を立ちます。

なんだか好きになれません、ハヤカワさん。

“どちらも親権を主張した場合は?”と聞く寿一に“また調停からやり直し”と言い、「知ってる弁護士とかおる?」と聞きました。

踊介の弁護士事務所。

「おって良かったね、知ってる弁護士」と寿一に言う踊介。

“親権者変更調停”安くしておくが、日本の場合、9割が母親が親権者だと踊介は言います。

“父親は不利だが、自分も出来る限りのことはする”と踊介は寿一に資料を見せ、“どんどん旅行なんか行ってる場合じゃなくなってるけど大丈夫か?”と聞きました。

寿一は「絶対、行くよ!」と言い、踊介は“兄貴には前振りしておくけど”と言い、“この旅行で正式にさくらに告白する”と言います。

寿一は「好き」と言ったさくらを思い返しました。

「よし!兄貴には言ったし、あとは父さんにどう伝えるか・・・」と言う踊介を寿一は「待て待て」と制し、頭の中にさくらの「好き」が渦巻く状態で、告白を思い留まらせようとしますが、あえなく失敗します。

踊介さん、既に頭の中がお花畑ですから・・・。

観山家。

夕飯の買い物をして寿一が帰宅すると、さくらが旅のしおりを作り、舞が“さくらさん、絵の才能、ありまくり~”と喜んでいました。

帰宅しようとしたさくらが、野菜を袋から出している寿一に近付き「この間の件ですけど、返事は直ぐじゃなくてもいいですから」と恥ずかしそうに告げ、帰っていきます。

さくらちゃん、ガチなやつだったんですね~。

寿一の声:返事が必要なやつだったのか~!

そんな寿一に舞が「大丈夫?顔が妖(あやかし)みたいだよ」と声を掛けました。

寿一の声:妖(あやかし)とは、苦しんで死んだものを演じる時につける能面のこと。

妖(あやかし)の面を見て「こんな顔してたのか」と呟く寿一。

観山家の稽古場。

寿一が居住まいを正し、謡の稽古をしようとしています。

謡いだしますが、顔が妖みたいになる寿一。頭を振って立ち上がり、

寿一の声:気持ちを鎮めろ、寿一。そして考えろ。返事をするということは、世阿弥マシーンの正体は俺だと認めることになる。(さくらの「好き」が蘇り)駄目だ。彼女の「好き」に応えるわけにはいかない。全国のプロレスファンと全日本能楽協会を裏切ることになる。

だが・・・。(嬉しそうに告白する相手が“さくらに決まってんじゃん”と言う踊介を思い返し)さくらに決まっていたとは・・・。

一旦、整理しましょう。踊介はさくらが好き、親父もさくらが好き

♪さくらは、俺が好き。俺はプロレスが好き♪と謡う寿一。

寿一の声:いかん、いかん!いか~ん!心の声を朗々と謡いあげてしまった。あ~、もうなんかめんどくさい。旅行とか行きたくないんですけど。

寿一は稽古場で大の字に横になり、起き上がり、

寿一の声:もし俺と世阿弥マシーンが同一人物じゃないと思い込ませることが出来たら、さくらの「好き」は消滅してしまう。いや、背に腹は代えられない。でも・・・どうやって?

そこへ上半身裸のO.S.Dが“先にお風呂いただきました”と現れ、寿一はO.S.Dに歩み寄り、胸を隠したタオルを撥ね退けました。

街路。

買い物をした寿一とさくらが歩いています。

不自然にキョロキョロする寿一。

スマホを確認し、青信号を渡ろうとするさくらを遮り、通りがかったタクシーを指差し、「あ~!あれ、もしかして、もしかして・・・」と寿一が言い、タクシーには世阿弥マシーンらしき人物が乗っていて「ぜあ!」と言って走り去りました。

「やっぱりそうだ。世阿弥~!」と手を振る寿一の後ろで、「長田さん(O.S.D)、
何やっってんだろう?」と呟くさくら。

やっぱり無理でしたね、寿一さん。

 

家族旅行がピンチ!?

観山家。

買い物から台所へ帰宅するさくらと寿一。

舞と踊介の前で寿三郎が医師に“血圧も高い”と指摘されています。

「無理だって、旅行」と舞が言い、医師が“糖尿の数値が芳しくない”と言いました。

“糖尿が悪化すると認知症が進む”と医師に言われ、寿三郎は“疲れた。寝る”と寝室に入ります。

“深刻に受け止めずに、一進一退なので”と言う医師の言葉に舞は「今回は諦めよう」と言いますが、寿一は「いや、行きます」と言いました。

“主治医の先生が無理と言っている”と言う末広に“行かないで後悔するより、行って後悔するのが観山家だ”と寿一は言い、医師に“どの位、数値が下がればいいのか?男手が必要ならレスラーの後輩をいくらでも連れてくる”と食い下がります。

“どうしてそんなに旅行にこだわるのか?”と聞く医師に寿一は家族写真を見せ「笑いたいから。こんな風に」と言いました。

“親父が笑っている写真はこれしかないから、今、親父が亡くなったら、これが遺影になる”“お袋が最期に撮った写真だからそれでも良いが、でもこれが一番の思い出って寂しくないか?この写真超えたくねぇか?”と寿一は言います。

「25年ぶりにさ。同じ面子で、こんな風に笑えるか確かめたくねぇか?認知症とか、相続とか、隠し子とかさ、色々あった俺たちが色々踏まえて笑えるか。確かめたくねぇか?・・・だから、お願いしますよ、先生。なんなら日帰りでアロハ着て写真撮るだけでもいいから。行かせてください」と頭を下げる寿一。

医師は「血圧130以下。体重85キロ以下。空腹時の血糖値140以下。これクリアしたら目瞑りましょう」と言いました。

「よっしゃあ~!やった~!」と世阿弥マシーンのポーズを決め、さくらと目が合い、慌てて誤魔化す寿一。

寿一さんの想い、医師に届いた様です。

川沿いの遊歩道。

寿三郎がシルバーカーを押して、さくらと歩いています。

観山家の稽古場。

子供用プールやおもちゃを並べて、末広を寿三郎に見立てて、寿三郎を岩風呂に入れるイメージトレーニングをする寿一と踊介。

大州が“何してるの?”と声を掛け、末広がやり方が悪いと寿一と踊介を叱咤します。

大州にも手助けを頼む寿一。

観山家の食卓。

サラダのみを食べる寿三郎の前で遠慮なく食べるO.S.Dに文句を言う寿三郎。

ある意味、O.S.Dの空気の読まなさは才能かも?!

川沿いの遊歩道。

体つきもほっそりして、軽快にシルバーカーを押して歩く寿三郎。

観山家の稽古場。

寿三郎に見立てた末広を寿一と踊介が支えながら、プールに入れた瞬間、末広が足を滑らせ転倒しそうになります。

そこへ現れて寿限無が末広の背中を支えました。

「寿限無」と言う寿一に「違うよ。末広さん、怪我させちゃまずいだろ」と言い残して去る寿限無。

「ありがとう」と小さく寿一は言います。

川沿いの遊歩道。

さくらを置いて、どんどん先へ進む寿三郎。

足取りもしっかりしていて、外国人カップルを追い越しました。

観山家の茶の間。

医師が血液検査の結果を寿一たちに渡し、血糖値は140。

医師が血圧を測ると血圧は127。

体重を測ると体重も85キロでした。

一同は大喜びし、医師も旅行を許可します。

色々な面で良かったです。

寿三郎の会いたい人

観山家。

寿三郎の寝室。

荷物の準備をし、嬉しそうに旅行のしおりを見ているさくら。

脱衣所。

「さくらちゃん行くんだったら、俺、行かないぞ」と寿三郎が言い、“どういうことだよ?”と聞く寿一に、寿三郎は“体調も万全だし、家族だけで行ったらいいんじゃないか”と言います。

本人が行く気で準備をしていると言う寿一に“だったら皆で行けばいい。俺は留守番してる”と言いながら、寿三郎は脱衣所を出ていきました。

寿三郎の寝室。

「どうしたの?」と寿三郎と寿一を迎えるさくら。

“なんか、さくらさんについてきて欲しくないって言い始めて・・・。理由を聞いたけど歯切れが悪い”と寿一が言い、さくらは寿三郎と目線を合わせて「そうなの?」と聞きます。

「会いたい人がいるんだよ」と会いたい女性・マユミがいることを打ち明け、マユミに出会ったのは母さんが死んだ後だと言う寿三郎。

寿一が家出をして荒んだ生活を送っていた時に、福島の会津能楽堂の薪能の前の晩に寿三郎が急性アルコール中毒で運ばれた病院の看護師がマユミだと寿三郎は話します。

『新作能 白衣之天女』

寿三郎は“命を救ってくれたお礼”にマユミを舞台に招待して、食事に誘って、結婚を申し込んだと言いました。

舞台の日ではないと説明し、寿三郎は“何もかも捨てて、ただのじじいとして生きてみたかった”と言います。

「それで、マユミさんはなんて?」と聞くさくらに「謹んで、お受けしますと言ってくれました」と寿三郎は答え、

“ところが人生とは皮肉なもので、プロポーズした直後に人間国宝に任命され、マユミを遠ざけてしまった”と語る寿三郎。

“これが最期の逢瀬になると思うので、ちゃんと会って、ちゃんと謝りたい”と寿三郎は言い、「なんだ。そういうことなら早く言ってくれたら良いのに」とさくらが言い、“この際だからいうけどさ”と寿三郎に言う寿一を「寿一さん!」と制するさくら。

寿一の声:さくらさんは婚約者の振りを貫いてくれた。

「そうだよね。私がいたんじゃ元カノに会いづらいよね。ごめんね。気付いてあげられなくて。バカみたい、旅のしおりなんか作って。・・・わかったよ。私、行かない。だから、じゅじゅ、いっぱい楽しんできてね!」と言うさくらに寿三郎は「ごめんね。さくらちゃん」と言うのでした。

出発当日。

観山家の前。

車椅子用のバンが停まり、寿三郎と旅支度をした大州と秀生が出てきて、秀生は「大州の隣に座っていい?」と浮かれています。

大州くん、行くことになったんですね。

家の中では寿一がさくらに今月分の金を支払い、さくらが小分けにした薬を舞に渡しました。

踊介は“さくらがいないんじゃ行く意味がない”とダダをこね、寿一は階下から寿限無に“行くのか行かないのかだけども返事をしろ」と言いますが、ふと前を見ると旅支度をした寿限無が立っていて「何処乗ればいいの?」と尋ねてきます。

寿一は「俺の隣だよ」と言い、しぶしぶ来た踊介も乗せて、寿一の運転でバンは出発しました。

見送るさくらとO.S.Dと末広。

末広が“何かあったら連絡を・・・”と言った時、さくらが「あっ、私、今日、誕生日だった。行きたかったなぁ~」と言いながら、家に戻ります。

さくらちゃんの本音、可愛いですね♪

車中。

高速で「寄りたいところがあるから、柏で降りてくれ」と言う寿三郎。

“親父の好きにさせてやるんだから今回は”と柏で降りる寿一。

柏の郊外の牧場に来た寿三郎は寿一に付いてきてくれと言います。

ほかの皆には車の中で待っているように言い、寿一に「付いてこい」と寿三郎は山道を登りました。

上まで辿り着いた寿三郎は、もう一人会いたい人がいると寿一に“ちはる”という女性か
らの年賀状を渡します。

とんだエロじじいです、寿三郎さん(笑)。

10年前のイタリア公演の通訳だったという“ちはる”にイタリア語で呼び掛ける寿三郎。

作業着姿の女性が振り向き、「ジュリ!」と駆け寄り、寿三郎を抱きしめました。

寿一のいっちだんk声:観山家の25年ぶり、二度目の家族旅行が始まった。

まさしく一致団結して実現させた家族旅行。

色々と不安要素は抱えていますが、果たして、ハワイを超える笑顔は撮影出来るのでしょうか?

さくらちゃんの恋心はどうなるのでしょうか?

毎回、予想外の展開で楽しませてくれる「俺の家の話」。

俺の家の話6話ネタバレあらすじ!感動の家族旅行

イタリアのちはる

柏郊外の農道。

車椅子用のバンの中で舞(江口のり子)が“何、この不毛な時間!”と文句を言い、踊介(永山絢斗)が「今回は父さんの“好き”にさせてやるんだって」と言います。

農道の先の農場。

10年前のイタリア公演の通訳だったという“ちはる”にイタリア語で呼び掛ける寿三郎。

作業着姿の女性が振り向き、「ジュリ!」と駆け寄り、寿三郎を抱きしめました。

ちはる(田中みな実)は“ちはるのオーガニック・ファーム”でたんぽぽコーヒーを寿三郎と寿一に振舞います。

お互いに自己紹介を終え、ちはるは今は“能”じゃないて“農業”にハマっていると話しました。

ちはるはオーガニック野菜の通販サイトを夫と運営していると言ったのを寿一が捉え、「夫?」と引っ掛かっていると、ちはるがブログの更新の時間なので、寿三郎と写真を撮ってアップしたいと言います。

寿一が二人の2ショットを撮影し、「良く撮れてる」と喜ぶちはるに寿三郎が

「ちはるちゃん、私はもう見ての通り、老いました。ちはるちゃんの事は、私としては心に引っ掛かっててね。まあ、その、お詫びという訳でもないんだけど、あなたにね、これをね、これを・・・」

と寿三郎は紫の風呂敷を開き、木箱を開けて、中にあった面を渡し、

「イタリア公演で私が“大江山”を舞った時の面だ。これを持ってて貰いたいと思ってさ」言い、寿一が「嘘だろう・・・」と言いました。

その時、「ただいま~!」という男性と子供たちの声がして、ちはるが立ち上がり、「ダーリン、おかえり~!」と男性に駆け寄ります。

寿三郎が寿一に「ダーリンって言った?」と聞き、寿一が「言った言った」と言い、寿三郎は何度も「ダーリン・・・」と繰り返しました。

その前に“夫”って言ってましたよね~。

車椅子用バンの中。

寿三郎が“たんぽぽコーヒー”の悪口を言っています。

寿一の声:彼女は何も悪くない。一時期、能にハマってて、今は農業にハマってる。それだけ。

「インスタント・オーガニック・百姓が!」と悪態をつく寿三郎に“たくさん野菜頂いて良かったじゃん”と言う舞。

寿三郎が舞に「お前、お父さんはあの子に“大江山”の面をくれてやってんだよ」と言い、それを聞いた寿限無(桐谷健太)が「はぁ?!」と言い、寿一が「ごめん。俺がついてながら」と謝りました。

寿一が「え?あれっていくらすんの?」と聞くと寿限無は“オークションに出したら100万つく”と言います。

舞も「はぁっ?!」と言い、寿一が寿三郎を振り向いて「返してもらおう」と言いますが、寿三郎は“一度はあげたものを返せなんて野暮なことが言えるか!浮名を流した男の最後の謝罪行脚の旅なんだよ!カッコつけさせてくれよ!」と言いました。

観山家の家計は火の車ですよ、寿三郎さん。

舞が「カッコつけるのに100万使う?!」と言い、踊介が「行脚?っていうことは他にもいるのか?」と聞きます。

寿三郎は踊介を無視して“トイレに行きたい”と言い続けました。

寿一の声:これが「俺の家の話」、旅情編だ。

さくらの苦悩

観山家。

稽古場。

真ん中に一人、大の字に寝そべるさくら(戸田恵梨香)。

「はぁ~、つまんないな」とさくらが言った時、さくらのスマホにラインが届きます。

じゅじゅから「げんき?」、ようすけさんから「今、茨城入った」、じゅじゅから「これからお昼だよ♡」、、ようすけさんから「さくらも来ればよかったのに♡」。

メッセージを見てさくらが溜息をついているとO.S.D(秋山竜次)が“先に帰りますね”と言いに来ました。

「帰っちゃうんですか?」「ええ」「あっ、私も帰ればいいのか」とさくらは起き上がり、O.S.Dは“お疲れっす”と帰ろうとします。

「お金持ちとした付き合ったこと無かったのに、力持ちを好きになってしまうなんて」「独り言ですか?」「嫌いなんです。筋肉バカ。ううん、筋肉バカが好きなバカ女?ううん、筋肉バカな好きなバカ女狙いでジムに通って身体鍛える筋肉バカ?」「独り言だな。うん、お疲れです」

「安定した収入と貯蓄と不動産、それだけ。結婚相手に逞しさなんか求め・・・ねぇ!聞いてる?!」「はい~。なに?独り言じゃなかったの?」「力しかないの、彼。力と不動産。それなのに・・・」と届いたラインをみて「いや~~っ!!」と叫ぶさくら。

驚いたO.S.Dも叫び、「彼からメール来た!」と叫ぶさくらに「怖い!」と言うO.S.D。

確かに怖かったです(笑)。

寿一さんから届いたのは、蕎麦の写真。

なんとも言えない表情のさくらをなんとも言えない表情で見つめるO.S.D。

本当になんとも言えない感じです・・・。

パーキングエリア。

食事をとる寿一たち一行。寿限無だけ違うテーブルで食事をしています。

寿一が秀生(羽村仁成)に「ラーメンセット旨いか?」と聞き、「うん」と言う秀生に「よし」と言いました。

寿一が「親父、カツカレー旨いか?」と聞き、「旨いわ」と答える寿三郎に「なんでカツカレー食ってんの?山菜そばは?」と聞くと、大州(道枝駿佑)が「交換した」と言います。

「すげぇな。親父、すごいね」と感心する寿一。

観山家。

稽古場。

世阿弥マシーンの扮装をしたO.S.Dが「もう一回確認しますが、いいんですよね?」と聞き、さくらが「お願いいたします」と正座でお辞儀をしました。

O. S.Dは「じゃ、遠慮なく」と「ぜあ!」とさくらを山賊抱っこしようとますが、少し身体が持ち上がったところでさくらが「あ、いや、もういいです。下してください、下して、下して!」と言い、戸惑いながらさくらを下したO.S.Dに「やっぱ違うから」と言います。

パーキングエリア。

一人、皆から離れて紙切れを見ている寿一に踊介が声を掛け“さくらに何回もライン送ってんだけど、既読にならなくてさ。さっき、やっと返事返ってきたんだけど・・・”と踊介が寿一にラインの画面を見せると「既読」と一言、書かれていました。

このさくらさんの返信。めちゃめちゃ斬新ですよね!流行りそう~。

「既読って送ってくるってことは・・・」と言う踊介の背後から舞が「うるせぇってことだよ」と言い、寿一も「だって」と言って、皆の元に戻ります。

 

元芸者・豆千代

高速。

踊介が運転席で、寿一が助手席。

寿一が秀生を振り返り“トイレ、大丈夫か?”と聞き、寿三郎が「水戸で降りて」と言いました。

「聞こえなかった?水戸で降りてください!トイレ休憩したいです!」と寿三郎が言い、踊介が寿一に「どうすんの?」と聞き、「降りないと、漏らしちゃうぞ!」と叫ぶ寿三郎に「分かったよ!降りるよ!」と言います。

カラオケ喫茶「豆千代」近くの駐車場。

停まっている寿一たちの車椅子用バンの中で、

寿三郎が「お父さんがね、昔ね、ある政治家の座敷に呼ばれたんですけど、その時についてくれたのが、新橋の芸者さんで豆千代さんていう人でね。私が30になっても、まだ一人でいたら、良かったら結婚してくれますか?って言ってくれたんで」と言い、

葉書を見ながら“水戸にお店を出したので良かったら遊びに来てくれ、とあるので”と秀生に寿一に葉書を渡してくれと言いました。

寿一は秀生から葉書を受け取り「秀生、楽しいか?」と聞き、秀生は「うん」と言います。

“豆千代は寿三郎がカラオケでマイウェイを歌ったらボロボロ泣き出した”と言う寿三郎。

カラオケ喫茶「豆千代」の店内。

カウンターに座る寿三郎と寿一。

寿三郎がマイウェイを入れ、豆千代がマイクを持ってきて「ジュネ」と固まりました。

寿三郎が再会を懐かしむと、豆千代は「歌うときはマスクしてくださいね」と言いながら、寿三郎にマイクを渡します。

駐車場の車椅子用バン。

車外に出て車に凭れる踊介。

車の中で眠る寿限無、秀生、大州。

カラオケ喫茶「豆千代」の店内。

豆千代が“姐さん連中に虐められて芸者は5年で辞めた”と言い、「結婚は?」と聞く寿三郎に“内縁の夫が栃木刑務所に服役中です”と豆千代は答えました。

“一度目は執行猶予だったが、今は3人の子供と認知症の母の介護で”と言う豆千代。

かなり厳しい日常が窺えます、豆千代さん。

豆千代が寿三郎を紹介しようと母親を呼ぶと「ごめん、千代ちゃん、すまなかった」と寿三郎が詫びます。

「なんで謝るの?」と聞く豆千代に「このジュネはね、あなたを幸せにすることが出来ませんでした。申し訳ない」と言う寿三郎に「幸せじゃねぇなんて一言も言ってねぇじゃねぇか、なんで決めつけんだよ」と言う寿一に豆千代が「幸せに見えます?」と聞きました。

「はい。・・・いや、はい」と言う寿一。

“お詫びの気持ち”と面の箱を取り出す寿三郎を遮り、寿一は名前入りの扇を豆千代に渡し、面を回収します。

“こんな私のことを覚えていてくれて、気にかけて下さって、ありがとう”と豆千代は言いますが、カラオケの曲が入ると、スイッチが入ったかの様に扇を振り回して、歌い踊り始めました。

「帰りたい」と寿三郎が呟き、寿一も「だろ?もう帰ろう」と寿三郎を連れ出します。

「生きる」ということは大変なことなのです、寿三郎さん。

寿一の声:彼女も何も悪くない。

車椅子用のバン。

車椅子用のエレベーターが動かなくなり、寿三郎が「早くしてくれよ、みっともないよ」と急かし、豆千代も心配して出てきて、「手伝います?」と言いました。

その時、踊介のスマホに末広(荒川良々)から「車椅子をしっかり固定しないと、リフトは作動しません」とメッセージが届きます。

めちゃめちゃ良いタイミングです、末広さん。

“どういうことだ?どういうこと?”と寿一たちが揉めている間に、秀生が車から逃げ出し、大州が跡を追いました。

舞と寿一も跡を追い、秀生は道の真ん中に座り込みます。

「どうした、秀生?どっか具合悪いのか?・・・さっきまで楽しいって言ってたじゃないか?楽しくないのか?」と聞く寿一に、大州が「それだよ。おじさん、確認多すぎ」と言い、舞も「それ、私も思ってた」と鶴公を引き合いにだして大州に同調しました。

「楽しんでるよ、秀生は。心配しなくても。なぁ」と大州が言うと、秀生は頷き「ごめんな。もう言わないよ、父ちゃん。だから秀生も楽しい時は楽しいって言って・・・」と寿一が言い掛けると大州と舞が同時に「だから~」と言い、「だって、言わなきゃ分かんないもん」と言う寿一。

どうしても言って欲しい、寿一さん(笑)。

 

旅館の女将まゆみとたかっし

スパリゾートハワイアンズ。

ようやく到着する寿一一行。

観山家。

寿一の部屋。

畳にうつ伏せになっているさくらのスマホにラインの着信があります。

寿一から次々に写真が送られてきました。

「ご飯と家族ばっかり」と言ってスマホを伏せ、「あぁ~、でも、もう、世阿弥さんの部屋で何してるんだ私ったら、もう」と言うさくら。

さくらちゃん、“好き”が溢れてます。

旅館の女将まゆみ

スパリゾートハワイアンズ。

エレベーターホール。

「食いすぎたな~」と言う寿一に「だから、お昼軽めにしときなって言ったのに。勿体ない!」と言う舞。

エレベーター前に集まる寿一たちとは反対方向に車椅子で進んでいく寿三郎に大州が「おじいちゃん、どこ行くの?」と聞き、秀生が「おじいちゃん、そっちじゃないよ」と言い、寿一が皆に先に上がるように言って、寿三郎を追いかけます。

「どこ行くんだよ?」と聞く寿一に「決まってんだろ?夜這いだよ」と葉書を渡す寿三郎。

葉書の差出人はこの近くで旅館の女将をしているまゆみちゃんでした。

“母さんが死んだ後、本気で再婚を考えた人”だと寿三郎は言います。

“だったら、会わない方がいいんじゃないか?会わなければがっかりすることもないし、思い出も良いまま記憶出来る”“世阿弥も秘すれば花と言っている”と寿一は言いました。

が、寿三郎は「まゆみちゃんは他の人とは違うの」と言い、“みんな、それぞれ人生を送っている。今さら親父とどうこう・・”と言う寿一に「秘すれば花だよ!」と言う寿三郎。

“何で焦ってんだ?”と聞く寿一に“これが最後なんだら焦る。これから会う人とは二度と会えない”と寿三郎は言い、秀生を連れて出掛け、寿一は溜息をついて後を追います。

秀生くんを連れて行くってどうでしょう?

まゆみの旅館。

大広間で待つ寿三郎、寿一、秀生の前にまゆみ(紫吹淳)が現れます。

「まゆみちゃん、会いたかったよ」と言う寿三郎に「ジュマンジか?」と言うまゆみ。

いや、呼び名のセンス?!

寿一は「なんでもいいよ」と言って、突然の訪問を詫び、自分と秀生を紹介しました。

まゆみは寿三郎の前に手をつき「お引き取りください」と深々と頭を下げます。

“わざわざ東京からまゆみちゃんに会いに来た”と言う寿三郎に“無理だよ、ジュマンジ。選りによって、なんで今日なの?”とまゆみは言い、寿一は「親父、帰ろう」と席を立ちました。

すると、秀生がまゆみの前に走り出て「病気なんです。おじいちゃん、もうすぐ死んじゃうの。だから・・・優しくしてあげて」と言います。

そこへ「ばあーん!!」と言う声とともに障子が開き、潤沢のたかっし(阿部サダヲ
)が登場しました。

「いた~っ!女将、一人にしないでよ~っ!たかっし、寂しい」と言い、「こちらは?」と聞くたかっしに、「あんたは誰ですか?!」と聞く寿三郎。

「あんだ、ちみはってか?そうです、修学旅行生です!」とボケるたかっしに“失礼だからサングラスを取れ”と寿三郎が言い、たかっしはサングラスを外して寿一を見て「あれ?」と言い、寿一もたかっしを見て「あれ?」と言います。

たかっしは「ブリザード寿?」と聞き、寿一は豆千代の店で見た「カラオケのビデオ出てました?」と聞きました。

たかっしは“出てました。売れてない頃で”と答え、「今は売れてるってか、この」と言う寿三郎に「あれ~、ご存じない?」とステージに上がり、「潤沢のリーダー、たかっしです」と自己紹介します。

「純烈のリーダー、たかし?」と聞く寿一に“それ、言っちゃダメなやつ”とたかっしが言い、まゆみが“潤沢はカラオケビデオ出身の4人が魅惑のハーモニーと覚えやすい振り付けで純烈が行っていないスーパー銭湯を選んで回っている、姫たちの女性ホルモンを活性化させるムード歌謡グループ”と説明しました。

“随分と潤沢に詳しいね?”と言う寿三郎にファンだと“たかっし”の名前が描かれたジャンボうちわを取り出すまゆみ。

明日の新曲のキャンペーンの為に、たかっしだけテレビのロケで前乗りしたとのこと。

「秘湯・いわき・美人女将」で検索したここにヨボヨボのじじいが割り込んできたと言うたかっしに「うるせぇ、この土佐周りの三流芸人!」と言う寿三郎。

寿一がたかっしに“5分だけ寿三郎とまゆみを二人っきりにさせてくれないか?”と頼みますが、寿三郎は「もういい!」と帰ります。

たかっしが寿一を「ブリザードさん」と呼び止め、「あんた、引退したよね?なんでだっけ?」と聞き、寿一は「親の介護と家業を継ぐためです」と答え、「なんだっけ?歌舞伎じゃなくて」と聞くたかっしに「能楽師」と言い、寿三郎の方を指し「人間国宝です」と言いました。

たかっしは驚き「良いな~。伝統芸能は。あんな身体んなっても、まだ偉そうにふんぞり返ってられんだから。ただ、その家に生まれたってだけでね。必死ですよ。土佐周りの三流芸人は。あ、明日、観に来てくださいよ。招待します。なんなら、飛び入りします?」と言い、寿一はたかっしを睨みつけます。

喧嘩を売ったのは寿三郎ですが、たかっしの挑発に寿一は答えたのでしょうか?

 

さくらに山賊だっこの誕生日プレゼント!?

スパリゾートハワイアンズ。

ロッカー。

服を脱いだ寿三郎が寿一に“早くしてくれ。風邪ひいちゃうよ”と言っていて、寿一がロッカーに入れる100円玉を出そうと小銭入れを開けて、小銭をばら撒いてしまいました。

寿三郎が「何やってんだよ、ほんとに最悪だな、もう来るんじゃなかったわ」と言い、寿三郎の顔を見た寿一に「早く拾えよ。ぼさっとしてないで!」と怒鳴ります。

寿一は小銭入れを乱暴にロッカーに置き、「あんたに言われたくねぇよ。来るんじゃなかったは、こっちの台詞だよ、くそじじい!ずっと思ってたよ!来るんじゃなかった、来るんじゃなかった。みんな、ずっと我慢して付き合ってきたんだよ、あんたの我儘に!なのに、は?!100円玉がスッと出てこなかったぐらいで“来るんじゃなかった?”。お前が言うか、くそじじい!」とロッカーを蹴る寿一を寿限無が止めますが、寿一は寿限無を振り払い、

「もう嫌!もう無理!あんたが来たいっつうから連れてきてやったんだんじゃねぇかよ」と言う寿一に「来たいなんて一言も言ってねぇや!行ってもいいよ、とは言ったけどな」と言う寿三郎に寿一は

「だったら帰るか?!今すぐ帰るか?!一人で帰れんのか?!そんな身体で帰れんのかよ?!帰れねぇだろうが!だったら、少しは言うこと聞け・・・」と言う寿一を踊介が止めに入り、ロッカーに叩きつけられました。

寿一は「くそっ!」と言いながら、ゴミ箱を蹴とばし、ロッカールームを出ていきます。

ロッカールームを出て「あ~、くそ!もう無理!」と言った寿一の前にさくらが現れました。

「え?なんで?」と聞く寿一に「寿一さん。下は?」と聞くさくら。

寿一の下半身はパンツ一枚です。

その頃、大浴場では大州と踊介が寿三郎を支え、舞が滑り止めのシートを順々に足元に敷き、寿限無が後ろから見守りながら、寿三郎を湯舟へと連れて行っていました。

寿三郎が滑ってよろけ、大州と寿限無が代わり、「いいのかよ。ここ男湯だぞ」と舞に言う大州に「堂々としてれば平気」と言う舞。

確かに誰も気に留めていない様子です。

腰みのを巻き、さくらとテラスで話す寿一。

寿一は“頭では分かっているが、これだけやっているのに「ありがとう」の一言もないのかと期待してしまう”“いつになったらさくらの様に割り切って下の世話が出来るようになるのか”と話します。

さくらは「割り切れないから来たんだけどな」と言い、「後悔してます、家族旅行?」と聞きました。

寿一は「・・・今は、はい。後から振り返ったら、楽しいのかなぁ」と言い、さくらは「割り切っちゃったら親子じゃないですよ」と言います。

真面目な話を寿一の腰みのが邪魔をします(笑)。

大浴場の出口。

寿三郎を風呂に入れてきた踊介が「すっげぇな、兄貴。これ、毎日やってんだもんな、一人で」と言い、「もう一遍入りたいんだけど」と言う寿三郎に全員で「え?!」と言い、舞が「敷いて。お風呂マット、早く敷いて」と言い、再び大浴場に戻りました。

なんだかんだで優しい家族ですね!

テラス。

さくらが“色々な親子を見てきたが、どんなに自分を殺して割り切っても親は親、子は子だ。下の世話したくらいじゃひっくり返らない。だから時々、どうしようもなく悲しくなるのだ”と言います。

「え?じゃ、これ。この気持ち、ずっと続くんですか?」とさくらに聞いた寿一は続けて「いつ来たんですか?」と聞き、さくらは「私?えっと、スーパー常陸」と答えました。

“すみません。踊介に呼ばれたんですよね?あいつ、来る時、ずっとラインやってたから”と言う寿一にさくらは「だから、スマホ、置いてきちゃいました」と言います。

「じゃあ、ちょっと踊介、呼んできます」と行こうとする寿一の腕を掴むさくら。

「誕生日なんです」「誕生日?あ、おめでとうございます」「はい。33歳になります。なりました」「あ~、じゃあ、何か差し上げるものを・・・」「抱っこしてください」「抱っこ?抱っこ?」

「はい、はい、じゃあ」とさくらをお姫様だっこする寿一に、“これじゃなくて”とさくらが言い、寿一は抱き方に悩み、技をかけようとまでしました。

さくらに世阿弥のマスクを見せられ、ようやく、さくらの“山賊抱っこ”を理解した寿一は「抱いて」と言うさくらを担ぎ上げます。

いや、その色っぽい「抱いて」が“山賊抱っこ”とは・・・。

観山家。

ひでおの気持ち

寿一の部屋。

テーブルの上のさくらのスマホに踊介からのラインが届いています。

「今、話せる?」「誕生日だよね?」

スパリゾートハワイアンズの客室。

さくらのラインに「大事な話がある」と送る踊介。

テレビで記録的な大雪による交通の乱れが伝えられていました。

和室部分で正座をしている寿限無にソファーに座った踊介が「そういえば、寿限無。お前さぁ、彼女とかいんの?聞かないよねぇ、ほんと、そういう浮いた話。実はさ、俺、結婚考えてる相手がいるんだよね~。ラインでプロポーズしようと思ってるんだけど、一応、お前の意見も聞いとこうと思ってさ。何しろ、俺とお前は腹違いの・・・」と言うと寿限無が

「だったら、まず“寿限無”って呼ぶな。“寿限無さん”もしくは“兄さん”て呼べ。話はそれからだ」と言います。

「そんな無茶な。お前、あのなぁ」と言う踊介の言葉に飲んでいたビールを乱暴に机に置いた寿限無は「次、お前って言ったらぶっ飛ばすから、いいか?」と言って、踊介に歩み寄りながら「俺の中で観山家の継承順位は、寿一、俺、秀生、大州、長田、お前だから」と言いました。

能をやっていないO.S.Dより下なんですね、踊介さん。

スパリゾートハワイアンズ。

舞と大州の部屋。

布団に入りスマホを見ている大州に“能を辞めるのか、続けるのか?”を聞く舞。

「今じゃなきゃダメ?」と聞く大州に“みんな、モヤモヤしてるから早く結論を出しなさい”と舞は言いつつ“一度辞めて、やりたくなったら戻ってきてもいい”と言います。

「辞めても、俺の居場所あるよね?」と聞く大州に「当たり前でしょ?馬鹿なこと言うんじゃないわよ」と笑顔で答える舞に大州は「寿一おじさんに言われたんだ。能が好きじゃない奴も観山家には貴重だって」と言い、舞は「へぇ、兄貴が」と言いました。

スパリゾートハワイアンズ。

お土産店エリアをさくらを担いだ寿一が歩いています。

スパリゾートハワイアンズ。

寿三郎の部屋。

寿三郎が隣の布団に寝ている秀生のすすり泣く声で目を覚まします。

“どうした?怖い夢見たか?”と声を掛ける寿三郎に秀生は「さっきはごめんなさい。死んじゃうとか言っちゃって」と言い、寿三郎は笑って「まぁ、ちょびっと悲しかったけどな。でも、まぁ、死んじゃうしな」と笑いました。

秀生は「やだ!絶対、やだ!」と起き上がり、「秀生、あれか、おじいちゃん、死んだら嫌か?」と聞く寿三郎に頷く秀生。

寿三郎は「いやぁ、秀生。秀生のその言葉聞けただけでな、じいちゃん、来た甲斐があxった」と言い、秀生は「おじいちゃん!」と寿三郎の布団に潜り込んで、寿三郎に抱きつきます。

「可愛い、可愛い」と寿三郎は秀生を抱きしめました。

スパリゾートハワイアンズ。

花壇の前。

花壇の縁に腰かけた踊介が既読にならないさくらのラインを見て「何やってんだよ、さくら~」と言っています。

エレベーターホールに向かおうと通路に目をやった踊介の目に、何かを担いで歩いてくる寿一が飛び込んできました。

「兄貴?!なんだ、山賊かと思ったよ。え?何?なんか捕まえたの?」と言う踊介に寿一が背を向けた時、さくらが顔を上げ、踊介と目が合います。

「さくらちゃん!え?なんで?わざわざ東京から?」と聞く踊介に寿一の肩から下りたさくらは「はい」と言い、「マジで?俺に会いに?あ、さっきライン送ったとこ、君に」と言う踊介に「あ~、そうなんだぁ」と答えるさくらに「見てないでしょ?」と言う踊介。

寿一がさくらにさくらの荷物を渡し、「そろそろ戻るんで、ごゆっくり」と言うと、さくらは「帰ります!顔見れたんで、満足~。始発で帰りま~す。ゆっくり楽しんでね。じゅじゅに宜しく~!」と去っていきました。

踊介は「ここまで来るなんて・・・そんな・・・惚れてまうやろ!!」叫びます。

どこまで鈍いんでしょう、踊介さん!

 

潤沢の衝撃ライブと感動のマイウエイ

翌朝。

スパリゾートハワイアンズ。

プールで遊ぶ大州と秀生。

プール脇のステージでは、たかっしの歌謡ショーが行われ、寿一、寿限無、舞、踊介が観ていました。

大勢のおばさまファンの息の合った応援で盛り上がるステージ。

「なんじゃこりゃ」と寿限無が言い、「ババアが波打ってる、その波にあいつが乗ってる!」と言う踊介。

「なに、このどうでもよさ。なに、この多幸感」と言う舞と「ここまでサービスされると、おとなしく観てる方が逆に恥ずかしくなるな」と寿一が言います。

「馬鹿になった方が勝ち。馬鹿になりたい!」と舞が言い、ステージではたかっしがメンバーの顔がうっすらとプリントされたフェイスシールドの宣伝をしていました。

「あれ、父さんは?」と寿三郎を目で探す舞。

スパリゾートハワイアンズ。

庭園。

まゆみが寿三郎の車椅子を押して、散策する二人。

“まゆみの方から会いに来てくれるとは思わなかった”と言う寿三郎に“あれが最後になったら、寿三郎が化けて出てくるのではと思った”と言うまゆみ。

「お医者さん、なんて?」と聞くまゆみに寿三郎は「半年か、一年だって言うんだよね・・・」と寿三郎は答えます。

会いに来てくれたんですね、まゆみさん。

スパリゾートハワイアンズ。

ステージを見ている寿一たち。

「なんだろう、この敗北感」と言う寿一に「伝統芸能が大衆芸能と張り合っても」と寿限無が言い、「うちら、伝統に胡坐かいて、芸能の本質を忘れちゃってるかもしんない。あんな風に人を笑顔に出来るってすごいじゃん」と舞が言い、「どうしたの、二人とも。何かあったの?」と聞く踊介。

寿一は「いや、実は・・・買っちゃったんだ」と言い、舞が「私も」とバッグから潤沢グッズを取り出しました。

舞さん、プロマイドとCDとフェイスシールドまで買ってます(笑)。

寿一が「いや、そうじゃなくて。売られた喧嘩?・・・買っちゃったんだよ」と言います。

寿一の回想シーン。

まゆみの旅館の大広間。

たかっしが“土佐周りの三流芸人は必死だ。なんなら、飛び入りします?”と寿一に言い、寿一は「面白い。受けて立ちましょう。観山家28世宗家のこの私が、伝統芸能の真髄をとくと御覧に入れましょう」と言いました。

ステージの客席で寿限無、踊介は「え~っ!」と立ち上がり、舞も同時に「え~っ!」と言います。

寿一は「ごめん、ごめん。いや、ほら、元レスラーの血が騒いじゃって」と言い、ステージにはフラガールが登場しました。

寿限無が「何やるんだよ、この雰囲気で。羽衣?高砂?誰も観ないよ」と言い、寿一は膝を打って立ち上がり、「ここは潔く負けを認めて詫びを入れよう」とたかっしの楽屋に向かいます。

たかっしの楽屋。

寿一たちがたかっしの楽屋に入り、寿一が「昨日は、偉そうなこと言って申し訳ありませんでした」と寿限無と踊介と一緒に頭を下げると、たかっしが「馬鹿か、お前!誰に口きいてんだよ?!」と言い、「あ、ごめん、聞いてなかった」と言います。

寿一が「潤沢さんのステージを拝見させて頂きまして、そりゃもう圧倒されたっていうかなぁ・・・」と言うとたかっしが「当たり前だ、ばぁか!リモートじゃ音がズレるだろうがよぉ!あっきらじゃ話になんない。ひっろしに代われ」と言い、「ごめん、聞いてなかった」と言い、耳に付けている通信機器を示しました。

「3回目ですので、是非、聞いてください」と寿一が言い、「あの、手前どもの様な場違いのものが、飛び入りするっていうのは・・・」と言うのをたかっしが制し、寿一、踊介、寿限無を順番に指さし「いるね。丁度いいのが3人」と言います。

“青森で豪雪でたかっし以外のメンバーが立往生をしていて本番に間に合わない”と寿一たちに潤沢の衣装を渡し、“歌はほとんど自分だし、振りも覚えやすいから大丈夫”と言うたかっし。

戸惑う寿一たちに「プロなんだよね?普段、舞台立ってるんでしょ?何年目?」と聞くたかっしに「大体650年」と答える寿限無に「大先輩じゃん」と土下座をし、“お願いします!もう幕を開けてしまって、次出るときは形だけでも4人でないと”と頼み込みました。

踊介は特に踊りが駄目だと説明する舞に新曲「秘すれば花」を歌うたかっし。

その曲名に運命的なものを感じる寿一たち。

たかっしが振り写しを始めると予想を裏切り、どんどん覚えて楽しそうに踊る踊介。

うん。でも動きは微妙ですよ、踊介さん。

庭園。

山並みを眺めながら“寿三郎を待っていた”と言うまゆみ。

「今度会ったら結婚しようって言って、20年も経ってから会いにくるなんて酷い」と言うまゆみに「いやぁ」と笑い「忘れて欲しくなかったの。死んだらおしまいなんて、悲しすぎるでしょう。“あ~、あの人は酷い男だった~”って、好きな人には何度も何度も思い出して貰いたかったから」と言う寿三郎。

「忘れるもんですか。私が忘れても、お子さんたちが思い出すでしょう。これだけ迷惑かけたんだから」とまゆみが言い、「そうだといいんだどね」と寿三郎は笑います。

たかっしの楽屋。

楽しそうに熱中してたかっしから振りを教わる寿一たち。

庭園。

寿三郎が「なんで素直に“ありがとう”って言えねぇのかなぁ」と笑いました。

「そういうもんだよ、家族って」と言うまゆみ。

たかっしの楽屋。

寿一たちが振りを覚え、“OK”と手を叩くたかっしに“顔が違うのがバレないか?”と心配する寿一。

うっすらとメンバーの似顔絵の入ったフェイスシールドをつけて出ることになります。

庭園。

寿三郎が“自分がまたいつか能の舞台に立てるようになったら、今度こそ・・・」と言った時、坂道を車椅子が自走し始めました。

慌てて、まゆみが追いかけますが、車椅子は目の前の崖の方へ一直線に進み・・・。

と思われた処で、黒ずくめの男が車椅子を止めて、走り去ります。

「ねぇ、今、なんて言ったの?」と聞くまゆみ。

スパリゾートハワイアンズ。

ステージ。

幕が上がり、衣装に身を包んだたかっし、寿一、寿限無、踊介が登場しました。

見事な合いの手、コーラス、歌、振りを途中でフェイスシールドを外して披露する3人。

最後は寿一の「お久ブリザート!!」で決めた処で、寿限無が客席を見て「宗家」と言います。

客席で微笑んでステージを見つめる寿三郎。

寿一がたかっしに“もう一曲、良いですか?”と聞きました。

ステージ。

照明も変わったステージに着飾って、飾り付けられた車椅子に乗った寿三郎が現れ、見事な「マイ・ウェイ」を披露します。

見守る大州と秀生と寿一たち。

寿一の歌の間に、子供たちと戯れるちはるの姿、扇子でお客さんの前で紙吹雪を舞わせる豆千代の姿、客席で寿三郎を見守るまゆみの姿が映し出されました。

そして、旅行を計画してから今に至るまでの映像が流れ、歌い終わった寿三郎に寿一が「親父、最高!!」と声を掛けます。

「ほんと、最高だよ、父さん!」と踊介が言い、「ごめんね。めんどくさいとか言って。だって、めんどくさいんだもん!」と舞が言い、「宗家、俺、もっと甘えていいかなぁ。タメ口でもいいかなぁ」と寿限無が言い、「タメ口でいいよ~」と言う寿三郎。

本当に素晴らしい「マイ・ウェイ」でした!!

寿三郎がステージに寿一たちを呼び、黒づくめの男が「はい!チーズ」とステージの寿三郎、寿一、寿限無、舞、踊介の写真を撮りました。

黒ずくめの男がフードとマスクを外し、「頂きました。トラベルヘルパーの末広です。ずっといました。絶妙な距離感で」と言います。

豆千代の駐車場で車椅子のリフトが動かなくなった時も、ロッカールームで寿一が暴れた時も、寿三郎の車椅子が暴走した時も、末広が側にいてフォローしていたのでした。

どうりでタイミングが良いなぁと思いました!

寿三郎の車椅子を停めたとき、「引き続き、家族旅行をお楽しみください」と末広は言っていたのです。

「じゃあ、お先に」と末広は退場しました。

観山家。

茶の間。

さくらが5人のステージの写真を額に入れて、ハワイの家族写真の横に飾り、「こっちの方が良い」と呟きました。

最高の一枚が撮れましたね~。

寿限無のモヤモヤも解消され、大州も一歩を踏み出せそうな予感!

今、気になるのは秀生くんの親権問題とさくらと踊介の恋の行方です。

来週も何やら色々起こりそうな予感・・・。

毎回、盛り沢山に楽しませてくれる「俺の家の話」。

俺の家の話7話ネタバレあらすじ!親父の残された時間

さくらのプロポーズ

家族旅行帰りの車中。

寿一(長瀬智也)、寿三郎(西田敏行)、寿限無(桐谷健太)、踊介(永山絢斗)、舞(江口のり子)、大州(道枝駿佑)、秀生(羽村仁成)がブリザードの歌を大声で熱唱しています。

寿一の声:これが俺の家の家族旅行の車内。断っておくが、“行き”じゃなくて“帰り”だ。ちなみに“行き”はこんな感じだった。

仏頂面で運転する踊介と、ぎこちない雰囲気の車内の回想シーン。

観山家の門の中。

車から降りた面々が歌い続けながら、観山家に向かいます。

寿一の声:色々あって完全に馬鹿になった。

寿三郎を背負って最後尾から歩いてきた寿一が「もういいかな。着いたし。親父、寝てるし。舞の声も枯れてるしな」と言い、踊介の号令で一同は解散しました。

その後日。

観山家。

寿三郎の寝室。

寿一の声:旅行から帰ってすぐ、親父はリハビリを再開した。あんなに嫌がってたデイサービスに週2回通い始めた。舞と踊介は忙しくなり、リモート会議に切り替えた。

寿三郎の寝室でシルバーカーに荷物を詰める寿一。

リモートで繋がっている舞と踊介に「行ってくるよ~」と手を振る寿三郎。

舞が“土曜に食事を作りに行く”と言い、踊介が“除菌スプレー持ったか?”と気遣います。

とても良い雰囲気です、観山家。

観山家の稽古場。

寿一の声:稽古場では親父に代わって寿限無が体験入門のお弟子さんに稽古をつけている。

寿限無が謡い、体験入門の弟子が謡います。

観山家の居間。

畳の上に寝そべる寿一。

寿一の声:平和だ。そして長男の俺は・・・やることがない。

寿一はズボンのウエストに挟んでいたスマホを取り出し、GoodLuckで“ぜあみ”を検索し、「なぬ?」と目を見張りました。

“世阿弥マシンの正体は、ブリザード寿?!、つぶやいた‐”という記事があがっています。

記事を開くと、ブリザードの寿一と世阿弥マシンの寿一の写真が並んで表示されていました。

寿一の声:エゴサーチが止まらない・・・。

すると、さくら(戸田恵梨香)が頭上から寿一の顔を覗き込み「よろしいですか?}と聞きます。

「はい。はい?はいはいはいはい」と起き上がる寿一。

さくらは寿一の前に正座をしてスマホをかざし、「これ、踊介さんが旅先から送ってきたメッセージ」と言い、寿一がスマホを見ると“帰ったらプロポーズします”と書かれていました。

「帰ったらプロポーズします・・・え?」とさくらを見る寿一に「どうしたらいいですか?」と聞きます。

「あ、どうしたら、いいか?帰ったらプロポーズします・・・。とっくに帰ってきましたよね?え?されました、プロポーズ?あ、してないよね。解散って言って帰りましたもんね、アイツ。あの・・・あの、なんでさっきから黙ってるんですか?」と寿一が聞くとさくらは

「あなたの番だからです」「俺?」「そう。寿一さん、私のプロポーズに答えてない。寿一さんの答え聞かないと、私、踊介さんにどう答えたらいいのか分からない。いつまでも旅行気分じゃ困ります」と言いました。

「すみません。あ、その前に、(咳ばらいをして)実は世阿弥マシーンの正体は私です」と言う寿一。

さくらは驚いた顔をして「え~っ」と言いますが「え~って、知ってますよね」と寿一が言い、「知ってますよ。そんなの大前提ですよ」と言うさくらに寿一は“くれぐれも親父や家族には(内緒で)”と人差し指を唇の前に立てます。

さくらは「いくらでも黙れますよ」と微笑みました。

魅力的な微笑みです、さくらさん。

寿一の声:これが俺の家の話だ。・・・あれ、行かない?(タイトルに)。俺の家の話だ。俺の家・・・。(で、タイトルにいきました)

さんたま道場。

長州が寿一からの電話で違う名前を名乗り、ふざけています。

観山家。

稽古場の廊下。

スーツ姿の寿一がスマホに「そういうのいいんで、会長に代わって貰えます?」と言っていました。

「どういうことですか、会長?なんで原(井之脇海)が俺んちに来るんすか?フルーツサンド持参で」と堀(三宅弘城)に抗議する寿一に堀は“原が11連敗中のスランプなので、長州が体幹を鍛えて貰ってこいと言っている”と言います。

“自分は家族にプロレスを続けていると言っていない”と寿一が言うと堀は「大丈夫!バレない、バレない!」と言い、寿一が“ネット上ではバレている”と言うと堀は「マジで?!」と驚き、「能楽師にとって世阿弥は神様なんです。もしこれが親父にバレたら、破門・・・」

と寿一が言い掛けた時、寿三郎とさくらがいることに気付き、寿三郎が「寿一、寿一」と呼び掛けます。

「今さぁ、フルーツサンドがどうのこうの言ってなかった?」と聞く寿三郎に「あ、ああ、寿限無じゃないかな?」と寿一が言い、「ああ、そっかぁ。・・・寿一、お前、本当に背広が似合わねぇなぁ」と笑う寿三郎に「ああ、まぁな、ありがとう」と言う寿一。

「さくらさん。ありがとうだってよ。馬鹿だねぇ」と笑いながら、寿三郎は稽古場に入りました。

寿一は「時間ないんで切ります。後で改めて」と電話を切ります。

稽古場。

息子の親権問題と元妻の告白

寿三郎、さくら、寿限無がフルーツサンドを堪能しています。

甘いものは人を幸せにしますよね~。

寿限無が原に名前を尋ねると原は「プリティ原です」と名乗りました。

寿三郎が「ああ、可愛い原くん~」と言い、原が「世阿弥さんに・・・」と言い掛けたのを寿一が「おい!原!」と打消し、さくらが寿一に「ちょっと血が、血が止まってます」と駆け寄って、ネクタイを緩めます。

呼吸が戻り、肩で息をする寿一に微笑んで「頑張ってね」と言うさくらに照れる寿一。

ネイタイで窒息って、力加減バカ男ですか、寿一さん(笑)。

街路。

「ぜあ、ぜあ」と寿一が全力疾走していました。

寿一の声:実は今、別れた妻と息子の親権を巡って揉めている。学習障害を克服するために始めた能の稽古で、秀生は意外な才能を開花させた。いずれ観山流を継ぐ為にも、観山家に籍を置くべきだと考え、妻も(ユカが「その方がええって、うちも思うとったんやけど」という映像と「俺、秀生くんのパパになる。なりたい」という早川の映像が蘇ります)

踊介の弁護士事務所。

寿一が「ぜあ!」とドアを開けて入って来て「あ、すみません。遅くなりました」と言います。

踊介がハヤカワの代理人の弁護士・玉川(峯村リエ)を寿一に紹介し、玉川は“名刺代わりに”と著書「折れない心 譲らない親権」を寿一に渡しました。

寿一の声:勝てる気が・・・しません。

ユカ(平岩紙)、玉川、踊介、寿一で「親権変更請求事件」の話し合いを進めようとしていると、「て、いうか、すいませ~ん」と早川(前原滉)の声が響きます。

ユカが「夫です」とリモートで繋がっている早川の画像をiPodで寿一たちに見せました。

早川は“弟が代理人になるのって”と言い、踊介が“法律上は問題ない”と言いますが、電波が良くないらしく、寿一が“彼は今、何処にいるのか?”と聞くと、「スタバ」とユカが答えます。

玉川が“初回なのでこれまでの経緯を確認する”と言い、“元々、ブリザード寿のファンだったユカがファンレターを出し、ファンの集いで親しくなり、大阪と東京都遠距離恋愛を経て2008年に寿一が「寿固め」を決めながら「幸せにします」と叫んで結婚したこと”“2010年に長男の秀生が生まれたこと”

“2年前に離婚を切り出したのはユカ”。

玉川に“離婚の原因をどう考えているか?”と聞かれた寿一は“自分が家庭を顧みなかったからだと認識している”と言いました。

玉川は“寿一がアメリカに渡った2015年から2年半、生活費を送るのみで一切の連絡がなかった”ことに触れ、寿一が「退路を絶って、自分を追い込む必要がありました。年齢的にも最後のチャンスでしたので、武者修行を経てプエルトリコ地区の・・・」と話していると、早川が

「ちょっといいですか?2年半も音沙汰なしって、もうネグレクトだと僕は思うんですけど、そんな過去のある人がまた同じ過ちを繰り返さないっていう保証はあるのかなって思っちゃうんですけど」

と言い、寿一が「それはもう、はい、心を入れ替えて」と言うと、玉川が「観山さん!プロレスの方は?」と聞き、寿一は「引退しました」と言い、「もうやってないんですよね?」と聞く踊介に「はい」と答えます。

“現在は親の介護をしながら能楽師の見習いを”と言う寿一に玉川は「収入は?」と聞き、寿一は言葉に詰まり、踊介が「ゆくゆくは28世を継ぐんです。よね?」と寿一に確認し、「はい」と寿一が答え、

「そうなれば、お弟子さんたちの月謝や協賛金で・・・」と言う踊介の言葉を「現在の収入は?!」とかき消し、「ゼロですか?」と聞く玉川。

「・・・はい」と答える寿一に「無職・・・と考えて宜しいかしら?」と玉川の言葉に返す言葉も出ない寿一。

そうでした・・・収入がないので匿名でプロレスに復帰したのでした・・・。

玉川が「初回ですので、この辺にしときましょうか?」と言うと、ユカが「ちゃうわ」と言いました。

「次回どうします?」と言う玉川を無視してユカは「ちゃうよ、寿一くん!!」と言います。

「やっぱりなんも分かってへんな。家庭を顧みない?そんな1㎜も気にしたことないわ。むしろ顧みんといて欲しかったわ!あんな鋭い野獣みたいな目で!怖いねん!家におる時。張りつめんねん、空気が!わかってる?殺気放ってんねん。大阪城ホールちゃうよ、うちは!2LDKの分譲マンション!持ち込まんとって、殺気!!」と一気に捲し立てるユカ。

「ごめん」と謝る寿一にユカは「ごめんて。なんなん?これ、話し合いですよね?なんで、ごめんで終わらすん?私はなんなん?寿一くんのなんなん?」と聞くユカに「なんなんて?」と聞き返す寿一にユカは

「なんとも思うてへんやろ、私のことなんか。一遍も好きになってないやろ?」と言い、“自分と秀生なら秀生が大事。自分とプロレスならプロレスが大事。自分と能だったら”と言った処で寿一は「そんなことないって!」と言いました。

「能には勝ったか。嬉しないわっ!寿一くん、ずっと逃げてる。退路を絶つ?逆やん。家族と向き合うんが嫌でプロレスに逃げたんちゃう?今更、親権くれって虫が良すぎるわっ!!・・・もう秀生には会わんとって。能の稽古も辞めさせます」とユカは席を立ち、

「私が離婚を決めたんはな、寿一くんがアメリカ行ったからちゃうよ!・・・アメリカから帰ってきたからや!!」と言って部屋を出ます。

想像もしなかったユカさんの告白!そうだったんですね・・・。

夜の街路。

寿一と踊介が並んで歩いていました。

項垂れて歩く寿一に「大丈夫?」と踊介が声を掛け、寿一が「まさか弟の前であんな修羅場になるとはな」と言うと踊介は「あんなのしょっちゅうだよ」と“自分の所へ来るときは別れる時だから、本当にこいつら夫婦だったのかなと思う”と言います。

「それでも結婚したいんだなぁ」と言う寿一に踊介は「まぁ、俺も一回くらいはな!」と言い、寿一は「俺はもう無理かもしんない。殺気とか言われちゃったし・・・」と苦笑し、「本当に夫婦だったんだけどなぁ」と言いました。

 

認知症か窃盗か?

夜、観山家。

寿一と踊介が帰宅すると、寿限無と秀生が待っています。

寿限無が「寿一ちゃん、ちょっといいかな?」と言い、秀生が「こっち泊ってくからお母さんにラインして」と言いました。

寿一は秀生に「ダメだ。今日は帰りなさい」と言い、愚図る秀生に“もうすぐお兄ちゃんになるんだから我慢しろ”と言います。

踊介が「おじさんが送って行ってやる」と秀生と居間に荷物を取りに行きました。

寿一が寿限無に「どうした?」と聞くと寿限無は「ちょっと」と寿一を鏡の間へと誘いながら、「近頃、親父の様子、どう?」と聞きます。

「どう?どうって良いだろ?リハビリも行ってるし。なんで?」と聞く寿一に寿限無は「さっき、鏡の間でさ・・・」

寿限無の回想シーン。

鏡の間。

車椅子の寿三郎が寿限無を呼び、寿限無が駆け付けます。

沢山の木箱を前に積み上げた寿三郎を見て「え?どうしました?」と声を掛ける寿限無。

「ないんだよ。顰(しかみ)の面が・・・。どっこにも」と空の木箱を開けて見せる寿三郎。

顰(しかみ)の面は寿三郎が家族旅行に向かう途中で元カノAにあげた面でした。

寿限無がインスタの写真も見せてその旨、説明しますが、「知らん。あげた覚えもない。盗まれたんだよ。泥棒に入られたんだよ。そういえばねぇ、なんか夜中にねぇ、ガタガタガタガタ音がするなぁって思ってたんだよ。寿限無、通報しなさいよ」と寿三郎は言います。

現実の鏡の間。

「マジかよ」と呟く寿一の前で、「まさかと思って他も調べてみたんだけど」と寿限無が別の木箱を開けると中身は空でした。

「え?マジで泥棒?」と言う寿一に「の可能性もゼロじゃないけど」と寿一が寿限無が出した次の木箱を開けると“Cat’s Eye”の名刺が入っています。

「キャッツアイ?」と名刺を手に取る寿一に寿限無が「よく見て。それガールズバーの名刺。この間の調子であげまくってんじゃないかな。そこらの女に」と言いました。

マジですか?寿三郎さん!

観山家の居間。

さくらがテーブルの上に面を出し、「いつかお返ししなくちゃと思ってました」と言います。

「さくらさん、あんたって人は、もう」と言う寿一に「違います。じゅじゅが持ってて欲しいって」とさくらが言い、舞が「油断も隙もないわね」と言って、踊介が「ったく、たまんないぜ!」と言いました。

話を聞いていた末広(荒川良々)が認知症の症状の一つで、物忘れや自分の過失を認めたくないから“盗まれたというストーリー”を作って被害者という安全なスタンスをとろうとする“物とられ妄想”かも知れないと言います。

原が“何故、大事なお面を他人にあげてしまうのか?”と聞き、舞が「お面じゃないくて“おもて”ね。(と原を見て)誰、あんた?!」と聞き、寿限無が「可愛い原くん」と答えました。

踊介が「モテたいから」と言うと末広は“その考え方はダメ!認知症患者の行動には親族にしか分からない伏線がある。見逃してない?回収して伏線!”と言います。

某大喜利番組風に末広が手を挙げた寿限無を指名し、寿限無が“2年も舞台に立てずに傷ついている寿三郎が、面や衣装を見ると若くて元気だった自分を思い出すので」と言うと、「忘れたいから他人にあげる」とさくらが言いました。

末広がさくらに「座布団一枚!」と言い、寿限無は「今のほとんど俺だよね」と言います。

その様子を見ていた原が「なんか明るくっていいっすね」と自分の祖母が認知症になった時の家族の悲惨なやり取りを語りました。

「そっかぁ、うち、明るいんだな」と寿一が言い、さくらも「うん、確かによそと比べたら悲壮感ないかも」と言います。

「末広さんがこういう乗りの人だからよ。サークルぽいっていうか、落研ぽい?」と舞が言い、「泣きながらやっても、笑いながらやっても、介護は介護ですからね」と末広は笑いました。

確かに。良いことをおっしゃいます、末広さん。

「あの・・・お二人は付き合ってるんですか?」と唐突に聞く原。

「え?誰と誰が?」と聞く踊介に「すみません、余計なこと言っちゃった」と原が言い、さくらは嬉しそうに「なんでなんで?なんでそう思った?」と聞きます。

原が「この間、道場に来たじゃないですか」と言い、「原!!」と寿一が一喝し、「さくらさんはな、(チラチラさくらを見て)親父の婚約者だ・・・」と言いました。

「え~~っ!!」と叫ぶ原の声。

びっくりしますよね、プリティ原くん(笑)。

後日。

観山家。

寿三郎の寝室。

主治医、末広、寿一、さくらが寿三郎に1日検査入院を勧めています。

寿一の声:主治医のオオサコ先生と相談して、親父に検査入院を勧めてみた。

「何処も悪くないんですけどねぇ、自分」と言う寿三郎に「それを証明するつもりでMRIも撮って、新たな問題がなければ、ねぇ」と言う主治医。

「リハビリの成果も出てますし」と末広が言い、「また舞台に立てますよ」と主治医が言いました。

観山家。

風呂場。

寿一が寿三郎の足を洗っています。

寿三郎が寿一に「かせ!自分でやる」と言って、スポンジを取り上げ、自分で股間をごしごし洗いました。

“要支援2なのに、どいつもこいつも舐めるんじゃねぇ。俺の目は節穴じゃねぇ!”と言う寿三郎に寿一が“なんの話か?”と聞くと、寿三郎は「寿限無がなぁ、面を持ち出しやがったんだよ。で、問い詰めたらさ、俺が昔の女にプレゼントしたっつうんだよ。ご丁寧にさ、証拠写真まで捏造してやがって。盗人猛々しいとはこのことだ!」と言います。

ちょっと酷い妄想ですね・・・。

「流すぞ」と立ち上がり、お湯を汲む寿一に“秀生はいつ来るんだ?”と聞く寿三郎に寿一は「来るよ。そのうち」と答えました。

観山家。

玄関。

検査入院に向かう寿三郎の車椅子を寿一が押してきます。

玄関で待っている寿限無に「頼むな」と言う寿一。

寿一の声:親父の検査入院の付き添いは寿限無に任せ、俺と舞は家の中を点検することにした。

 

親父の入院と事件

寿三郎の寝室。

寿三郎のタンスを点検していた大州とO.S.Dがエロ本を見付け、寿一に報告します。

苦笑して「すみませんね」と言い、能の本を見ながら寿一は

寿一の声:真面目な親父と不真面目な親父が部屋の中でせめぎ合っていた。タンスと壁の隙間から老眼鏡と携帯ラジオが3個ずつ、エッチなトランプとエッチなボールペン、そして遺言状が・・・

さくらが大量の遺言状をまとめました。

寿一が表紙のプロレス雑誌が保管してあり、寿一の掲載されたページに付箋が貼ってあります。

舞が「呆れた~」と言いながら戻ってきて“面が6つ、帯が3本、扇も袴もなくなってる”と報告しました。

“高いのから持ち出してる。せめて誰にあげたか分かれば”と言う舞に「覚えてねぇだろうな」と言う寿一。

少し後。

観山家の玄関。

舞が“くれぐれも問い詰めない様に。被害妄想出るだけだから”と寿一に言いながら出てきます。

「わかったよ。ありがとう」と寿一が言い、舞に呼ばれて出て来るO.S.Dと大州。

大州が寿一に“秀生と連絡とってるか?”と聞き、秀生がスマホを買って貰ったことを告げ、「さっきライン来たから転送しとくね」と言いました。

夜。

観山家。

寿三郎の寝室。

片づけをしている寿一のスマホにラインの着信があり、居間に来て、秀生からのラインを見る寿一。

“速く能の恵子、死体”“南でおじいちゃん血、いっちゃ池ナイの?”“能が、死体!”“能、死体!”“能、死体!”“能死体!”“能死体!”

ちょっと怖い変換ですが、思いは伝わります!

そこへさくらが「ラーメン食べます?」と話し掛け、寿一は思わず、恐ろしい形相でさくらを見てしまいます。

「すみません。私、お腹空いちゃって」と言うさくらに「あ、じゃ、作りますよ」と寿一が言いますが、さくらが「私、やります」と台所へ向かいました。

台所。

さくらの隣で寿一が慣れない手つきでネギを切っています。

時計を見て「親父、飯食ったかなぁ」と呟く寿一の横でどんぶりにお湯を注ごうとしたさくらに「あ!」と言う寿一。

さくらは「どんぶりを温めておいた方が、美味しくできるんです」と二つのどんぶりにお湯を注ぎました。

寿一がラーメンにスープを入れて茹でている処へ、さくらが卵を割り入れ、「あ!」と言う寿一に「卵ダメですか?」と聞き、「ダメじゃないけど」と言う寿一の横から鍋の中の卵をお玉に受け「途中で黄身が割れると残念だから、こうすると綺麗な半熟になるんです」と言うさくら。

居間。

美味しそうに出来たラーメンを差し向かいで「いただきます!」と食べる寿一とさくら。

寿一は一口ごとに全力で「旨い!」と感動しながら食べます。

あっという間に平らげて「御馳走様でした!」と満足する寿一を見つめるさくら。

「あ・・・さて・・・今ですよね?」と寿一はさくらに聞き、さくらがまだ残っているラーメンの丼の上に箸を置くと、寿一は「ああ、ごめん・・・待ちます」と言い、さくらは再び食べ始め、寿一は「親父、もう寝たかなぁ」と呟きました。

ラーメンを食べながらさくらは「さっき、初めて感じました、殺気」と言い、「いつ?どれ?さっきってどれ?誰に聞いたんですか?・・・踊介か」と言う寿一に「ごめんなさい」とさくらが言います。

寿一はさくらに“秀生が幼稚園にあがって、直ぐの頃、プロレスラーになりたいと言った時、自分と父親の様な関係になるのが怖くて反対したこと”を話し、

「プロレスを家庭に持ち込まないって決めてたのに、怖いって言われた。・・・ごめん。人を幸せにする自信がないんです。また自覚もなく、大切な人を不幸にしてしまう。・・・殺気を放ってしまう。・・・だから、さくらさんの気持ちには答えられません」と深々と頭を下げる寿一。

「観山寿一さん。益々好きになりました。だから放ってください、殺気。思う存分。ここ、大阪城ホールだと思って。・・・なんとなく分かる、ユカさんが言ってること。寿一さんて、なんだろう・・・おっきすぎるの!物理的にもそうだけど、存在が。だから近すぎるって、大阪城ホールのリングと客席ぐらい離れて見るのが丁度いいって意味じゃないかな?」

というさくらの説明にピンとこない寿一にさくらは続けて

“スカイツリー”を例に出し、“近くで見ると大きくて全然見えない”と言うと、寿一は“遠くで見てる方が丁度いいならダメじゃないですか?”と言います。

さくらは「違う。登ったもん、私。・・・近くで見て、登って初めて好きになったの」と言い、「ああ、山賊抱っこ」と寿一が言いました。

「2回登って確かめた。やっぱり好き。だから平気。近くで殺気感じたけど、全然怖くなかったし。私だけの特権!」と言うさくら。

「ありがとう・・・嬉しいな・・・あれ、なんか、すっごい嬉しい・・・。あ、ああ、俺の番だよね?」「どうぞ」「参ったな。そんな俺、喜べること言えるかな。・・・えっと、さっき作ったラーメン、めちゃめちゃ美味しかったです」「え、そこ?」

「いや・・・こんな美味しいラーメンをちゃちゃっと作れる人は、幸せになるべきだって思いました」と言う寿一を微笑んで見つめるさくらを寿一は山賊抱っこで抱き上げ、自分の部屋に運んで畳の上に寝かせます。

え?寿一さん、展開早すぎません?

寿一の部屋。

畳の上にさくらを優しく寝かせ、「寿一さん」と言うさくらに「しっ!」と言い、革のグローブを嵌めて、そっと目を閉じるさくらを残して部屋を出る寿一。

「えっ?」とさくらは起き上がりました。

稽古場へ向かう階段。

寿一が稽古場の方を覗き込み、鏡の間から怪しい人影が出てきます。

そうだったんですね~、寿一さん。

寿一は息を潜めて稽古場の入口に立ち、歩いてくる怪しい人影の首を掴み、回し蹴りをかまし、取り押さえて、賊の手から面を取り返し、様子を見に来たさくらに「警察ぜあ!110番ぜあ!」と叫びました。

寿三郎の病院の外。

寿限無が電話で「マジ?!泥棒?!」と言い、

観山家の門の外。

パトカーが停まり、寿一とさくらが立っています。

寿一が電話で「被害妄想じゃなかったよ。親父、ボケてなかったんだよ」と言い、

寿三郎の病院の外。

寿限無が「どっちにしろ、寝ちゃったから明日だな。謝っとくわ」と笑顔で言いました。

観山家の門の外。

寿一が「とりあえず、気を付けて帰ってこい」と言って、電話を切り、犯人が連行されて来ます。

寿一の声:犯人は、体験入門を装って観山家に潜入し、高価な面や装束がずさんに管理されているのを見て、犯行に及んだと供述した。

 

寿三郎に残された時間と秀生の強い思い

後日。

観山家の鏡の間。

面を「良かった良かった」と木箱に戻す寿三郎。

それを見ている寿一と寿限無に寿三郎は「お前たちもさ。最初から私のことを信じてればさぁ」と言い、寿一が「悪かったよ」と言い、寿限無は「でも、顰(しかみ)の面は?元カノAにあげた」と聞きました。

すると、寿三郎は「忘れた振りをしたんだよ、バーカ!」と言い、インスタもフォローして“いいね”をしていると言います。

「それよりさ、どうして秀生は来ないんですか?!」と寿一に詰問する寿三郎。

答えらない寿一にさくらが寿三郎をリハビリに誘い、助け舟を出しました。

後日。

観山家の居間。

寿三郎の検査結果は脳の萎縮も進み、血管も細くなっていて「要介護2」でした。

主治医と末広に説明を受けているのは寿一とさくらの二人だけです。

末広は“残念ながら3よりの2”と言い、“この先、記憶と認知が薄れていく可能性が高いので、はっきりしているうちに先々のことを話し合われた方が良い”と主治医が言いました。

寿一の声:記憶が薄れる。(家族旅行の楽しい車中を思い返し)あの時のことも親父は忘れちゃうのか。

寿一は風呂場で、鏡の間で“秀生がいつ来るのか?”と聞く寿三郎を思い返します。

さくらが「要介護3になったら」と言うと、主治医は「施設への入所を検討するべきでしょうね」と言いました。

踊介の法律事務所。

踊介と玉川が向かい合って座り、ユカは自宅から、寿一は街路から話し合いに参加しています。

「早川さんは?」と聞く寿一にユカは“秀生の参観日で学校に行っている”と答えました。

秀生のフリースクール。

大勢の父兄が見守る中で、秀生が一人立って、早川について書いた作文を読んでいます。

読み終わり、一度は座った秀生ですが、直ぐに立ち上がり、教師に「秀生君は今、読んだばかりだから座ってね」と言われて「はい」と座る秀生。

踊介の法律事務所。

踊介が「月々の養育費をほぼ遅れずに支払っていること、それと親族が多く子育ての環境も整っていることを鑑みてですね・・・」と話している処へ寿一が

「親父の認知症がさ、進行してるんだ。本人、全然自覚ないんだけど・・・」と言うのを踊介が「兄貴!今、その話、マイナス」と止めると、玉川が「そうなんですか?」と食いついてきました。

「秀生の将来のこととか、そんな悠長なこと言ってらんなくなったっつうか」と言う寿一。

秀生のフリースクール。

秀生が立ち上がります。

ユカのマンション。

ユカが「寿一くん、今、何処?」と聞き、寿一は「会いたい時に会わしてやりたいっつうか」と言い、

秀生のフリースクール。

早川が立ち上がった秀生に「秀生!」と声を掛けます。

リモート画面の寿一が「一分一秒でも・・・一緒にいさせてやりたいっつうか」と言い、

ユカのマンション。

呼び鈴が鳴り、ユカがモニターを見ると、パソコン画面と同じ寿一が映っています。

「え~~っ!」と叫ぶユカ。

ユカのマンションに向かっていたんですね。

部屋に入ってきた寿一はユカの肩を掴み「つうか、今なんだよ。将来なんて知らねぇし、親権とかいらねぇわ。今、会いてぇの、親父。会わしてやりてぇの!」と寿一はユカをソファーに座らせ、土下座して、

「ユカちゃん、頼む。この通り。俺が家庭を顧みなかったこと、いや、顧みなくていいのに顧みたこと。とか、殺気とか、償います。後で必ず!・・・だから、今だけ、せめて親父が・・・せめて親父が死ぬまでは・・・稽古を続けさせてやってください」と深々と土下座をする寿一。

「週一じゃなくてもいい。月一でもいい。来たい時、会いたい時、会えるようにだけして・・・ください。お願いします!」と土下座をする寿一を見ていたユカが「久しぶりに見たわ。寿一くんの頭のてっぺん」と言い、寿一は顔をあげます。

「うちもこの間、ちょっとイラっときて言い過ぎた。ごめん。ええよ、どっちでも。本人がやりたい言うなら」と言うユカに寿一は「能死体!」と連続で来ていた秀生のラインを見せ、「本人はバリバリやりたがってんだ」と言いました。

流石は元夫婦ですね。

秀生のフリースクール。

教室を駆け回る秀生を必死に捕まえようとする教師とオロオロする早川。

早川さん、厳しい現実に遭遇です。

踊介の法律事務所。

玉川がユカに“親権者変更の協議、続行でいいのかしら?”と聞いています。

ユカのマンション。

ユカのスマホにラインが届き、ユカが「ごめん、寿一くん。学校行って!今、直ぐ!」と早川から届いた“やばい”“秀生”“どうしよ”“やばい”“無理”というラインを見せました。

秀生のフリースクール。

寿一が着くと、皆が帰った教室に早川と教師といる秀生。

教師が“濃い方のお父さん来たよ”と声を掛け、寿一は秀生に歩み寄ります。

椅子にぐったりと腰掛け、呆然としている早川。

「秀生、お稽古行くか?」と寿一が聞くと、秀生は大きく「うん!」と頷きました。

寿一は秀生を外で待たせ、教師が「ほら、立って!薄いお父さん」と言い、早川と寿一に1枚ずつ秀生の作文を渡し、“秀生が「あっさり」と「こってり」の2つの作文を書いた”と言います。

寿一に向けて書かれた秀生の作文が秀生の声で流れます。

秀生の声:僕のお父さん。5年、観山秀生。僕のお父さんは元プロレスラーで、今は能をやっています。

観山家。

玄関。

久しぶりに訪れた秀生を皆が大歓迎し、寿三郎の嬉しそうな笑顔が弾けます。

秀生の声:お父さんのお父さん、つまりおじいちゃんは人間国宝です。僕にはすごく優しくて、こっそりエッチなトランプやボールペンをくれます。

観山家。

稽古場(舞台)。

寿限無の謡いで舞う秀生。

秀生の声:おじいちゃんや寿限無おじさんに比べると、お父さんは下手くそです。それでしょっちゅう怒られています。この間、お父さんと舞を舞いました。本当は従兄の大州と舞う予定だったので、少し心配でしたが、お父さんにしてはよく出来ました。

画面には先日、寿一と秀生が舞った舞の映像が流れています。

画面が世阿弥マシーンのリングでの対戦シーンに切り替わりました。

秀生の声:考えてみたら、お父さんがプロレスラーの時に僕もプロレスラーに憧れ、お父さんが能を始めたら僕も能をやってみたくなったので、要するに僕はお父さんみたいになりたいんだと思います。なんだかんだ言って、僕のお父さんはかっこいいと思います。

寿一は秀生の作文を読んで、涙を流します。

最高に嬉しい作文ですよね。

さいたまプロレスのリング。

戦う世阿弥マシーンを2階からさくらが応援していました。

やられていたのが、反撃に転じた世阿弥マシーンは次々と大技を決めていきます。

最後に技を決める寿一にさくらが「世阿弥さん!」と声を掛けると、寿一は首を横に振り、寿固めを決めました。

“寿固めはブリザードの十八番だからダメだ!バレちゃうぞ!”と言う堀の言葉を無視して、寿一は「必ず、幸せにしま~す!!」と叫び、さいたまプロセスの面々は口を揃えて「誰を?!」と聞き、

寿一が「それは、“秘すれば”!!」と言い、さくらや皆が「花~!!」と言い、ゴングが鳴り響きます。

素敵なプロポーズ!ですが、踊介くんにはどう伝えるのでしょうか?

女性のことで、しかも、さくらさんのことで兄弟が仲たがいなんて見たくありませんよね。

一見、うまくいくようになったように見える観山家ですが、水面下には問題が山積しているようです。

来週はどんな問題が勃発して、どんな解決が見られるのでしょうか?

俺の家の話8話ネタバレあらすじ!家族バラバラに

恋に浮かれる寿一

タクシーの車内。

さくら(戸田恵梨香)と世阿弥マシーンのマスクを被った寿一(長瀬智也)が並んで乗っています。

息を荒くした寿一がタクシーに常備されたアルコールで手を消毒し、さくらもアルコールで手を消毒しました。

寿一の声:スーパー世阿弥マシーンの中の人、俺こと観山寿一42歳は、こう見えて・・・

寿一はゆっくりとさくらの手に自分の手を伸ばし、そっとさくらの手を握ります。

寿一の声:有頂天だった。

リングで寿固めを決めながら「絶対に幸せにしまーす!」と叫ぶスーパー世阿弥マシーンの姿と幸せそうに笑うさくらの姿が映りました。

さくらもさくらの手を握る寿一の手に手を重ねます。

観山家の前。

タクシーを降りた寿一とさくら。

寿一がさくらを山賊抱っこし、「さくら~」と言いながら家に向かいますが、さくらが“一緒に帰ったら怪しまれちゃう”と寿一を止めました。

「あ、そっか」と寿一はさくらを下して、さくらと向かい合い「さくらさん、・・・俺、プロレス辞めます」と言います。

「えっ?!」と驚くさくらに“いつまでもぬるま湯に浸かっていてはダメだ。「危ぶむなかれ危ぶめば道はなし」。敢えていばらの道を進む決心をした”と言う寿一。

“自分との結婚はいばらの道なのか?”と聞くさくらに寿一は「ぬるま湯です。二人でぬるま湯のような家庭をつくろう」と言い、さくらは満面の笑みで「はい!」と言いました。

「なにしてんの?」と家から出てきた寿限無(桐谷健太)が声を掛け、さくらが寿一から離れて家に入り、寿一は「べ、べ、別に・・・バイト?」と聞きます。

寿限無は「コンビニ。今日、晩飯、踊介(永山絢斗)だからさ」と言って出掛けていきます。

観山家の台所。

「ただいま」と寿一が入ってきて、「おかえりなさーい、ねぇ、見て。踊介さんがローストビーフ作ってくれたの」と言うさくら。

寿一は居間の自分の席につきながら、

寿一の声:何も知らない踊介は、さくらにプロポーズするタイミングを見計らっている。

早く教えてあげた方が良いですよ、寿一さん。

寿三郎(西田敏行)が寿一に“足を引き摺っていないか?”と声を掛け、寿一は「いや、別に」と答え、「いただきます!」と号令を掛け、寿三郎、寿一、踊介、さくらでの夕食が始まりました。

寿三郎が皆に“食べながらで良いから聞いてほしい”と言い、“要支援2で今の処、頭はハッキリしているので終活を始める”と宣言します。

寿一の声:違う。親父、2は2でも要介護。確実に進行している。

寿三郎は“自分の個人の預金は婚約者であるさくらに贈与する”と言いますが、さくらは「私、結構です。いりません。」と言い、寿三郎と踊介は驚きました。

寿一の声:この状況、気まずい。そして、今更だけど、ローストビーフ、まずい!

と、寿一はひとしきりローストビーフのまずさを語ります。

だから寿限無さんはコンビニに行ったのですね。

「いらないって、どうして?」と寿三郎がさくらに聞き、寿一を見つめるさくら。

寿一の声:出た~!さくらの得意技!濡れた目でだんまり。ウエッティだんまりホールド!そして、踊介は(とドヤ顔の踊介を見て)このローストビーフでよく勝ち誇れるな。

一刻後。

観山家の前。

見送りに出た寿一にさくらが「踊介さんには折を見て私から話します」と言い、寿一が「じゃ、親父は俺が」と言いました。

さくらは笑顔で「おうち着いたらラインします」と言い、名残惜しそうに振り返って手を振り、帰宅します。

2人の車いす生活スタート

翌朝。

観山家の稽古場。

稽古着の寿一と向かい合う寿三郎と寿限無。

寿一が「隅田川」の本を持ち、寿三郎が“シテは生き別れた息子を探す母親。寿一が母親の哀しみを理解するのにどのくらいかかるか、寿限無に教わりながらやってみな”と言い、寿一は「ありがとうございます」と頭を下げました。

さんたまプロレスの事務所。

寿一と向き合う堀(三宅弘城)、長州、寿一の隣に多摩自マン(勝村周一郎)、プリティ原(井之脇海)。

ホス・カルロス・ゴンザレス・サン・ホセ・ジュニアの写真を寿一に見せ、堀が“ホセ・カルロス・ゴンザレス・サン・ホセ、寿一がプエルトリコで倒し、引退したレスラーの息子だ”と言います。

試合を勧める皆の中で長州は寿一が「NijiU」を踊っていた時に右足を庇っていたが大丈夫か?と聞きますが、寿一は「いや、庇ってないです。NijiU踊ってないです」と言いました。

「やりますよ」と答える寿一。

寿一の声:負けたら、今度こそ引退しよう。そして、家業を継ぐ。

観山家の稽古場。

舞台で舞う寿一に寿限無が「腰を吊り上げて、もっともっと!」と言い、寿一が「分かってるよ!」と言います。

さんたまプロレスのリング。

ロープを反復横跳びで飛び越えるトレーニングをしている寿一に多摩自マンが「スピードが落ちてる!相手は若いんだから」と言うと、寿一は「分かってるよ!!」と切れました。

分かっているのに出来ないのって、イライラしますよね~。

観山家の稽古場。

静止の稽古をする寿一。

寿限無が「動かない。動かない」と声を掛けています。

我慢できずに息を継ぎ「なぁ、寿限無、参考の為に教えてくれ。俺がこのまま稽古を続けて、お前と肩並べるのいつだ?」と聞く寿一に寿限無は「来世」と即答しました。

その瞬間「あれ?あれ?」と寿一は舞台上で倒れこみます。

整形外科の病室。

寿一の付き添いで来た長州がレントゲンを見て「切れてるな。ねっ、先生、これ、切れてますよね?」と聞き、医師(佐藤隆太)が“右のアキレス腱断裂”と診断しました。

「何日か前に部分断裂してるはずだけど、自覚なかった?」と聞く医師の言葉に、タクシーから降りてさくらを山賊抱っこして走った時に右足に違和感を覚えたことを思い出す寿一。

「車椅子貸すんで、2週間、ご自宅で療養してください。応援してますよ。ブリザード!!」と医師が叫び、「ありがとうございます」と寿一は言います。

寿一の声:というわけで今日は、ほどんど俺の家の話だ。

観山家の玄関。

車椅子で舞(江口のり子)と大州(道枝駿佑)を出迎える寿一に「想像より遥かに怪我人!」と言う舞。

出迎えに来た寿三郎に大州は「おじいちゃん、ハンバーガー、買ってきたよ!」と大きな紙袋を出して見せ、寿三郎は喜びました。

居間。

「この間のローストビーフの1000倍旨い!」とハンバーガーを食べる寿三郎に寿一が“ポテトは3本まで”と言います。

寿限無が「親父、それ食ったら風呂な」と廊下から声を掛けると、寿三郎は“今日はなんかめんどくさい。寿一、先に入れ”と言い、舞は“大州がCMのオーディションだから任せっきりでごめんね”と言いました。

大州くん、業界入りしたんですね。

タクシーの中で流れるCMで受かったら長州力のバックで踊ると言う舞。

寿三郎は大州に“芸能人気取りもいいが、観山流の門弟の一人だという自覚を・・・”と言っている最中に、寿限無に風呂場に連れていかれます。

舞は“全然進行しているように見えない”と言いますが、寿一は“この前、すく近所のクリーニング屋におつかいを頼んだら、2時間掛かって、豆乳ラテを二つ買って帰ってきて、それきり、出掛けていない”と伝えました。

舞は「そろそろ施設に入ること検討するべきなのかなぁ」と言い、「それはまだいいんじゃないかなぁ」と言う寿一。

「さくらちゃんは?」と舞が聞き、寿一が「あ、来てるよ。その話なんだけど」と言うと、舞は大州に「あんた、その辺で踊ってきな!」と言います。

大州は「そんな雑な追い払い方・・・」と言いながら席を外しました。

「あの・・・まだ誰にも言ってないんだけどさ・・・」と言う寿一に舞は「長田、不倫してる」と言います。

えっ?!マジですか?!

「ラーメン屋のバイト。インスタで匂わせてる」と寿一にインスタを見せました。

キャンプの写真、鬼滅のコスプレの写真など全て長田が映りこんでいます。

「匂わせっていうか」と寿一が言うと「映っちゃってる」と言う舞。

「どうすんだよ?」と聞く寿一に“別れたら許すことになるから別れない”と舞は言いました。

寿一の声:別れたら許すことになる。

 

さくらとの関係がバレた

稽古場。

寿限無の謡で秀生と大州が舞うのを見ている寿一。

寿一の声:ユカは俺と別れてあの薄味薄っぺらボーイと再婚して、もうすぐ子供が生まれる。

寿一のスマホにラインが届き、寿一が見るとさくらから「もうすぐ着くよー♡」とラインが届いています。

寿一の声:俺だって、ちょっとぐらい許されるよな。

さくらから寿一にペンギンが「好き」を表しているスタンプが届き、寿一は喜びました。

寿一の声:スタンプぐらい使っても、許されるよな。

と、世阿弥マシーンのスタンプを選ぶ寿一の後ろを寿三郎が車椅子で通りながら「エロ動画見てっとこ申し訳ないんだけど、柔軟剤変えた?好き」と言い、舞台の方へ向かいます。

「変えてないし、見てねぇ」と呟く寿一。

踊介の法律事務所。

踊介が相談者を送り出し、スマホに続々と届くラインを見ていました。

観山家の稽古場。

ダンベルで腕を寿一が腕を鍛えながら

寿一の声:俺も“じゅじゅ”みたいな特別な呼び方、欲しいな。“じゅごん””じゅーだす”いいや、彼女は世阿弥マシーンのファンだから、“ぜあみ?”“ぜあみーご”。

「世阿弥のセーター!」と寿一の前に座っていた原が言います。

“手編みと世阿弥をかけた。世阿弥のマフラーでもいい”と世阿弥マシーンの復帰戦のパワーワードを考える原。

寿一の声:ケガで欠場した俺の代わりにスーパー多摩自マンがホセと戦ったが・・・

「世阿弥だったら、もうちょっと粘りましたよね」とプロレス誌の“多摩自マン完敗!”の記事を原は示しました。

そんな原に“ラインのやめ時”について寿一は語ります。

「女っすか?」と聞く原にニヤけた寿一に踊介からテレビ電話が入り、踊介は“俺に隠してることあるよな?”と怒っていました。

「え?え?」と言う寿一の横で「とぼけるな!!」と踊介が怒鳴ります。

「さくらと付き合ってんのか?どうなんだよ」と履いてきてしまった靴を脱ぐ踊介。

どんだけ怒ってるんですか、踊介さん、気持ちは分かりますけど・・・。

「父さんは?」と聞き、原が「寿限無さんとリハビリに」と答え、「なら、続ける」と踊介は「俺のところにな。兄貴の間違いスタンプが届いてる、「連日だ!気になって、仕事も手につかん!!」とスマホを寿一に突きつける踊介。

スマホの画面には世阿弥マシーンの浮かれてスタンプが並んでいました。

寿一が自分がスタンプを送った相手を確認すると「ようすけ」。

なんて初歩的な間違い!!

「ぜあ!」と叫ぶ寿一に“届いた曜日と時間を分析したら、さくらが観山家に来ない土日は一日中、それ以外はさくらが帰宅した8時以降に集中している。しかも、さくらも世阿弥マシーンのスタンプを愛用している”と言い、「いつからだ?」と踊介は聞きます。

「すまん」と言う寿一に「謝るってことは、アメリカなら非を認めるってことなんだ」と踊介が言い、いつの間にか来ていたさくらが「プロポーズしていただきました」と言いました。

踊介は、唖然としてさくらを見、恐ろしい形相で寿一を睨みます。

「させていただきました」と小さく答える寿一に踊介は「マジか?」と言い、「ごめんなさい、踊介さん。いつか話さなきゃと思ってたんですけど、なんか、勘違いのスピードが速くて追いつけなくて・・・」と言うさくら。

「勘違いの・・・スピード違反?」と踊介は自嘲し、「うまいこと言うね」と言い、「踊介さん」と近づくさくらに「寄るな!触るな!この・・・・・・女!」と言い残して踊介は飛び出していきます。

寿一の声:「な」で韻を踏んで、踊介は出ていった。それっきり、家に寄り付かなくなった。

一家離散

観山家の居間。

厳しい表情で俯く舞。

寿一の声:そして舞も・・・。

舞が「まず、みんなが気になってること、代表して言うわ。誰だてめぇ?!」と長田の横にいる女性に聞き、女性は「ですよね~」と言いました。

“新大久保店のホール担当の背脂ちゃん”と紹介し、“コロナの時短要請による、従業員へのメンタルケアだ”と言い訳をする長田ですが、背脂(ゆめっち)は「お小遣いいただいて~」と言います。

長田は“違う。違う”と言いますが、舞は冷静に“自分が家のことや大州のことで参っていたのを知っていたよね?仕事で忙しい忙しいと言って”と言い、「コロナで」と言う長田に「なんでもかんでもコロナのせいにしてるんじゃないよ!!」と怒鳴りました。

そして、長田を庇う寿三郎にも舞は「あんたのことも許した訳じゃないからね」と言い、“諦めただけで、子供の頃から寿三郎が浮気する度に舞の部屋で泣いていた母のことを思うと一生、許せない”“舞の初恋の相手・寿限無とのことも母に全力で反対された”と言い、

え~。寿限無さんと舞さんにそんな秘話が!

「この家に女で生まれ、女でいるのがどんだけしんどいか!」と、生まれた時から数に入れてもらえなかっった自分は息子に期待するしかないと語ります。

背脂を帰そうとする長田に舞が切れ、寿一が取り合えず寿三郎に舞に謝らせようとしますが、舞は「結構です!どうせ忘れちゃうんでしょ」と言い、背脂の頭をピシャっと叩いて出ていきました。

寿一の声:舞もこの日を最後に寄り付かなくなった。

観山家の風呂場。

寿三郎の入浴の準備をしている寿限無。

寿一の声:そして、寿限無まで・・・。

「親父!寿一ちゃん、風呂沸いたよ」と風呂場から声を掛ける寿限無。

寿一は車椅子でベッドで寝ている寿三郎の元へ行き、「親父、起きろよ。風呂だってよ」と声を掛けます。

「いい」「いいって。最後に入ったのいつだよ?」「俺、お前のケガ治るまで風呂入らない」「は?」「寿限無と入るの嫌なんだよ」「なんで?」「なんか違うんだよ」「なんかってなんだよ?」「なんか身を任せられないっつうか、早く出たくなっちゃうんだよ」

と言う会話を廊下で寿限無が聞いています。

「それはさ、後ろめたいんじゃないの?」と言う寿一に「そんなんじゃないよ。俺はやっぱ寿一がいい。寿限無はなんかちが・・・」と寿限無がいることに気付く寿三郎。

「ふざけんなよ。こっちだってやりたくてやってねぇよ!クソ!!」とスポンジを投げつけて部屋に戻る寿限無を追い掛ける寿一。

不自由な足で階段を上り、寿限無と対峙した寿一に寿限無は“なんか違うのは分かっている。俺じゃないのは分かっている。大きな舞台でも「俺じゃない」と思いながら舞って一度も楽しくなかった。出来て当然、やってもらって当然だと寿三郎は思っている。こっちの気持なんか考えてない!”と言い、荷物を持って出ていこうしますが、寿一が押しとどめました。

「ほんっとそうだよな。それ言おうぜ。お前がそういう風に思ってるんだったら。自分の口で。お前が言わなかったら、なんも変わんねぇぞ。お前、弟子じゃなくて息子じゃん。だったら、今だよ。なっ、ほら」と寿限無を連れて行こうとする寿一を寿限無が“うるっさいな”と振りほどくと、寿一は階段を転げ落ちてしまいます。

「寿一ちゃん!」と寿限無が心配して途中まで階段を駆け下りたところへ寿三郎が泣きながらやって来ました。

痛がる寿一と涙でぐしゃぐしゃの顔で「なんだよ」と寿限無を見上げる寿三郎。

なんで「ごめん」って言えないかな~、寿三郎さん。

寿限無は「長い間、お世話になりました」とお辞儀をして出ていきます。

寿一の声:寿限無も去っていき、俺は更に一か月の安静を言い渡された。

観山家。

寿三郎の車椅子に続き、車椅子で廊下を移動する寿一に寿三郎が葬儀の段取りを話していました。

寿一の声:広い屋敷に、車椅子の親子が二人きり。暇を持て余した俺たちは、エンディングノート作りを再開した。

稽古場に辿り着く、寿三郎と寿一。

寿三郎は葬儀は華やかにして欲しいと言い、「遺影はどうしようかな?」と言うと、寿一が「この前、ハワイアンで撮ったろ?」と言います。

細々と打ち合わせをしていると玄関から「こんにちは~。さくらです~」と声がしました。

「さくらちゃんだ」と嬉しそうに玄関に向かい、久々の再会に喜ぶ寿三郎と寿一に末広(荒川良々)が“さくらは介護職員初任者の資格試験で忙しかった”と言い、さくらは免状を見せ「一緒にお風呂、入れます」と言います。

お風呂場。

寿三郎の髪を洗うさくら。

大喜びの寿三郎にさくらも弾ける笑顔を見せました。

“寿一が車椅子で風呂に入れなかったけど、仕方ない”と言う寿三郎に“言ってくれたらいいのに”とさくらが言うと“寿一は人に甘えるのが下手!”と寿三郎は言います。

居間。

 

ビデオメッセージ

末広が寿一に、寿三郎のグループホームへの入所を勧めていました。

説明を聞き「どうしても預けなきゃダメですか?なんとか在宅介護で」と言う寿一に末広は「出来てないじゃん。(溜まった洗濯物や洗い物が映ります)はっきり言いますけど、ここにいても今より良くはなりませんよ。罪悪感、持たなくていいんです。まず、介護する観山さん自身の日常を立て直す為にも、難しく考えず一度、預けてみませんか?」と言います。

「でも、どうせ拒否られるの目に見えてるし・・・」「そこは説得。持っていき方ですよ。シルバーカーだって使ってるじゃないですか?」

その時、寿三郎がご機嫌で風呂から戻ってきました。

「親父・・・あのさ・・・ビデオメッセージ撮ろうか?」と言う寿一。

稽古場。

舞台の前にスタンバイした寿三郎にカメラの前の寿一が「回りましたー」と声を掛けます。

「ご参列の皆さま。観山流27世宗家、観山寿三郎にございます。」

寿一が「硬い、硬い!」と言い、

「ああ、硬い?硬い・・・。じゃあ、さくらちゃん、ちょっといいですか?」

と寿三郎が横にさくらを呼び、寿一がカメラ位置を調整しました。

「さくらちゃんです。(“さくらです”とさくらが言います)私、観山寿三郎は、さくらちゃんがいてくれたお陰で、笑って・・・最期・・・(と泣き出す寿三郎)」

「泣くな、泣くな、泣くなよ、親父」と声を掛ける寿一。

「はい、はい。最期を笑って迎えられそうです。・・・迎えられました、か?(“どっちでもいいよ”と言う寿一)私が死んで、清々したっていう方々は地獄に堕ちるでしょうから、まぁ、ほっといて。皆さん、一足先に天国で待ってまーす!」

と寿三郎がカメラに手を振っていると、玄関から秀生の「おじいちゃん!」と呼ぶ声が聞こえます。

「そうだ、今日、秀生が来る日だ!」と喜んでさくらと玄関に向かう寿三郎。

舞台の映るカメラを見つめる寿一。

玄関。

挨拶をするユカ(平岩紙)に「どうぞどうぞ、寿一いますから」と寿三郎は言い、「おい、寿一、別れたかみさんが来てるぞ~!」と寿一を呼びます。

「ああ」と寿一の声がして“泊っていいか?”と秀生が聞き“勿論だよ”と寿三郎が答えている処へ寿一が現れました。

稽古場。

「隅田川」の謡の稽古をする秀生と寿一と稽古をつける寿三郎。

居間。

向かい合うさくらとユカ。

さくらがユカに「元々ファンだったんですよね?」と聞き、ユカは“そうそう。大阪城ホールでプロポーズされたのが一生の自慢”と言います。

「私もファンなんです。・・・見てるとこっちまで元気になりますよね」とさくらが言うとユカは同意し、「勝ったら自分たちの分まで喜んでくれて、負けたら自分たちの分まで悔しがってくれる、気持ちの良い男のファンでいる時が一番楽しかった。・・・けど、自分がない”とユカは言いました。

稽古場。

寿一が面をつけています。

居間。

ユカが“能のお面と一緒で相手の感情によってどうにでも見える・・・自分がない”と言い、さくらが「それは空っぽってことですか?」と聞くとユカは“空っぽというよりスケスケ。与えてはくれるけど、受け取ってくれない”と言い、さくらは「妖精みたいですね」と言いました。

ユカは“うまいこと言う!”と喜び、“そこにいるけど触れない”と言いますが、さくらは「私は、結婚してもファンのままでいます。・・・私にとって彼はスカイツリーなんです」と言うとユカは「今、なんて?」と聞きます。

それはユカさんも驚きますよね、いきなりの結婚宣言。

稽古場。

絵を見せて、秀生とユカに隅田川の説明をする寿三郎。

舞台。

「隅田川」を演じる寿一と秀生。

微笑んで秀生を見守るユカと廊下から謡う寿三郎を見つめるさくら。

すると、寿三郎の謡が止まりました。

「あれ?・・・久しぶりだから、ど忘れしちゃったよ・・・」と謡直す寿三郎。

寿一の声:親父が謡を忘れたことなど、今まで一度もなかった。野菜や動物の名前は言えなくとも、3歳から欠かさず稽古した能の謡を忘れるなんて・・・。

寿三郎はやはり謡の続きを思い出せません。

寿一の声:俺の家ではあってはならないことだ。

寿一が「親父、どうした?しっかりしろよ」と言い、さくらが「寿一さん」と声を掛けます。

“分かってんだよ、分かってんだよ・・・”と寿三郎は繰り返し、秀生が寿三郎に駆け寄り、“南無阿弥陀仏からやろうか?”と本を渡しました。

寿三郎は「いや、大丈夫、大丈夫だ」と言いますが、秀生は「な~む~あ~み~だ~」と謡だし、そこへ来た寿一が「もういい。俺がやるよ」と秀生から本を受け取ろうとすると、寿三郎は

「やらせないよ、お前なんかに。継がせないよ、お前なんぞに。はなから当てになんかしてないんだよ、お前には。自惚れなさんなよ。一度逃げ出した奴は、何度でも逃げ出す。私の跡はね、この秀生にとらせる。だから、秀生が一人前になるまで、私は、ボケてなんていらんないんだよ」と言います。

相当にショックですよね、寿三郎さん。

 

寿一の告白

寿一の声:その夜、事件が起こった。

観山家。

居間と寿三郎の寝室。

寿一が松葉づえで「親父!親父!」と寿三郎を探していました。

秀生も「おじいちゃん!おじいちゃん!」と家中を探し回ります。

観山家の前。

寿一と秀生にさくらが駆け寄り「車椅子は?」と聞き、寿一は「ない。ったく、何処行ったんだよ」と言いました。

さくらが「携帯は?」と聞き、秀生が「電話掛けてるけど出ない」と答えると、さくらは寿一から携帯を受け取り「GPS」と言います。

タクシーで末広が到着し、「落ち着いてください、観山さん。これまで徘徊ってありましたっけ?」と聞き、寿一は「徘徊?」と言い、さくらは末広が乗ってきたタクシーの運転手に「隅田川までお願いします」と言いました。

「隅田川?」と言う寿一にさくらは隅田川沿いで点滅している寿三郎のGPSを見せます。

流石!さくらさん!

隅田川沿いの空地。

寿三郎が隅田川に向かって、寿一の動画を見ていました。

動画の寿一は「親父、あんたがボケる前にどうしても言っておきたいことがある。・・・あんたも忘れっぽいし、俺も何度も言いたくねぇから、こういう形で残させてくれ。・・・あんたには・・・感謝しかねぇよ。生んでくれてありがとう」

寿三郎は「俺は生んでねぇよ」と言い、

動画の寿一は「ああ、生んでねぇか。ごめん・・・あのさ。俺、(“おーい、寿一”と寿一を呼ぶ寿三郎の声が聞こえます)ああ!・・・俺、さくらと結婚しようと思う」

寿三郎は顔をあげ「おお・・・」と言い、天を仰ぎます。

そこへさくらが「じゅじゅ」と駆け寄り、「寒いでしょ?」と自分のマフラーを寿三郎に巻きました。

「いやねぇ、隅田川見てたらねぇ、思い出すんじゃねぇかなぁと思ってさ。来ちゃったんだ」と笑う寿三郎。

土手の上から見守る寿一、秀生、末広。

末広が「観山さん、やっぱりお父さん・・・」と言い、溜息をついて天を仰いだ寿一が背後のスカイツリーに気付き「でっけぇな~」と見上げます。

寿三郎が謡い始め、忘れていた箇所もスラスラと謡いました。

秀生が「思い出した!おじいちゃん、思い出したよ!」と喜び、寿一は秀生を寿三郎の元へ行かせます。

観山家。

居間。

寿一と寿三郎だけの食卓。

いつもの様に大声で「いいだきます!」と言い、食べ始める寿一。

寿三郎も「いただきます」と食べ始めますが、箸で梅干をつかむことが出来ません。

寿一はさり気なく、スプーンの入った湯呑を寿三郎のテーブルに置きます。

寿三郎の納豆を混ぜながら「なぁ、親父。飯食ったらさ。ちょっと出掛けよう」と寿一が言い、「どこへ?」と聞く寿三郎に「あの、末広さんとこのグループホーム。なんかシェアハウスみたいなとこで、共同生活するんだって。楽しそうだろ?」と言う寿一の話を聞きながら、グループホームのパンフレットを見る寿三郎。

「ちょうど一人、空きが出たんだって」と言い“夜には短歌だか俳句だかの発表会もあるから、泊まりたければ泊まればいいし、途中で帰りたければ帰ってくればいい”と寿一は言いました。

「嫌だったら、別にいいけど」と寿一がパンフレットを見ている寿三郎に言うと、「いや、そうだね。行ってみっかな」と寿三郎が言い、「嫌なら断るけど・・・」という寿一に寿三郎は「行くよ。行って欲しいんだろ?」と言います。

寿一は「いいよ、行かなくて」と言いますが、寿三郎は「行くよ。お前と二人っきりよりゃ、マシだよ」と言い、寿一は「じゃあ、行けよ!なんだよ、めんどくせぇな!」と文句を言いながら、寿三郎のご飯に納豆をかけました。

わざと憎まれ口を聞いたんですね、寿三郎さん。

グループホーム「照る照るハウス」。

松葉杖の寿一と車椅子の寿三郎が折り紙をする入居者たちを見ています。

「近かったでしょ?」と末広が来て、「ここなら様子見に来れそうです」と寿一が言い、末広が寿三郎に「直ぐに慣れると思いますよ(と、寿三郎の荷物を持ち)一緒に生活するお仲間を紹介しますね。今、ちょうど、お菓子作りやってるから」と歩き出し、寿三郎は寿一に「じゃあな」と手を挙げました。

入所出来ることになったんですね。

末広と施設の奥へと進む寿三郎を寿一は「親父!」と呼び戻し、「なんだよ」と言う寿三郎の手にエッチなトランプを渡します。

「オー、マイ・ガー」と寿三郎は笑い、寿一は泣き出し、黙って手を挙げて出口へ向かいました。

見送る寿三郎を寿一が振り返ると、寿三郎は拳を振り上げ「ブリザード!!」と叫びます。

寿一も拳を挙げて応え、「早く行けよ」と言って、寿三郎に背を向けました。

それでも寿一を見送り続ける寿三郎。

寿一の脳裏に幼いころからの父との思い出が蘇り、「もういいよ・・・早く行けよ・・・」と呟いた寿一は歩きながら号泣します。

今は辛いですが、家族にとっても、本人にとっても良い選択だったと思います。

元妻の出産に立ち会う!?

観山家。

居間。

ハワイアンズでの家族写真をぼんやりと見つめる寿一。

「観山さん、観山さん」とリモート会議の画面から早川(前原滉)が呼びかけました。

リモートの画面には、寿一、ユカ、早川、玉川(峯村リエ)、踊介。

踊介が「ちょ、兄貴!!」と言い、“すみません”と寿一が言います。

“こちらの主張をまとめた書類に目を通して貰えたか?”と聞く玉川に寿一は「あ、すいません。途中で寝落ちしちゃって・・・」と答えていると、ユカの様子がおかしくなり、椅子からずり落ちてしまいました。

「なんでやねん、予定日まだやのに」と言うユカの声が聞こえ、寿一が早川に直ぐに家に帰るように言いますが、早川は出張で京都にいます。

本当に肝心の時に役に立たない早川さん。

病院。

寿一が足を引き摺りながら駆けつけ、「ユカちゃんは?」と看護師に行くと“今、分娩台にあがったので、早く!”と寿一は看護衣をつけて分娩室に入りました。

ユカは寿一は見て、怯え、手を握ろうとする寿一を拒み「夫ちゃいます。別れた夫です~」と言います。

「何やってんのよ、あんた!!出てって!!」と分娩室を叩き出される寿一。

その時、産声があがりました。

寿一の声:秀生に妹が生まれた。俺は危うく別れた妻の出産に立ち会うところだった。

今回はたくさん大きな動きがありましたね。

ありすぎて、感情の処理が追いつかないほどです。

でも、踊介さんは仕事とは言え、親権問題には引き続き関わってくれている様で少し安心しました。

予告編では来週はバラバラになった観山家が再結集されそうです。

最終回でどこに着地するのか?

回数が進めば進むほど読めなくなる宮藤官九郎ワールドですよね~。

俺の家の話8話ネタバレあらすじ!お家騒動勃発と父危篤

寿限無が帰ってきた

観山家。

2021年12月。

稽古場の舞台。

寿一(長瀬智也)が舞っています。

寿一の声:俺の家から踊介(永山絢斗)が去り、舞(江口のり子)が去り、寿限無(桐谷健太)が去った。そして、親父も・・・。広い屋敷でただ一人、俺は半年間、ひたすら稽古に励み、極限まで自分を追い込んで・・・。

さくら(戸田恵梨香)が「寿一さん」と来て「はい」と鋭い目でさくらを見る寿一。

「もう、殺気」とさくらが言い、寿一は「あ、あ、あ、すみません」と自分の頬を叩きました。

「ご飯できましたよ」と可愛く言うさくらににやけた寿一にさくらが手を差し伸べ、手を取った寿一は♪手に手を取り~・・・♪と謡いながら、さくらと稽古場を後にします。

ちょっと新婚風味の二人です。

居間。

さくらと寿一が食卓を挟んで向かい合い「いただきます!」と言い、食事を始めました。

能の本を見ながら真剣な顔で食事をする寿一にさくらが必死に話し掛け、「はい?」と殺気を放つ寿一に野菜炒めを指差し、“これ、味ついてるから”と言います。

「ああ、分かりました」と言いながら、野菜炒めに醤油をかけ「旨っ!」と言う寿一に引きながら「良かった」と言うさくら。

数日後。

観山家の前。

タクシーが止まり、タクシーの中では長州のバックで大州(道枝駿佑)が踊っているCMが流れています。

タクシーから寿限無が降りて、観山家を見つめると、門から満面の笑みで寿一が駆け出てきました。

「え?誰だと思った?」と聞く寿限無に「え?・・・何?」と言う寿一。

「ごめんください、か、ただいまか迷っちゃって」と言う寿限無に「おかえり」と寿一が言い、寿一はホウキを、寿限無はバッグを投げ出して、固く抱き合います。

観山家の玄関。

寿限無を秀生(羽村仁成)が「おじさん、おかえりなさい」と出迎え、「いってきます」とどこかへ出掛けていきました。

寿一がユカの所は小さい子がいて大変だから、今、秀生と暮らしていると言います。

「親父は?」と聞く寿限無に寿一は「会う?」と聞き、「ああ、そうね」と言う寿限無。

居間と寿三郎の寝室。

居間と寿三郎の寝室の間の襖を開け“半年間、何処にいたのか?」と聞きました。

寿限無は“最初の頃は介護士の資格を取ろうとしたが挫折し、16で養子に入ってから家を出ずに能しかやってこなかった自分には、やはり能しかない。俺の家はここで、俺はここの子だって”と言い、寿一を見ると寿一は世阿弥マシーンの扮装をしています。

驚く寿限無に寿一は「じゃ、行こうか」と言いました。

照る照るハウス。

大広間。

さんたまプロレスの慰問会の司会をする末広(荒川良々)。

呼びこまれて、堀(三宅弘城)、長州、スーパー多摩自マン(勝村周一郎)、プリティ原(井之脇海)、スーパー世阿弥マシーン、寿限無が入ってきます。

堀の声掛けに拍手をする寿三郎を見て「親父・・・」と言う寿限無に寿一は“親父は俺をスーパー世阿弥マシーンだと思っているから”と寿一が囁きました。

「肝っ玉、シコタマ、さんたま!」の掛け声と共に長州、多摩自マン、プリティが次々と利用者を持ち上げていきます。

寿一(スーパー世阿弥マシーン)の番になり、寿一は真っ直ぐに寿三郎の元へ向かい、掛け声と共に寿三郎を持ち上げ、嬉しそうに笑い「ありがとう、ありがとう」と言い、「早く良くなってくださいね」と言う寿一(スーパー世阿弥マシーン)に

「あなたもね、ご家族を大切になさってくださいね。いつもでも頑張ってください。応援してます」と言う寿三郎。

スーパー世阿弥マシーンのファンなんです、寿三郎さんは・・・。

 

さくらと寿一の関係

観山家の前。

さんたまプロレスの車から降りた寿限無と寿一。

“プロレス続けてなんて、全然気が付かなかった”と言う寿限無に「元々、家族旅行の資金を稼ぐ為だったんだ。・・・やめらんなかったよ。すまん、寿限無」と言う寿一に寿限無は「ううん。そういえば、さくらさんは?」と聞きました。

「出てった」と寿一が言い、寿限無は「えっ?!」と驚きます。

2週間前。

寿一の部屋。

寿一が眠っている処にさくらが「お風呂いただきました~」と言いながら入ってきました。

背を向けている寿一の布団と自分の布団をつけ、寿一の肩にそっと触れ、「ねぇ、寿一さん」と言うと、寿一は全力で振り向き「はい!なんすか?」と答えます。

公園。

ユカ(平岩紙)とベンチに座るさくらが「て、なんすか?殺気っていうかもう普通に感じ悪いですよね?!」と言い、ユカは「ごめんね・・・私が謝ることちゃうけど」と言い、さくらは「心ここに在らずっていうか、ほぼ埋まってる、ハードディスクが能とプロレスで。私なんて2Gですよ2G!」と言い、ユカが「分かるわ~」と言いました。

寿一の部屋。

布団の上でさくらと向かい合う寿一。

「やってやれないこともないけど」と寿一は怪しげな手つきをし、「いや、やっぱり俺んちじゃ無理です。なんか、そういう気分にならない」と言います。

さくらが「私も、どうしてもそうなりたいって訳じゃないけど、でもなんか、なきゃないで気になりません?二人きりだし」と聞き、「ですよね。手を出さないなんて失礼ですよね」と寿一は言い、頷くさくらの肩を抱き、さくらは目を閉じますが、寿一は

「いや、でも、これじゃまるで俺がさくらさんとSEXする為に、親父をホームに入れたみたいじゃないすか?」と言いました。

公園のベンチ。

さくらが「そうだけどさ!言い方ってもんがあるでしょうが!」と言い、「あ、ごめん、ほんまに堪忍やわ。じゃ、もう、会ってないの?」と聞くユカに「施設では顔合わせるけど、家には行ってないです」と答えるさくら。

「お父さん看取るまでは無理かもね」と言うユカにさくらが「いや~、どうかな~、看取ったら看取ったで~」と言うと、ユカが寿一の声で「さくらさんとSEXする為に親父を殺したみたいじゃないですか?」と言います。

「言いそう!絶対言う!!」とさくらが言い、「結局2Gやねん。2Gしか空いてへん」とユカが言い、さくらは早川(前原滉)が抱いているユカの赤ん坊を見て「可愛いですね~」と言いました。

ユカは“早川が1年間の育児休暇を取ってくれて、育児も家事も全部、早川がやってくれている”と言い、早川は「好きなんだよ、家事。仕事は誰か代わりがいるけど、ユカちゃんのパートナー、僕しかいないしね」と言います。

「私、無理。・・・なんだろう、無理。これはこれで無理。今の時代にはあってるんだろうけど無理。意識高いんだろうけど無理。感覚的に無理。よその旦那さんなら最高だけど、自分の旦那には無理」と言うさくらにユカは「何回、無理っていうの?」と言い、

「え?ずっと家にいるんですか、働かないで。いや、無理~。落ち着かない。2Gで十分、むしろ2Gがいい。ごめんなさい」とその場を去るさくら。

盛大なる自己完結ですね、さくらさん(笑)。

照る照るハウス。

温かい観山家に戻してください!

寿一に“寿三郎がすっかり人気者”だと話す末広。

「最近、徘徊は?」と聞く寿一にさくらが“徘徊はないが、食が細くなった”と言いました。

観山家の居間。

タブレットに食堂で夕食を前にしている寿三郎とさくらが映っています。

寿三郎が「今日の夕飯は麻婆茄子で~す!」と料理を見せ、寿限無が「うちも麻婆茄子で~す!偶然」と言い寿一とカメラに料理を見せました。

「こっちの方が断然、旨そうで~す!」と言う寿三郎に「分かんねぇじゃねぇか、食ってみなきゃ。食うぞ!」と寿一が言い、さくらが録画を回し、寿一が元気に「行くぞ、親父!いただきます!」と言います。

寿一の声:たまにこうやって、一緒に飯を食うことにした。

寿一が「どうだ、親父、うめぇか?」と聞き、「うめぇ!」と答える寿三郎。

リモートのとても素敵な利用法ですね♪

喫茶店。

踊介に“照る照るハウス」にいる寿三郎の写真を見せる雑誌記者。

「お父様で間違いありませんね?」と聞く記者に、踊介は「・・・そうっすね」と答え、記者は「ここ、認知症専門のホームなんです。いつ入居されたんです?」と質問し、踊介は「ああ・・・(と、記者の名刺を見て)え?載るんですか?」と聞きます。

観山家の稽古場。

舞台。

寿限無の謡に合わせて、秀生と舞う寿一。

寿一の声:新春能楽会で俺は初めて「隅田川」を舞うことになった。

寿一の静止の動きを見た寿限無が「ちょっと掴んだんじゃない?」と声を掛けると寿一は溜息をつき「そうかなぁ」と言います。

寿一の声:油断すると決まって、あの言葉が蘇り・・・。

稽古場の入り口に立つ幻の寿三郎が「やらせるか!お前なんかに」と言いました。

寿一の声:親父の亡霊が現れる。

「どうしたの?」と寿限無が聞き、改めて寿一が稽古場の入り口を見ると、寿三郎の幻は消えています。

寿限無が“もう一回やろうか」と言い、

寿一の声:あれは、本心だったのか?(「継がせないよ、お前などに」と言った寿三郎を思い返し)教えてくれ、親父。

さんたまプロレス 事務所。

堀が“2021年12月31日・スーパー世阿弥マシーンVSホセ・カルロス・ゴンザレス・サンホセJr”のチラシを寿一に見せ、長州が「今度はアキレス腱を切るんじゃねぇぞ、寿」と言います。

寿一の声:まただ。芸の道に進もうとするとプロレスが横やりをいれてくる。

観山家。

寿一の部屋。

寿一の声年末のタイトルマッチ。年始の隅田川。能か、プロレスか。いよいよ、決断の時が・・・。

と隅田川の本とタイトルマッチのチラシをテーブルに並べて考える寿一にやって来たさくらが「能も、プロレスもじゃダメなんですか?」と聞くと、「はい?」と殺気を飛ばす寿一。

自分で気付き「あ、さくらさん」と笑顔で繕おうとする寿一にさくらは「いらして。お話があります」と踵を返していきました。

居間。

ハワイアンズでの家族写真を寿一の前に置き、「私の好きな寿一さんは、こういう顔をしています。でも近頃、すっかり変わってしまった。なんか深刻ぶって、殺気だって」と怒りの形相の能面を出し「こんな感じ。近寄りがたい」と言います。

寿一の声:(能面を手に取り)こんな顔。したくても出来ない。

“自分の生い立ちについて話したのを覚えているか?”とさくらが聞き、寿一は「ああ、はい。すげぇ育ちが悪いっていう」と答え、さくらは「・・・言い方」と言いました。

さくらは“介護の現場で金持ちが遺産相続でもめているのを見て、つくづく貧乏で良かったと思った。金持ちだけど冷たい家か、貧乏だけど温かい家。この2種類しかこの世にはなんだとと思っていたが、観山家は金持ちで温かい家だった”と言います。

「今、どうですか、この家。寿一さんしかいない。私は家族に囲まれて笑ってる寿一さんが好きでした。丁度良かった、私には。一人の人間として見たらそこまで。・・・みなさんを呼び戻してください。金持ちで温かい観山家に戻してください!」と言うさくら。

寿一の声:さくらさんの願いは、割と直ぐ叶った。

 

お家騒動勃発

後日。

観山家の居間。

雑誌を読んでいるさくらの元へ陽気な長田(秋山竜次)とうんざり顔の舞が現れます。

長田も買ってきた雑誌には“人間国宝が介護老人ホームへ強制入居?か!”“お家騒動勃発?か!”という記事が載っていました。

「お兄さんは?」と聞く長田にさくらが「なんか分家の当主って人が・・・」と言うと舞が「え?万寿、来てんの?か!」と言います。

稽古場。

寿一と寿限無に向かい合う分家当主・観山万寿(ムロツヨシ)とその後ろに並ぶ門下たち。

“分家の当主が一々本家の問題に口を挟みたくないのだが、寿一が宗家を継ぐことに反対している門弟諸氏から相談を受けてまして・・・”と言う万寿の後ろから“面汚し!”“バカ息子!”と寿一を罵る門下たち。

万寿は目の前の小机に広げられた雑誌を見ながら“元プロレスラーの放蕩息子・寿一が遺産目当てで今年から父の介護を始めた”と謡います。

居間。

長田、舞、さくらが“観山家問題”を取り上げるワイドショーを観ていました。

司会者の「総資産6億」の言葉に3人は口を揃えて「ない、ない、ない」と言います。

話題が“スーパー世阿弥マシーン”が寿一では?という話になり、唐突にテレビを切るさくら。

稽古場。

なんと・・・ムロツヨシさんの登場です。

「よりによって能楽の神、世阿弥を語るとは・・・。やっちゃったね、寿一氏。これ、破門。永久追放ですよ」と万寿が言い、寿一は「私じゃありませんよ。何かの間違いだろ」と言い、万寿は「分家の当主が一々口を挟みたくないが、次期宗家の座を辞退するしかないでしょうね。それが嫌なら・・・新たな観山流を作るしかないでしょう。正当な世継ぎを立てて」と言いました。

「正当な世継ぎ?」と言う寿限無。

万寿と門下が道を開けると、着物姿の踊介が座っています。

「踊介・・・」と寿一が言い、「なんかそういうことに・・・」と言う踊介に寿限無と舞が「いやいやいやいや」と言いますが、万寿は“踊介に新観山流を代表して新春能楽会で自分が稽古をつけて舞ってもらう”と言い、演目は土蜘蛛と言う踊介に舞が、

「だろうね。・・・出ちゃってんのよ、手から、蜘蛛の巣が一本」と言い、慌てて大騒ぎする踊介に万寿が「もう結構です、坊ちゃん。お座りください・・・座れ!」と言いました。

“自分が新春の会を仕切るというのはどうか?”と言い万寿に寿限無が「それには及びません。寿一さんが「隅田川」を舞います」と言います。

「隅田川?!!あれは、母と子の悲劇ですよ。あなたが舞ったらコメディだ。人間国宝も所詮は親ばかってことですか?」と言う万寿と“バカ息子!”と叫ぶ門下に寿一は「バカ息子しかいねぇよ!!」と怒鳴りました。

「うちにはもうバカ息子とバカ娘しかいない。・・・だが、それを言っていいのは、親父だけだ。あんたらに言われる筋合いはない」と言う寿一に「そういうことでしたら、分家の当主はお暇しましょう。帰るよ」と席を立ち、門下を引き連れて帰っていきます。

おどおどと後に続こうとする踊介に寿一は「踊介」と声を掛けて歩み寄り、「忙しいのは分かるんだけどな。たまには、親父の顔、見に行ってやってくれ」と言い、舞を見て「舞も」と言うと、舞は「はいはい、分かってますよ」と言って去りました。

踊介も去り、寿一はさくらに「年末から年明けにかけて、殺気を放つかもしれないので、適度なディスタンスを保ってください」と言い、さくらは「はい」と言います。

さんたまプロレスのリングで筋トレをする寿一と稽古場で鍛錬を積む寿一が交互に映ります。

寿三郎の本音

観山家の稽古場。

舞台。

気配を感じた寿一が「黙ってないで教えてくれよ。なんで、俺じゃねぇんだよ?俺じゃねぇんだろ?お前じゃねぇって言ってくれよ、そしたら、俺、直ぐに辞めるから」と言いながら稽古場の入り口に立つ寿三郎に近づきました。

「家、家・・・継ぐをもって家とする。その家の芸をきちんと継承することによって、その家は続くのである」と言う寿三郎に「具体的に言ってくれよ!・・・どうしたら、芸を継承出来るんだ?」と寿一は聞きます。

すると、寿三郎は「さくらちゃんと別れなさい。あの女は観山家に災いをもたらす。今直ぐ、別れなさい」と言い、寿一は寿三郎の足元の照る照るハウスのスリッパに気付きました。

「あんた、亡霊じゃねぇな。(と、廊下のシルバーカーを見つけ)ほら、徘徊だ」と言う寿一。

世阿弥を謡う寿三郎に「世阿弥で誤魔化してんじゃねぇ」と言いながら寿一がスマホを見ると、末広からガンガンにラインが入っていました。

“照る照るハウスの連中は孫と薬の話しかしなくてつまらない”と寿三郎は「ちょっと休ませて」と稽古場に座ります。

「なぁ、寿一」と寿一に“隅田川”を作る際に世阿弥と世阿弥の息子の間で息子の亡霊を出すか出さないかで話し合いになったと話し出しました。

息子は「出なかったら分からない」と言い、世阿弥は「役者の力で亡霊を客の前に浮き上がらせるのだ。それが能だ」と言ったと語る寿三郎。

寿一は「俺が息子だったら出てくるよ。だって、会いてぇもん。出るなって言っても出てくるよ」と言い、寿三郎は笑って「そうかぁ、お前だったら出てきちゃうか」と言いました。

「ああ、そうか、そうか」と寿三郎が横になった処に、末広とさくらが駆け付けます。

末広が「さぁ、帰りましょう!」と声を掛けると、回らない口で「いや、帰らない」と寿三郎がいい、“呂律がおかしくないか?”とさくらが言い、「親父、何言ってんだ、行くぞ」と寿一が寿三郎を起こそうとすると、末広が「動かさないで!」と言いました。

 

父危篤

寿三郎の寝室。

寿三郎がベッドで機械を着けられ、点滴を受けています。

主治医が付いていて、寿限無が駆け付けました。

主治医が「血栓を溶かす薬です。早く連絡貰って良かったですよ。脳梗塞発症から時間が経つと効かないんです」と言います。

脳梗塞?!

寿一が「病院は行かなくていいんですか?」と聞くと、寿三郎が何か言いました。

さくらが「じゅじゅ、なに?」と聞き「・・・ここが良いって」と言います。

踊介が入ってきて「在宅医療を望んでるんだよ、父さん」と“さぶえんでぃんぐのーと”を寿一に見せました。

さくらが「踊介さんも土日は必ずホームにいらしてたんです」と言い、踊介は「兄貴と違って俺は法人化の手続きとか金の話ばっかだけど」と言います。

踊介の回想シーン。

談話室で踊介の向かいに座った寿三郎が“管いっぱい付けられて、家族にも面会出来ないまま、生かされるぐらいなら、最期は家で家族に囲まれて迎えたい”と言いました。

寿三郎の寝室で「最期は家族に囲まれて迎えたい。人気者で死にたいって・・・あ、いや、人気者でっていうのは、俺の解釈だけど、そう言ってた」と言う踊介に「なんだよ。ちゃんとやることやってんじゃん」と言う寿限無。

「それを言ったら」と末広が舞を廊下から連れてきて「舞さんだって」と言い、“大州がホットミールを届けに来てくれた”と言います。

照る照るハウスで大州が慣れない手つきでラーメンの湯切りをしている姿が映ります。

舞は「ごめんね。私も会いに行きたかったんだけど、随分、ひどいこと言っちゃったから」と言い、寿一は「なんだよ、てっきり俺だけ大変な思いしてんのかと思った」と言い、「いやいや、実際、兄貴に甘えた部分あったし」と言う踊介。

舞も「ほら、兄貴は父さんと過ごした時間短いから、ちょっとぐらい、任せていいよねって」と言い、寿一は「ありがとう。任せてくれて」と舞の肩に手を置いて言い、「ありがとうな、甘えてくれて」と踊介の肩が抱きました。

寿限無が「すっげぇ良いじゃん!観山家!」と盛り上がると主治医が「そういうの外でやってもらえますか?!!割とシビアなんです、今。在宅だってね、悪いけど管いっぱいつけるし、面会も制限しますから!」と言い、寿一たちは項垂れます。

稽古場。

「何回目だっけ?」と聞く寿限無に「脳梗塞?小さいの入れると3?4?」と答える舞。

「心配だな、心臓の持病もあるし・・・」と言う寿限無に「元々半年だった余命が1年に延びた訳だからな、さくらのお陰で」と踊介が言うと、寿一が“さっきのノート借りんぞ”とノートを取り上げ、寿一の横にいる見知らぬ男性を見て「誰?」と寿限無が聞きました。

「ん?ああ、葬儀屋さん」と寿一が言い、「スイートメモリーズのオニヅカタカキチです」と挨拶をするオニヅカ。

「葬儀屋さん・・・」と呟く寿限無とノートを見て“やっぱりな。葬儀は稽古場で、お別れ会は後日能楽堂でってこっちにも書いてあるわ”と寿一はオニヅカに具体的な要望を告げ始めます。

舞が「兄貴、待って待って。ごめん、感情が追いつかない」と言い、寿限無も「確かに。ちょっと手際が良すぎるかも」と言い、「だって、長男だから」と言う寿一に、舞は「そんなドライな長男やだ!もっと取り乱してよ!若い頃の織田裕二みたいに!」と言いました。

「母ちゃんだって検索してたじゃん、さっき。“葬儀、格安”で」と言う大州に舞は「ネットはありでしょう。呼ぶのはなしでしょう。ヤフー知恵袋まででしょう」と言い、「前の道、霊柩車Uターン出来ますかね?」と寿一に聞くオニヅカに「ちょっと黙ってて!」と言う舞。

“遺言状は?”と言う舞に「それは俺が」と正式な遺言状を出す踊介に寿限無が「流石、顧問弁護士」と言った処へ“寿三郎の心拍数が下がっている”とさくらが言いに来ます。

確かにドライにも見える寿一さんですが、誰かが冷静に準備を進めなければならないんですよね・・・。

寿三郎の寝室。

寿三郎に駆け寄る踊介に主治医が「触らないで。呼びかけて下さい」と言い、「父さん、頑張れ、頑張れよ」と踊介が言い、「宗家、半年もほったらかしてごめん」と寿限無、「お父さん、ほら、大州と長田さん、来てるよ」と舞が言い、

「おじいちゃん」と言う大州と「YO!義理のファザー・・・」とラップで励ます長田に舞が「もういいよ」と言い、「おじいちゃん、高校を卒業したら、お祝いに錦糸町のガールズバー連れてってくれるって約束したじゃん」と言う大州。

「あ、ちょっと持ち直した!」と末広が言い、「ファーザーの鼓動!ガールズバーに反応!次、お兄さんの番」と長田は寿一にマイクの玩具を渡しました。

「やるの?ダイジョブ?」と舞が聞き、寿一はビートを刻み「俺、長男。こいつ、次男。こいつ、長女。寿限無も兄弟。長田も兄弟。みんな、兄弟。イェーイ!・・・心拍数、上がったか?」と聞きます。

別室。

寿三郎の遺言状を前に「これ、開けちゃいけないんですよね?」と聞くさくら。

「いずれ見るんだよ。私、大丈夫。見てないていでもいける」と舞は言いますが、「俺は無理。顔に出ちゃう。だって28世宗家の名前も・・・」と寿限無が言い、「うん。書いてあるでしょうね」と踊介が言いました。

窓際のテーブルでタブレットを操作する寿一に寿限無が「何やってるの?」と聞くと寿一は「遺影の写真加工」と言い、舞が「一々先行くよね~、長男は。ラーメン屋寝てるし」と言うと、長田は「っしゃいませ!」と飛び起きます。

「葬儀屋呼んで、遺影と遺言状、用意して、あとは・・・」と言う踊介に「戒名は?誰かお寺に連絡した?」と聞く寿限無。

寿三郎の寝室。

廊下で待つ寿一と踊介の元に「なんですか?」と来た主治医に寿一が“戒名、決めてなかったんで”と言うと主治医は「無理でしょう、どう見ても。意識ないんだから」と言い、寿一は「ですよね。ていうか(と、寿三郎に付き添う長州に)長州さん?」と歩み寄り、

プリティが堀の横から“たまたま一緒にいて、着いてきちゃって”と詫び、「焼酎2,3杯飲んでるけど大丈夫だよな?」とマスクをずらした長州をみて末広が「あ、長州!」と言い、主治医が「どこ?あ!長州だ!」と言いました。

「今、気付いたんですか?!」と言う堀を廊下に連れだした寿一が「世阿弥マシーンのこと、家族にはくれぐれも・・・」と人差し指を唇に当てた時、舞が「長州力。やだ、本物」と舞が大州と駆け込んで来て「お父さん、起きて」と長州が点滴のチューブを持っていてくれてることを告げます。

長州が寿一に「俺が戒名考えてやろうか?」と言い「ブリザードって何だっけ?」と寿一に聞き、“吹雪ですね。俺じゃなくて親父の・・・”と言う吹雪に「吹雪院親不孝革命居士でどうだ?」と言い、「あ、いいっすね」と寿一が言うと、「じゃあ、俺、帰るわ」と言って長州は帰りました。

それって、寿一向けの戒名では?

その後。

寿三郎の元に駆け付けてきた秀生とユカ。

寿一が「親父、秀生、来てくれたぞ」と言い、秀生が「おじいちゃん、また一緒にお稽古しようよ」と言い、さくらが「そうだよ。じゅじゅ、ほら、言ってたじゃん。秀生くんの“隅田川”見るまで死ねないって」と言うと寿三郎の心拍数が上がりました。

踊介が「父さん、俺の“土蜘蛛”も見てくれよ」と言うと末広が「あ、ダメだ。下がったな」と言います。

「なんでも良いから皆も声かけて」と踊介が言い、寿限無が「宗家。全国のガールズバーの女の子からティック・トックで応援メッセージが届いてます」と言うと寿三郎の心拍数が上がり、

舞が「父さんさ、母さんに天国で会って謝ろうなんて虫のいいこと考えてるかもしんないけど、あんた、行くの地獄だからね。自分のしてきたこと考えてみな。芸の肥しかなんか知らないけど、女と遊びまくって、腹違いの子供までいて、地獄確定だから!それが嫌なら、目、覚まして!!」と言いました。

相変わらずスパルタな舞さん。

「俺は気にしてないから!この家好きだし、能が好きだし、短い間だったけど、ほんとn親子になれて嬉しかったよ。あの時、落とし前つけてくれて、ありがとう!」と言う寿限無。

寿一の声:みんなが言いたいことを言い出した。

踊介は“自分は甘やかされる度、末っ子だから、才能ないからって負のスパイラルに入ってしまったので、もっと厳しくして欲しかった。自分で見切りつけたけど本当はもっと向き合いたかった”と言います。

「俺も後悔してる。おじいちゃん、お能辞めちゃってごめん」と言う大州。

寿一の声:俺は何も思いつかなかった。

寿一が秀生を促し、秀生は「僕、おじいちゃんのお陰で、漢字は書けないけどウロウロしなくなりました。漢字は書けなくても、能楽師になれるかな?なれるよね?おじいちゃんだって、野菜の名前言えないもんね。おじいちゃん」と涙ながらに秀生は語り掛けました。

さくらに促された寿一は「俺はいつも言いたいこと言ってるから」と言い、

寿一の声:どうした、長男。そんな物わかりの良い男だったか?・・・夜が明けて、弟子や幹部が続々とお別れを言いに集まってきた。

稽古場。

再び、門下たちとテーブルを囲む寿一。

寿一の声:離見の見、世阿弥が残した役者の心得。「自分自身を離れたところから見る目を持ちなさい」。親父の席に座っている自分を客観的に見てみた。

着物姿で上座に座る寿一をトレーナー姿で廊下から見つめる寿一が腕組みをして「なんか違うなぁ」と言いました。

寿一の声:(上座に座る寿三郎の姿を思い返し)あの席は親父の席だ。俺にはまだ早い。まだまだ親父にはあそこに座ってて貰わなくちゃ困る。

さくらが皆を呼びに来て、出ていく皆を見送るトレーナー姿の寿一。

そこへ着物姿(現実)の寿一が駆け戻り、舞台の奥へ駆け込みます。

頷いて「だよな」と言うトレーナー姿の寿一。

 

奇跡が起きた

寿三郎の寝室。

主治医が「手は尽くしていますが、心臓、糖尿病などの基礎疾患もあり、正直、難しい状況です」と言い、門下が“まだ早い”などと声を掛けると寿三郎がさくらの手を握り返し、何か言おうとしました。

さくらが聞くと“ぜ・・・あ・・・み・・・”「世阿弥」と言う寿三郎。

門下は“最期の最期まで役者だ”と感動の涙を流しますが、寿三郎は続けて「マシーン」と言います。

廊下から「ぜあっ!」と言う声がして、激しい物音と共に居間との間の襖が開き、世阿弥マシーン姿の寿一が現れました。

「観山家のみなさん。お元気ですか?」と言う世阿弥マシーンに「寿一ちゃん」と言う寿限無。

「おい。自分から言うから。・・・(とさくらを見て、頷くさくらに頷き)何を隠そう私ことスーパー世阿弥マシーンの正体は(とマスクを外し)観山寿一です」と言います。

「どういうつもりだよ?」と言う踊介に「今まで言ってなかったけど、俺、プロレス辞めてなかった。・・・ごめん。継ぐって言ったのに。能より、全然プロレスだった」と寿一が言い、舞は「知ってるよ!そんなのとっくに知ってる。けど、今じゃないでしょ?」と言い、

ユカも「うちも知ってた、流石に」と言い、大州は「随分前にネットで」と言い、長田は「自分、ファンです」と言いました。

秀生が「僕は知らなかったよ、ほんとだよ」と言い、舞は「気遣ってたの。またいなくなられたら困るからさ。皆で見て見ぬ振りしてたの」と言い、「けど、兄貴。今ので終わったよ。台無しだよ!」と言う踊介。

門下の一人が寿一に「ついに白状したな、このバカ息子!!」と迫ると寿一は、寿三郎を「肝っ玉、しこたま、さんたま!」と持ち上げた時のことを思い返し、門下を押しのけて寿三郎の枕元に行き、「肝っ玉、しこったま」と囁き、皆に「皆さん、心の中でご唱和ください」と言い、「肝っ玉、しこったま!」と寿三郎に言います。

寿三郎の心拍数が上がり、皆が寿三郎に声を掛け、寿一は「肝っ玉、しこったま!」と繰り返しました。

すると、寿三郎の右手がゆっくりと上がります。

寿一の声:そして、奇跡が起こった。

寿三郎が「さ・・・ん・・・た・・・ま」と言い、寿一が「皆さん、ご一緒に」と言って、皆で「肝っ玉、しこったま、さんたま!」と連呼しました。

寿一の声:本当なんだ。俺の家で紛れもない奇跡が起こったんだ。信じてくれないかも知れないけど、これは俺の家の話だ。

いえいえ、信じます!あると思います!

2021年12月31日。

スーパー世阿弥マシーンの試合会場。

寿一の声:そして迎えた大晦日。二度目の引退試合。

居間で朝食を囲む寿一たちと寝室でさくらと朝食を摂る寿三郎。

舞が「何時からだっけ、兄貴の試合?」と聞き、寿一が「予定だと19時半かな」と答え、踊介が「じゃあ、19時に会場でいいね?」と言い、さくらが「じゅじゅはテレビで観ようね~」と言うと、寿三郎は「俺は観ない。ガキ使、観るから」と言いました。

玄関。

「じゃ、行ってくるわ」と言う寿一に秀生が「頑張ってね、お父さん」と言い、寿限無が「寿一ちゃん、南側のA席だから」と言い、寿一は「OK」と言います。

「あ、そうだ」と寿一は寝室の寿三郎の元へ向かい、「親父。肝っ玉、しこったま」と言い、寿三郎も同時に「さんたま~!!」と拳を突き上げて言いました。

「じゃ、行ってくるわ」と言う寿一に元気に「行ってこいや~!」と言う寿三郎。

寿一の声:だが、奇跡は一度しか起こらなかった。

寿一の後姿を感慨深げに寿三郎は見送ります。

まさか・・・寿三郎さん・・・。

スーパー世阿弥マシーンの試合会場。

楽屋。

“試合後のスピーチを考えたか?”と聞くプリティに「2回目だし、3回目あるかも知れねぇしな」と言う堀。

「レスラーなんて、何回、引退しても、何回もカムバックすりゃいいんだよ」と言う長州に「前と言ってること違う」とプリティが言い、寿一に多摩自マンが「気を付けて。ホセの奴、プロレス愛がないし、切れるとヤバいから」と言います。

寿一は「お前じゃねぇから大丈夫だよ」と言い、「スーパー世阿弥マシーン選手、お願いします」と呼ばれて「じゃあ、行ってきます。・・・ぜあっ!!」と楽屋を出ました。

リングに向かうスーパー世阿弥マシーン後姿をを物陰からが悲しげに見つめる着物姿の寿一。

素晴らしく温かい観山家の家族愛が確認できた回でしたね~。

終末期介護についても考えさせられました。

本当の最期は家で迎えたいと望む方が多いようですね。

なんとなく理解出来ます。

来週はいよいよ最終回です。

あっと言う間の9話でしたが、個性豊か、愛情豊かなドラマ「俺の家の話」は何処に、どの様に着地するのでしょうか?

俺の家の話9話ネタバレあらすじ!

寿限無が帰ってきた

観山家。

2021年12月。

稽古場の舞台。

寿一(長瀬智也)が舞っています。

寿一の声:俺の家から踊介(永山絢斗)が去り、舞(江口のり子)が去り、寿限無(桐谷健太)が去った。そして、親父も・・・。広い屋敷でただ一人、俺は半年間、ひたすら稽古に励み、極限まで自分を追い込んで・・・。

さくら(戸田恵梨香)が「寿一さん」と来て「はい」と鋭い目でさくらを見る寿一。

「もう、殺気」とさくらが言い、寿一は「あ、あ、あ、すみません」と自分の頬を叩きました。

「ご飯できましたよ」と可愛く言うさくらににやけた寿一にさくらが手を差し伸べ、手を取った寿一は♪手に手を取り~・・・♪と謡いながら、さくらと稽古場を後にします。

ちょっと新婚風味の二人です。

居間。

さくらと寿一が食卓を挟んで向かい合い「いただきます!」と言い、食事を始めました。

能の本を見ながら真剣な顔で食事をする寿一にさくらが必死に話し掛け、「はい?」と殺気を放つ寿一に野菜炒めを指差し、“これ、味ついてるから”と言います。

「ああ、分かりました」と言いながら、野菜炒めに醤油をかけ「旨っ!」と言う寿一に引きながら「良かった」と言うさくら。

数日後。

観山家の前。

タクシーが止まり、タクシーの中では長州のバックで大州(道枝駿佑)が踊っているCMが流れています。

タクシーから寿限無が降りて、観山家を見つめると、門から満面の笑みで寿一が駆け出てきました。

「え?誰だと思った?」と聞く寿限無に「え?・・・何?」と言う寿一。

「ごめんください、か、ただいまか迷っちゃって」と言う寿限無に「おかえり」と寿一が言い、寿一はホウキを、寿限無はバッグを投げ出して、固く抱き合います。

観山家の玄関。

寿限無を秀生(羽村仁成)が「おじさん、おかえりなさい」と出迎え、「いってきます」とどこかへ出掛けていきました。

寿一がユカの所は小さい子がいて大変だから、今、秀生と暮らしていると言います。

「親父は?」と聞く寿限無に寿一は「会う?」と聞き、「ああ、そうね」と言う寿限無。

居間と寿三郎の寝室。

居間と寿三郎の寝室の間の襖を開け“半年間、何処にいたのか?」と聞きました。

寿限無は“最初の頃は介護士の資格を取ろうとしたが挫折し、16で養子に入ってから家を出ずに能しかやってこなかった自分には、やはり能しかない。俺の家はここで、俺はここの子だって”と言い、寿一を見ると寿一は世阿弥マシーンの扮装をしています。

驚く寿限無に寿一は「じゃ、行こうか」と言いました。

照る照るハウス。

大広間。

さんたまプロレスの慰問会の司会をする末広(荒川良々)。

呼びこまれて、堀(三宅弘城)、長州、スーパー多摩自マン(勝村周一郎)、プリティ原(井之脇海)、スーパー世阿弥マシーン、寿限無が入ってきます。

堀の声掛けに拍手をする寿三郎を見て「親父・・・」と言う寿限無に寿一は“親父は俺をスーパー世阿弥マシーンだと思っているから”と寿一が囁きました。

「肝っ玉、シコタマ、さんたま!」の掛け声と共に長州、多摩自マン、プリティが次々と利用者を持ち上げていきます。

寿一(スーパー世阿弥マシーン)の番になり、寿一は真っ直ぐに寿三郎の元へ向かい、掛け声と共に寿三郎を持ち上げ、嬉しそうに笑い「ありがとう、ありがとう」と言い、「早く良くなってくださいね」と言う寿一(スーパー世阿弥マシーン)に

「あなたもね、ご家族を大切になさってくださいね。いつもでも頑張ってください。応援してます」と言う寿三郎。

スーパー世阿弥マシーンのファンなんです、寿三郎さんは・・・。

 

さくらと寿一の関係

観山家の前。

さんたまプロレスの車から降りた寿限無と寿一。

“プロレス続けてなんて、全然気が付かなかった”と言う寿限無に「元々、家族旅行の資金を稼ぐ為だったんだ。・・・やめらんなかったよ。すまん、寿限無」と言う寿一に寿限無は「ううん。そういえば、さくらさんは?」と聞きました。

「出てった」と寿一が言い、寿限無は「えっ?!」と驚きます。

2週間前。

寿一の部屋。

寿一が眠っている処にさくらが「お風呂いただきました~」と言いながら入ってきました。

背を向けている寿一の布団と自分の布団をつけ、寿一の肩にそっと触れ、「ねぇ、寿一さん」と言うと、寿一は全力で振り向き「はい!なんすか?」と答えます。

公園。

ユカ(平岩紙)とベンチに座るさくらが「て、なんすか?殺気っていうかもう普通に感じ悪いですよね?!」と言い、ユカは「ごめんね・・・私が謝ることちゃうけど」と言い、さくらは「心ここに在らずっていうか、ほぼ埋まってる、ハードディスクが能とプロレスで。私なんて2Gですよ2G!」と言い、ユカが「分かるわ~」と言いました。

寿一の部屋。

布団の上でさくらと向かい合う寿一。

「やってやれないこともないけど」と寿一は怪しげな手つきをし、「いや、やっぱり俺んちじゃ無理です。なんか、そういう気分にならない」と言います。

さくらが「私も、どうしてもそうなりたいって訳じゃないけど、でもなんか、なきゃないで気になりません?二人きりだし」と聞き、「ですよね。手を出さないなんて失礼ですよね」と寿一は言い、頷くさくらの肩を抱き、さくらは目を閉じますが、寿一は

「いや、でも、これじゃまるで俺がさくらさんとSEXする為に、親父をホームに入れたみたいじゃないすか?」と言いました。

公園のベンチ。

さくらが「そうだけどさ!言い方ってもんがあるでしょうが!」と言い、「あ、ごめん、ほんまに堪忍やわ。じゃ、もう、会ってないの?」と聞くユカに「施設では顔合わせるけど、家には行ってないです」と答えるさくら。

「お父さん看取るまでは無理かもね」と言うユカにさくらが「いや~、どうかな~、看取ったら看取ったで~」と言うと、ユカが寿一の声で「さくらさんとSEXする為に親父を殺したみたいじゃないですか?」と言います。

「言いそう!絶対言う!!」とさくらが言い、「結局2Gやねん。2Gしか空いてへん」とユカが言い、さくらは早川(前原滉)が抱いているユカの赤ん坊を見て「可愛いですね~」と言いました。

ユカは“早川が1年間の育児休暇を取ってくれて、育児も家事も全部、早川がやってくれている”と言い、早川は「好きなんだよ、家事。仕事は誰か代わりがいるけど、ユカちゃんのパートナー、僕しかいないしね」と言います。

「私、無理。・・・なんだろう、無理。これはこれで無理。今の時代にはあってるんだろうけど無理。意識高いんだろうけど無理。感覚的に無理。よその旦那さんなら最高だけど、自分の旦那には無理」と言うさくらにユカは「何回、無理っていうの?」と言い、

「え?ずっと家にいるんですか、働かないで。いや、無理~。落ち着かない。2Gで十分、むしろ2Gがいい。ごめんなさい」とその場を去るさくら。

盛大なる自己完結ですね、さくらさん(笑)。

照る照るハウス。

温かい観山家に戻してください!

寿一に“寿三郎がすっかり人気者”だと話す末広。

「最近、徘徊は?」と聞く寿一にさくらが“徘徊はないが、食が細くなった”と言いました。

観山家の居間。

タブレットに食堂で夕食を前にしている寿三郎とさくらが映っています。

寿三郎が「今日の夕飯は麻婆茄子で~す!」と料理を見せ、寿限無が「うちも麻婆茄子で~す!偶然」と言い寿一とカメラに料理を見せました。

「こっちの方が断然、旨そうで~す!」と言う寿三郎に「分かんねぇじゃねぇか、食ってみなきゃ。食うぞ!」と寿一が言い、さくらが録画を回し、寿一が元気に「行くぞ、親父!いただきます!」と言います。

寿一の声:たまにこうやって、一緒に飯を食うことにした。

寿一が「どうだ、親父、うめぇか?」と聞き、「うめぇ!」と答える寿三郎。

リモートのとても素敵な利用法ですね♪

喫茶店。

踊介に“照る照るハウス」にいる寿三郎の写真を見せる雑誌記者。

「お父様で間違いありませんね?」と聞く記者に、踊介は「・・・そうっすね」と答え、記者は「ここ、認知症専門のホームなんです。いつ入居されたんです?」と質問し、踊介は「ああ・・・(と、記者の名刺を見て)え?載るんですか?」と聞きます。

観山家の稽古場。

舞台。

寿限無の謡に合わせて、秀生と舞う寿一。

寿一の声:新春能楽会で俺は初めて「隅田川」を舞うことになった。

寿一の静止の動きを見た寿限無が「ちょっと掴んだんじゃない?」と声を掛けると寿一は溜息をつき「そうかなぁ」と言います。

寿一の声:油断すると決まって、あの言葉が蘇り・・・。

稽古場の入り口に立つ幻の寿三郎が「やらせるか!お前なんかに」と言いました。

寿一の声:親父の亡霊が現れる。

「どうしたの?」と寿限無が聞き、改めて寿一が稽古場の入り口を見ると、寿三郎の幻は消えています。

寿限無が“もう一回やろうか」と言い、

寿一の声:あれは、本心だったのか?(「継がせないよ、お前などに」と言った寿三郎を思い返し)教えてくれ、親父。

さんたまプロレス 事務所。

堀が“2021年12月31日・スーパー世阿弥マシーンVSホセ・カルロス・ゴンザレス・サンホセJr”のチラシを寿一に見せ、長州が「今度はアキレス腱を切るんじゃねぇぞ、寿」と言います。

寿一の声:まただ。芸の道に進もうとするとプロレスが横やりをいれてくる。

観山家。

寿一の部屋。

寿一の声年末のタイトルマッチ。年始の隅田川。能か、プロレスか。いよいよ、決断の時が・・・。

と隅田川の本とタイトルマッチのチラシをテーブルに並べて考える寿一にやって来たさくらが「能も、プロレスもじゃダメなんですか?」と聞くと、「はい?」と殺気を飛ばす寿一。

自分で気付き「あ、さくらさん」と笑顔で繕おうとする寿一にさくらは「いらして。お話があります」と踵を返していきました。

居間。

ハワイアンズでの家族写真を寿一の前に置き、「私の好きな寿一さんは、こういう顔をしています。でも近頃、すっかり変わってしまった。なんか深刻ぶって、殺気だって」と怒りの形相の能面を出し「こんな感じ。近寄りがたい」と言います。

寿一の声:(能面を手に取り)こんな顔。したくても出来ない。

“自分の生い立ちについて話したのを覚えているか?”とさくらが聞き、寿一は「ああ、はい。すげぇ育ちが悪いっていう」と答え、さくらは「・・・言い方」と言いました。

さくらは“介護の現場で金持ちが遺産相続でもめているのを見て、つくづく貧乏で良かったと思った。金持ちだけど冷たい家か、貧乏だけど温かい家。この2種類しかこの世にはなんだとと思っていたが、観山家は金持ちで温かい家だった”と言います。

「今、どうですか、この家。寿一さんしかいない。私は家族に囲まれて笑ってる寿一さんが好きでした。丁度良かった、私には。一人の人間として見たらそこまで。・・・みなさんを呼び戻してください。金持ちで温かい観山家に戻してください!」と言うさくら。

寿一の声:さくらさんの願いは、割と直ぐ叶った。

 

お家騒動勃発

後日。

観山家の居間。

雑誌を読んでいるさくらの元へ陽気な長田(秋山竜次)とうんざり顔の舞が現れます。

長田も買ってきた雑誌には“人間国宝が介護老人ホームへ強制入居?か!”“お家騒動勃発?か!”という記事が載っていました。

「お兄さんは?」と聞く長田にさくらが「なんか分家の当主って人が・・・」と言うと舞が「え?万寿、来てんの?か!」と言います。

稽古場。

寿一と寿限無に向かい合う分家当主・観山万寿(ムロツヨシ)とその後ろに並ぶ門下たち。

“分家の当主が一々本家の問題に口を挟みたくないのだが、寿一が宗家を継ぐことに反対している門弟諸氏から相談を受けてまして・・・”と言う万寿の後ろから“面汚し!”“バカ息子!”と寿一を罵る門下たち。

万寿は目の前の小机に広げられた雑誌を見ながら“元プロレスラーの放蕩息子・寿一が遺産目当てで今年から父の介護を始めた”と謡います。

居間。

長田、舞、さくらが“観山家問題”を取り上げるワイドショーを観ていました。

司会者の「総資産6億」の言葉に3人は口を揃えて「ない、ない、ない」と言います。

話題が“スーパー世阿弥マシーン”が寿一では?という話になり、唐突にテレビを切るさくら。

稽古場。

なんと・・・ムロツヨシさんの登場です。

「よりによって能楽の神、世阿弥を語るとは・・・。やっちゃったね、寿一氏。これ、破門。永久追放ですよ」と万寿が言い、寿一は「私じゃありませんよ。何かの間違いだろ」と言い、万寿は「分家の当主が一々口を挟みたくないが、次期宗家の座を辞退するしかないでしょうね。それが嫌なら・・・新たな観山流を作るしかないでしょう。正当な世継ぎを立てて」と言いました。

「正当な世継ぎ?」と言う寿限無。

万寿と門下が道を開けると、着物姿の踊介が座っています。

「踊介・・・」と寿一が言い、「なんかそういうことに・・・」と言う踊介に寿限無と舞が「いやいやいやいや」と言いますが、万寿は“踊介に新観山流を代表して新春能楽会で自分が稽古をつけて舞ってもらう”と言い、演目は土蜘蛛と言う踊介に舞が、

「だろうね。・・・出ちゃってんのよ、手から、蜘蛛の巣が一本」と言い、慌てて大騒ぎする踊介に万寿が「もう結構です、坊ちゃん。お座りください・・・座れ!」と言いました。

“自分が新春の会を仕切るというのはどうか?”と言い万寿に寿限無が「それには及びません。寿一さんが「隅田川」を舞います」と言います。

「隅田川?!!あれは、母と子の悲劇ですよ。あなたが舞ったらコメディだ。人間国宝も所詮は親ばかってことですか?」と言う万寿と“バカ息子!”と叫ぶ門下に寿一は「バカ息子しかいねぇよ!!」と怒鳴りました。

「うちにはもうバカ息子とバカ娘しかいない。・・・だが、それを言っていいのは、親父だけだ。あんたらに言われる筋合いはない」と言う寿一に「そういうことでしたら、分家の当主はお暇しましょう。帰るよ」と席を立ち、門下を引き連れて帰っていきます。

おどおどと後に続こうとする踊介に寿一は「踊介」と声を掛けて歩み寄り、「忙しいのは分かるんだけどな。たまには、親父の顔、見に行ってやってくれ」と言い、舞を見て「舞も」と言うと、舞は「はいはい、分かってますよ」と言って去りました。

踊介も去り、寿一はさくらに「年末から年明けにかけて、殺気を放つかもしれないので、適度なディスタンスを保ってください」と言い、さくらは「はい」と言います。

さんたまプロレスのリングで筋トレをする寿一と稽古場で鍛錬を積む寿一が交互に映ります。

寿三郎の本音

観山家の稽古場。

舞台。

気配を感じた寿一が「黙ってないで教えてくれよ。なんで、俺じゃねぇんだよ?俺じゃねぇんだろ?お前じゃねぇって言ってくれよ、そしたら、俺、直ぐに辞めるから」と言いながら稽古場の入り口に立つ寿三郎に近づきました。

「家、家・・・継ぐをもって家とする。その家の芸をきちんと継承することによって、その家は続くのである」と言う寿三郎に「具体的に言ってくれよ!・・・どうしたら、芸を継承出来るんだ?」と寿一は聞きます。

すると、寿三郎は「さくらちゃんと別れなさい。あの女は観山家に災いをもたらす。今直ぐ、別れなさい」と言い、寿一は寿三郎の足元の照る照るハウスのスリッパに気付きました。

「あんた、亡霊じゃねぇな。(と、廊下のシルバーカーを見つけ)ほら、徘徊だ」と言う寿一。

世阿弥を謡う寿三郎に「世阿弥で誤魔化してんじゃねぇ」と言いながら寿一がスマホを見ると、末広からガンガンにラインが入っていました。

“照る照るハウスの連中は孫と薬の話しかしなくてつまらない”と寿三郎は「ちょっと休ませて」と稽古場に座ります。

「なぁ、寿一」と寿一に“隅田川”を作る際に世阿弥と世阿弥の息子の間で息子の亡霊を出すか出さないかで話し合いになったと話し出しました。

息子は「出なかったら分からない」と言い、世阿弥は「役者の力で亡霊を客の前に浮き上がらせるのだ。それが能だ」と言ったと語る寿三郎。

寿一は「俺が息子だったら出てくるよ。だって、会いてぇもん。出るなって言っても出てくるよ」と言い、寿三郎は笑って「そうかぁ、お前だったら出てきちゃうか」と言いました。

「ああ、そうか、そうか」と寿三郎が横になった処に、末広とさくらが駆け付けます。

末広が「さぁ、帰りましょう!」と声を掛けると、回らない口で「いや、帰らない」と寿三郎がいい、“呂律がおかしくないか?”とさくらが言い、「親父、何言ってんだ、行くぞ」と寿一が寿三郎を起こそうとすると、末広が「動かさないで!」と言いました。

 

父危篤

寿三郎の寝室。

寿三郎がベッドで機械を着けられ、点滴を受けています。

主治医が付いていて、寿限無が駆け付けました。

主治医が「血栓を溶かす薬です。早く連絡貰って良かったですよ。脳梗塞発症から時間が経つと効かないんです」と言います。

脳梗塞?!

寿一が「病院は行かなくていいんですか?」と聞くと、寿三郎が何か言いました。

さくらが「じゅじゅ、なに?」と聞き「・・・ここが良いって」と言います。

踊介が入ってきて「在宅医療を望んでるんだよ、父さん」と“さぶえんでぃんぐのーと”を寿一に見せました。

さくらが「踊介さんも土日は必ずホームにいらしてたんです」と言い、踊介は「兄貴と違って俺は法人化の手続きとか金の話ばっかだけど」と言います。

踊介の回想シーン。

談話室で踊介の向かいに座った寿三郎が“管いっぱい付けられて、家族にも面会出来ないまま、生かされるぐらいなら、最期は家で家族に囲まれて迎えたい”と言いました。

寿三郎の寝室で「最期は家族に囲まれて迎えたい。人気者で死にたいって・・・あ、いや、人気者でっていうのは、俺の解釈だけど、そう言ってた」と言う踊介に「なんだよ。ちゃんとやることやってんじゃん」と言う寿限無。

「それを言ったら」と末広が舞を廊下から連れてきて「舞さんだって」と言い、“大州がホットミールを届けに来てくれた”と言います。

照る照るハウスで大州が慣れない手つきでラーメンの湯切りをしている姿が映ります。

舞は「ごめんね。私も会いに行きたかったんだけど、随分、ひどいこと言っちゃったから」と言い、寿一は「なんだよ、てっきり俺だけ大変な思いしてんのかと思った」と言い、「いやいや、実際、兄貴に甘えた部分あったし」と言う踊介。

舞も「ほら、兄貴は父さんと過ごした時間短いから、ちょっとぐらい、任せていいよねって」と言い、寿一は「ありがとう。任せてくれて」と舞の肩に手を置いて言い、「ありがとうな、甘えてくれて」と踊介の肩が抱きました。

寿限無が「すっげぇ良いじゃん!観山家!」と盛り上がると主治医が「そういうの外でやってもらえますか?!!割とシビアなんです、今。在宅だってね、悪いけど管いっぱいつけるし、面会も制限しますから!」と言い、寿一たちは項垂れます。

稽古場。

「何回目だっけ?」と聞く寿限無に「脳梗塞?小さいの入れると3?4?」と答える舞。

「心配だな、心臓の持病もあるし・・・」と言う寿限無に「元々半年だった余命が1年に延びた訳だからな、さくらのお陰で」と踊介が言うと、寿一が“さっきのノート借りんぞ”とノートを取り上げ、寿一の横にいる見知らぬ男性を見て「誰?」と寿限無が聞きました。

「ん?ああ、葬儀屋さん」と寿一が言い、「スイートメモリーズのオニヅカタカキチです」と挨拶をするオニヅカ。

「葬儀屋さん・・・」と呟く寿限無とノートを見て“やっぱりな。葬儀は稽古場で、お別れ会は後日能楽堂でってこっちにも書いてあるわ”と寿一はオニヅカに具体的な要望を告げ始めます。

舞が「兄貴、待って待って。ごめん、感情が追いつかない」と言い、寿限無も「確かに。ちょっと手際が良すぎるかも」と言い、「だって、長男だから」と言う寿一に、舞は「そんなドライな長男やだ!もっと取り乱してよ!若い頃の織田裕二みたいに!」と言いました。

「母ちゃんだって検索してたじゃん、さっき。“葬儀、格安”で」と言う大州に舞は「ネットはありでしょう。呼ぶのはなしでしょう。ヤフー知恵袋まででしょう」と言い、「前の道、霊柩車Uターン出来ますかね?」と寿一に聞くオニヅカに「ちょっと黙ってて!」と言う舞。

“遺言状は?”と言う舞に「それは俺が」と正式な遺言状を出す踊介に寿限無が「流石、顧問弁護士」と言った処へ“寿三郎の心拍数が下がっている”とさくらが言いに来ます。

確かにドライにも見える寿一さんですが、誰かが冷静に準備を進めなければならないんですよね・・・。

寿三郎の寝室。

寿三郎に駆け寄る踊介に主治医が「触らないで。呼びかけて下さい」と言い、「父さん、頑張れ、頑張れよ」と踊介が言い、「宗家、半年もほったらかしてごめん」と寿限無、「お父さん、ほら、大州と長田さん、来てるよ」と舞が言い、

「おじいちゃん」と言う大州と「YO!義理のファザー・・・」とラップで励ます長田に舞が「もういいよ」と言い、「おじいちゃん、高校を卒業したら、お祝いに錦糸町のガールズバー連れてってくれるって約束したじゃん」と言う大州。

「あ、ちょっと持ち直した!」と末広が言い、「ファーザーの鼓動!ガールズバーに反応!次、お兄さんの番」と長田は寿一にマイクの玩具を渡しました。

「やるの?ダイジョブ?」と舞が聞き、寿一はビートを刻み「俺、長男。こいつ、次男。こいつ、長女。寿限無も兄弟。長田も兄弟。みんな、兄弟。イェーイ!・・・心拍数、上がったか?」と聞きます。

別室。

寿三郎の遺言状を前に「これ、開けちゃいけないんですよね?」と聞くさくら。

「いずれ見るんだよ。私、大丈夫。見てないていでもいける」と舞は言いますが、「俺は無理。顔に出ちゃう。だって28世宗家の名前も・・・」と寿限無が言い、「うん。書いてあるでしょうね」と踊介が言いました。

窓際のテーブルでタブレットを操作する寿一に寿限無が「何やってるの?」と聞くと寿一は「遺影の写真加工」と言い、舞が「一々先行くよね~、長男は。ラーメン屋寝てるし」と言うと、長田は「っしゃいませ!」と飛び起きます。

「葬儀屋呼んで、遺影と遺言状、用意して、あとは・・・」と言う踊介に「戒名は?誰かお寺に連絡した?」と聞く寿限無。

寿三郎の寝室。

廊下で待つ寿一と踊介の元に「なんですか?」と来た主治医に寿一が“戒名、決めてなかったんで”と言うと主治医は「無理でしょう、どう見ても。意識ないんだから」と言い、寿一は「ですよね。ていうか(と、寿三郎に付き添う長州に)長州さん?」と歩み寄り、

プリティが堀の横から“たまたま一緒にいて、着いてきちゃって”と詫び、「焼酎2,3杯飲んでるけど大丈夫だよな?」とマスクをずらした長州をみて末広が「あ、長州!」と言い、主治医が「どこ?あ!長州だ!」と言いました。

「今、気付いたんですか?!」と言う堀を廊下に連れだした寿一が「世阿弥マシーンのこと、家族にはくれぐれも・・・」と人差し指を唇に当てた時、舞が「長州力。やだ、本物」と舞が大州と駆け込んで来て「お父さん、起きて」と長州が点滴のチューブを持っていてくれてることを告げます。

長州が寿一に「俺が戒名考えてやろうか?」と言い「ブリザードって何だっけ?」と寿一に聞き、“吹雪ですね。俺じゃなくて親父の・・・”と言う吹雪に「吹雪院親不孝革命居士でどうだ?」と言い、「あ、いいっすね」と寿一が言うと、「じゃあ、俺、帰るわ」と言って長州は帰りました。

それって、寿一向けの戒名では?

その後。

寿三郎の元に駆け付けてきた秀生とユカ。

寿一が「親父、秀生、来てくれたぞ」と言い、秀生が「おじいちゃん、また一緒にお稽古しようよ」と言い、さくらが「そうだよ。じゅじゅ、ほら、言ってたじゃん。秀生くんの“隅田川”見るまで死ねないって」と言うと寿三郎の心拍数が上がりました。

踊介が「父さん、俺の“土蜘蛛”も見てくれよ」と言うと末広が「あ、ダメだ。下がったな」と言います。

「なんでも良いから皆も声かけて」と踊介が言い、寿限無が「宗家。全国のガールズバーの女の子からティック・トックで応援メッセージが届いてます」と言うと寿三郎の心拍数が上がり、

舞が「父さんさ、母さんに天国で会って謝ろうなんて虫のいいこと考えてるかもしんないけど、あんた、行くの地獄だからね。自分のしてきたこと考えてみな。芸の肥しかなんか知らないけど、女と遊びまくって、腹違いの子供までいて、地獄確定だから!それが嫌なら、目、覚まして!!」と言いました。

相変わらずスパルタな舞さん。

「俺は気にしてないから!この家好きだし、能が好きだし、短い間だったけど、ほんとn親子になれて嬉しかったよ。あの時、落とし前つけてくれて、ありがとう!」と言う寿限無。

寿一の声:みんなが言いたいことを言い出した。

踊介は“自分は甘やかされる度、末っ子だから、才能ないからって負のスパイラルに入ってしまったので、もっと厳しくして欲しかった。自分で見切りつけたけど本当はもっと向き合いたかった”と言います。

「俺も後悔してる。おじいちゃん、お能辞めちゃってごめん」と言う大州。

寿一の声:俺は何も思いつかなかった。

寿一が秀生を促し、秀生は「僕、おじいちゃんのお陰で、漢字は書けないけどウロウロしなくなりました。漢字は書けなくても、能楽師になれるかな?なれるよね?おじいちゃんだって、野菜の名前言えないもんね。おじいちゃん」と涙ながらに秀生は語り掛けました。

さくらに促された寿一は「俺はいつも言いたいこと言ってるから」と言い、

寿一の声:どうした、長男。そんな物わかりの良い男だったか?・・・夜が明けて、弟子や幹部が続々とお別れを言いに集まってきた。

稽古場。

再び、門下たちとテーブルを囲む寿一。

寿一の声:離見の見、世阿弥が残した役者の心得。「自分自身を離れたところから見る目を持ちなさい」。親父の席に座っている自分を客観的に見てみた。

着物姿で上座に座る寿一をトレーナー姿で廊下から見つめる寿一が腕組みをして「なんか違うなぁ」と言いました。

寿一の声:(上座に座る寿三郎の姿を思い返し)あの席は親父の席だ。俺にはまだ早い。まだまだ親父にはあそこに座ってて貰わなくちゃ困る。

さくらが皆を呼びに来て、出ていく皆を見送るトレーナー姿の寿一。

そこへ着物姿(現実)の寿一が駆け戻り、舞台の奥へ駆け込みます。

頷いて「だよな」と言うトレーナー姿の寿一。

 

奇跡が起きた

寿三郎の寝室。

主治医が「手は尽くしていますが、心臓、糖尿病などの基礎疾患もあり、正直、難しい状況です」と言い、門下が“まだ早い”などと声を掛けると寿三郎がさくらの手を握り返し、何か言おうとしました。

さくらが聞くと“ぜ・・・あ・・・み・・・”「世阿弥」と言う寿三郎。

門下は“最期の最期まで役者だ”と感動の涙を流しますが、寿三郎は続けて「マシーン」と言います。

廊下から「ぜあっ!」と言う声がして、激しい物音と共に居間との間の襖が開き、世阿弥マシーン姿の寿一が現れました。

「観山家のみなさん。お元気ですか?」と言う世阿弥マシーンに「寿一ちゃん」と言う寿限無。

「おい。自分から言うから。・・・(とさくらを見て、頷くさくらに頷き)何を隠そう私ことスーパー世阿弥マシーンの正体は(とマスクを外し)観山寿一です」と言います。

「どういうつもりだよ?」と言う踊介に「今まで言ってなかったけど、俺、プロレス辞めてなかった。・・・ごめん。継ぐって言ったのに。能より、全然プロレスだった」と寿一が言い、舞は「知ってるよ!そんなのとっくに知ってる。けど、今じゃないでしょ?」と言い、

ユカも「うちも知ってた、流石に」と言い、大州は「随分前にネットで」と言い、長田は「自分、ファンです」と言いました。

秀生が「僕は知らなかったよ、ほんとだよ」と言い、舞は「気遣ってたの。またいなくなられたら困るからさ。皆で見て見ぬ振りしてたの」と言い、「けど、兄貴。今ので終わったよ。台無しだよ!」と言う踊介。

門下の一人が寿一に「ついに白状したな、このバカ息子!!」と迫ると寿一は、寿三郎を「肝っ玉、しこたま、さんたま!」と持ち上げた時のことを思い返し、門下を押しのけて寿三郎の枕元に行き、「肝っ玉、しこったま」と囁き、皆に「皆さん、心の中でご唱和ください」と言い、「肝っ玉、しこったま!」と寿三郎に言います。

寿三郎の心拍数が上がり、皆が寿三郎に声を掛け、寿一は「肝っ玉、しこったま!」と繰り返しました。

すると、寿三郎の右手がゆっくりと上がります。

寿一の声:そして、奇跡が起こった。

寿三郎が「さ・・・ん・・・た・・・ま」と言い、寿一が「皆さん、ご一緒に」と言って、皆で「肝っ玉、しこったま、さんたま!」と連呼しました。

寿一の声:本当なんだ。俺の家で紛れもない奇跡が起こったんだ。信じてくれないかも知れないけど、これは俺の家の話だ。

いえいえ、信じます!あると思います!

2021年12月31日。

スーパー世阿弥マシーンの試合会場。

寿一の声:そして迎えた大晦日。二度目の引退試合。

居間で朝食を囲む寿一たちと寝室でさくらと朝食を摂る寿三郎。

舞が「何時からだっけ、兄貴の試合?」と聞き、寿一が「予定だと19時半かな」と答え、踊介が「じゃあ、19時に会場でいいね?」と言い、さくらが「じゅじゅはテレビで観ようね~」と言うと、寿三郎は「俺は観ない。ガキ使、観るから」と言いました。

玄関。

「じゃ、行ってくるわ」と言う寿一に秀生が「頑張ってね、お父さん」と言い、寿限無が「寿一ちゃん、南側のA席だから」と言い、寿一は「OK」と言います。

「あ、そうだ」と寿一は寝室の寿三郎の元へ向かい、「親父。肝っ玉、しこったま」と言い、寿三郎も同時に「さんたま~!!」と拳を突き上げて言いました。

「じゃ、行ってくるわ」と言う寿一に元気に「行ってこいや~!」と言う寿三郎。

寿一の声:だが、奇跡は一度しか起こらなかった。

寿一の後姿を感慨深げに寿三郎は見送ります。

まさか・・・寿三郎さん・・・。

スーパー世阿弥マシーンの試合会場。

楽屋。

“試合後のスピーチを考えたか?”と聞くプリティに「2回目だし、3回目あるかも知れねぇしな」と言う堀。

「レスラーなんて、何回、引退しても、何回もカムバックすりゃいいんだよ」と言う長州に「前と言ってること違う」とプリティが言い、寿一に多摩自マンが「気を付けて。ホセの奴、プロレス愛がないし、切れるとヤバいから」と言います。

寿一は「お前じゃねぇから大丈夫だよ」と言い、「スーパー世阿弥マシーン選手、お願いします」と呼ばれて「じゃあ、行ってきます。・・・ぜあっ!!」と楽屋を出ました。

リングに向かうスーパー世阿弥マシーン後姿をを物陰からが悲しげに見つめる着物姿の寿一。

素晴らしく温かい観山家の家族愛が確認できた回でしたね~。

終末期介護についても考えさせられました。

本当の最期は家で迎えたいと望む方が多いようですね。

なんとなく理解出来ます。

来週はいよいよ最終回です。

あっと言う間の9話でしたが、個性豊か、愛情豊かなドラマ「俺の家の話」は何処に、どの様に着地するのでしょうか?

俺の家の話のキャストは?

君と世界が終わる日にネタバレ!原作あらすじ脚本家キャスト

観山寿一:長瀬智也

「ブリザード寿」のリングネームで活躍する現役プロレスラー。観山流宗家の長男として生まれ、4歳のとき初舞台に上がり神童と呼ばれるが、17歳で家出。大手プロレス団体の門を叩く。人気レスラーとして活躍し、結婚。武者修行の旅に出てプエルトリコチャンピオンになるも防衛戦で大怪我。妻から離婚を切り出される。現在は新団体「さんたまプロレス」に所属。父・寿三郎が倒れたと知り、25年ぶりに実家へ戻る。それを機に、プロレスラーを引退、寿三郎の後を継ぐことを決意する。

引用元:公式サイト

長瀬智也さんは現在42歳でジャニーズ所属のバンドTOKIOのメンバーです。

長瀬智也さんは姉が履歴書を送ったことがきっかけで1991年に13歳でジャニーズ事務所に入所しています。

1994年にTOKIOのメンバーとなり、同年「LOVE YOU ONLY」でCDデビューしています。

ジャニーズアイドルでありながらバンドという異色のグループとして人気を博してきたTOKIOのヴォーカルとしてヒット曲を多数リリースし、紅白歌合戦には24回も出演しています。

俳優としては1993年にドラマデビューし、1995年には「カケオチのススメ」でドラマ初主演を務めています。

その後も「白線流し」「ムコ殿」「ハンドク!!!」「マイ★ボス マイ★ヒーロー」「ごめん、愛してる」など数多くの作品で主演を務めています。

2000年には2011年3月をもってTOKIOを脱退しジャニーズ事務所を退所することが発表され、以降は裏方として活動するそうなので、ドラマ出演はもしかしたら最後になるかもしれません。

「俺の家の話」で演じるのは主人公の寿一です。

プロレスラーをやめて父親の介護と、能楽を継ぐために25年ぶりに実家に戻ってきた長男の役です。

寿一が実家に戻ってきたことによって起きる人間物語に注目です。

志田さくら:戸田恵梨香

寿三郎を献身的に介護する謎の介護ヘルパー。「集まれやすらぎの森」のスタッフ。寿三郎から結婚を申し込まれ、快諾する。介護士ではないので基本、体に触れるケアはできない。

引用元:公式サイト

戸田恵梨香さんは現在32歳の女優です。

小学校5年の時から芸能活動をしていた戸田恵梨香さんは2000年に女優デビューしています。

2003年に週刊ヤングジャンプのオーディション「制コレ03」に選ばれ、中学卒業時に現在の事務所にスカウトされ上京し本格的に女優業をスタートしています。

2005年「野ブタ。をプロデュース」に出演し注目を浴びるようになり、2006年に出演した「デスノート」のミサミサ役が当たり人気女優となっていきます。

これまで「LIAR GAME」「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」「流星の絆」「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」などのヒット作に出演しています。

2019年NHK朝ドラ「スカーレット」ではヒロイン役を務めていました。

2020年12月には俳優松坂桃李(まつざかとおり)さんとの結婚を発表し、美男美女の夫婦誕生に世間は盛り上がりました。

朝ドラ出演後初のドラマとなる今作では、介護ヘルパーの志田さくらを演じます。

親子ほどの年齢差がある寿三郎からプロポーズを受け快諾し、遺産全てを譲ると言われている女性です。

しかし悪女という感じではなく謎の女性です。

果たしてさくらは本当に寿三郎と結婚して、遺産を全て次ぐつもりなのでしょうか。

観山寿三郎:西田敏行

二十七世観山流宗家にして重要無形文化財「能楽」保持者。いわゆる人間国宝。全国に1万人以上の門弟を持ち、全日本能楽協会理事長でもある。2年前、脳梗塞で倒れ下半身に麻痺が残ったため、公演はすべて断っている。その後、倒れて危篤に陥るも、奇跡的に復活してさくらとの結婚を宣言する。

引用元:公式サイト

西田敏行さんは現在73歳の俳優です。

福島県出身の西田敏行さんは、俳優になる為中学卒業後に上京し、高校では演劇部に入っていました。

1968年に青年座俳優養成所に入り、1970年に青年座座員として初舞台を踏みます。

1970年代半ばから俳優として注目されるようになり、連続ドラマへの出演も増えていきます。

同時に歌手としても活動し、1981年にリリースした「もしもピアノが弾けたなら」は大ヒットし、今も歌い継がれている曲です。

1988年には自身の代表作となる「釣りバカ日誌」で主演を務め、その後は22年続く大人気シリーズとなりました。

その後もドラマ「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」「西郷どん」映画「ゲロッパ」「任侠学園」などに出演しています。

2018年には旭日小綬章を受章し、同年福島県の県民栄誉賞も受賞しています。

「俺の家の話」では寿一の父親で人間国宝の観山寿三郎を演じます。

いきなり超年下のヘルパーさくらと結婚し、遺産を相続させると言い家族達を驚かせます。

寿三郎はどうしていきなりさくらと結婚すると言い出したのでしょうか。

観山寿限無:桐谷健太

小学1年生から寿三郎の弟子として育ち、幼いころは寿一の遊び仲間。寿三郎の芸養子となったことで、本来は寿三郎の後を継ぐべき立場だが、寿一が観山流を継ぐべきだと思っている。観山流を裏から支えており、なくてはならない存在。

引用元:公式サイト

桐谷健太(きりたにけんた)さんは現在40歳の俳優です。

大学時代から俳優養成所に通い、その後は大学を中退しモデル活動なども経て2002年に俳優デビューしています。

ドラマや映画にコンスタントに出演していた桐谷健太さんが知名度を上げたのは、2008年放送の「ROOKIES」です。

クセの強い野球部生徒役を演じ注目を浴びるようになります。

その後は「JIN-仁-」「ストロベリーナイト」「4分間のマリーゴールド」「ケイジとケンジ〜所轄と地検の24時~」などの話題作に多く出演しています。

歌手としても活躍しており、自身も三太郎の1人として出演するauのCM「海の声」は大ヒットとなり、音楽番組でも見る機会が増えました。

「俺の家の話」では寿三郎の弟子で養子縁組をしている観山寿限無(みやまじゅげむ)を演じます。

寿一が家出したことで、寿三郎の跡取りとなっていましたが本当は寿一に継いでほしいと思っています。

寿一が戻ってきたことで寿限無はどのような行動を起こすのか楽しみです。

長田舞:江口のりこ

観山家の長女。進学塾の講師をしており、寿一にとっては妹。女性というだけで宗家を継げないことから寿一や踊介には劣等感を抱いている。今も能の稽古は続けており、息子の大州が宗家を継ぐことを密かに願っている。

引用元:公式サイト

江口のりこ(えぐちのりこ)さんは現在40歳の女優です。

江口のりこさんは1999年に劇団東京乾電池の研究生となり、2000年に入団しアルバイトをしながら女優活動を始めています。

長い下積み時代をすごしていましたが、2006年放送の「時効警察」にサネイエ役で出演したことで知名度を上げます。

その後は「コウノドリ」「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」「ウチの夫は仕事ができない」などに出演し、2020年は「半沢直樹」で女性政治家を演じて、その演技力の高さが改めて再認識されました。

毎シーズンドラマに出てるんではないかと思うほど、顔を見ない日はなく、最近は有名になりすぎたのでもうほっといてほしいと本人は言っていました

バラエティで見せる脱力系の素顔もとても魅力的です。

「俺の家の話」では観山家の長女長田舞(おさだまい)を演じます。

寿一の妹ですが、女性である為に宗家を継げないことに対して劣等感を持っています。

夫役に秋山竜次(あきやまりゅうじ)さん、息子役になにわ男子の道枝駿佑さんが演じるので、個性豊かな長田家にも注目です。

観山踊介:永山絢斗

観山家の次男。奔放な兄・寿一を反面教師にして堅実に生きることを決意、弁護士となる。能は好きで今も稽古を続けているが、自分に才能がないことを悟っている。父、寿三郎と婚約したさくらのことはまったく信用していない。

引用元:公式サイト

永山絢斗(ながやまけんと)さんは現在31歳の俳優です。

兄は俳優の永山竜弥(ながやまたつや)さんと永山瑛太(ながやまえいた)さんです。

中学生の時に永山瑛太さんの出演していた映画を見て俳優に興味を持ち、その後永山瑛太さんからプロデューサーを紹介されます。

そのプロデューサーの勧めでオーディションを受け18歳で俳優デビューしています。

2010年には「ソフトボーイ」で映画初主演を果たし、第34回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。

「べっぴんさん」「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」「初めて恋をした日に読む話」「トップナイフ-天才脳外科医の条件-」などに出演し、お兄さんに負けない実力を持った俳優となっていきます。

「俺の家の話」では寿一の弟観山踊介(みやまようすけ)を演じます。

自由奔放に生きる寿一を反面教師とし、弁護士として堅実に働く道を選んだ人物です。

寿一が戻ってきたことが果たして踊介にどのような影響を与えるのでしょうか。

末広涼一:荒川良々

介護支援専門員。「集まれやすらぎの森」のケアマネージャー。

引用元:公式サイト

荒川良々(あらかわよしよし)さんは現在46歳の俳優です。

荒川良々さんは「大人計画」に所属しており、1999年にドラマデビュー、2000年に映画デビューしています。

ぽっちゃり体型で丸坊主という個性派の名脇役で、ドラマや映画では独特の存在感を放っています。

2008年には「全然大丈夫」で映画初主演を務め話題となりました。

「先に生まれただけの僕」「俺のスカート、どこ行った?」「タリオ 復讐代行の2人 」などのドラマに出演しています。

大人計画繋がりで宮藤官九郎さんの作品に出演することも多く、「池袋ウエストゲートパーク」「タイガー&ドラゴン」「あまちゃん」などにも出演していました。

「俺の家の話」ではさくらの働くデイケアサービス「集まれやすらぎの森」のケアマネージャー末広涼一(すえひろりょういち)を演じます。

さくらの上司にあたる人物です。

個性派俳優の荒川良々さんがどのような演技を見せてくれるのか楽しみです。

 

 

プリティ原:井之脇海

スーパー多摩自マン: 勝村周一朗

堀コタツ:三宅弘城

長州力:長州力(本人役)

ユカ:平岩紙

観山秀生:羽村仁成

O・S・D:秋山竜次(ロバート)

長田大州:道枝駿佑

俺の家の話ネタバレ!原作あらすじ脚本家キャストまとめ

オーマイボスネタバレ!原作あらすじ脚本家キャスト【恋は別冊で】

「俺の家の話」は長瀬智也さんがジャニーズ退所前最後のドラマ出演作品で、これまで度々タッグを組んできた宮藤官九郎さんが脚本を担当します。

キャストも個性豊かな実力派ばかりで、クドカン作品ならではの豪華さです。

宮藤官九郎さんが描く人間模様はコミカルだけど奥が深いというものが多いので、「俺の家の話」ではどのように家族愛を描いていくのか楽しみです。

「俺の家の話」第1話は1月22日放送です。

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